しわよせが君に回ってきているのに、君は僕に優しくしてくれているのが感じ取れる歌詞になっています。
こんな風に優しくなれないのはあくまで自分のせいなのに、君は「わたしのせい」と言ってくれているのが目に浮かんできます。
そんな君は自分を責め、やりきれなくなって街へ駆け出していきます。
Lady きみは雨にけむる
すいた駅を少し走った
出典: Rain/作詞:大江千里 作曲:大江千里
街を抜け、雨の中で駅に向かう君の姿を捕らえます。
どしゃぶりでもかまわないと
ずぶぬれでもかまわないと
しぶきあげるきみが消えてく
路地裏では朝が早いから
今のうちにきみをつかまえ
行かないで 行かないで
そう言うよ
出典: Rain/作詞:大江千里 作曲:大江千里
君のどんなに強い雨の中でももう戻らないという確固たる意志が垣間見える歌詞になっています。
しかし、僕自身は自分が悪いことを分かっているので、離れてほしくはありません。
雨の夜は人気はまばらですが朝へ向かうに連れて、終電を逃した人や朝帰りの人が路地裏では湧くように出てきます。
そうなると危険だし人目にもついてしまうので、朝を迎える前に連れて帰りたいという気持ちが歌われています。
別々に暮らす 泣きだしそうな空を
にぎりしめる強さは今はもうない
変わらずいる心のすみだけで傷つくような
きみならもういらない
出典: Rain/作詞:大江千里 作曲:大江千里
「別々に暮らす」という歌詞から2番は始まります。1番の歌詞を受けて、紐解くとそのまま捕まえることはできずに2人は別れてしまったことが窺えます。
そして、その後、今となってはもう君の存在は必要ない、守ることもできないという僕の中で起きている変化を読み取ることができます。
しかし、これは本音なのでしょうか。あれだけ「行かないで」と言っていた僕がここまで変化するとは思えません。
Lady きみは雨にぬれて
ぼくの眼を少し見ていた
出典: Rain/作詞:大江千里 作曲:大江千里
そして、2人は雨の中で再会します。
どしゃぶりでもかまわないと
ずぶぬれでもかまわないと
口笛ふくぼくがついてく
ずいぶんきみを知りすぎたのに
初めて争った夜のように
行かないで 行かないで
そう言うよ
出典: Rain/作詞:大江千里 作曲:大江千里
1番では強い雨でもかまわず駆け出したのは君の方でしたが、今度は強い雨でもかまわないと言っているのは僕の方になります。
そして、ここで出てくる「口笛」という言葉。口笛はどんな時に吹くでしょうか。
一般的に口笛を吹く場面といえば「何かをごまかす時」や「気持ちが高揚している時」だと考えられます。
この歌詞の世界に重ねてみるとここでは前者の「何かをごまかす時」が当てはまるのではないでしょうか。
また最後も「行かないで」と1番と同じように言っています。
つまり2番のここまでの僕の言葉はあくまで強がりで、別れても大丈夫ではなく君にはそばにいてほしいのだと考えられます。
肩が乾いたシャツ改札を出る頃
きみの町じゃもう雨は小降りになる
今日だけが明日に続いてる
こんなふうに きみとは終われない
出典: Rain/作詞:大江千里 作曲:大江千里
そして、「改札」という言葉が出てくることで場面は1番の世界に戻ります。駅に向かう君をなんとか捕まえて、話し合っている場面が浮かんできます。
この話は2番を受け、別れ話だと考えられます。
このまま話し続けて朝を迎えてしまうと、雨でびしょ濡れになったシャツは乾き、君の帰る頃には小降りになってしまいます。
そんな歌詞からは、この別れ話が時間の掛かるもので、なかなか収束のつかないままでいることが想像できます。
しかし、今ここでちゃんと決着を付けないとこれから先、お互いの道を気持ちよく進んでいくことができず、もやもやしたまま終わらせることはできないという決意も表れています。
Lady きみは今もこうして
小さめの傘もささずに
出典: Rain/作詞:大江千里 作曲:大江千里
小さめの傘もささない君の姿から君は小降りになった自分の住む町に帰ってしまったことが分かります。
どしゃぶりでもかまわないと
ずぶぬれでもかまわないと
しぶきあげるきみが消えてく
路地裏では朝が早いから
今のうちにきみをつかまえ
行かないで 行かないで
そう言うよ
出典: Rain/作詞:大江千里 作曲:大江千里
君が帰ってしまったことで決着がついたかのように思えますが、まだまだ「行かないで」と言っていることから結局折り合いがつかないまま別れてしまったのではないかと想像することができます。
どしゃぶりでもかまわないと
ずぶぬれでもかまわないと
口笛ふくぼくがついてく
ずいぶんきみを知りすぎたのに
初めて争った夜のように
行かないで 行かないで
そう言うよ
出典: Rain/作詞:大江千里 作曲:大江千里