アルバム『女優姉妹』
世間の評価が追い付いた!傑作アルバム
妄想系シンガーソングライターの吉澤嘉代子さん。
彼女の名を一躍広めるきっかけとなったのが2018年11月発表の4thアルバム『女優姉妹』です。
女性の持つ性(せい)と性(さが)をコンセプトに制作された愛おしい作品たち。
安達祐実・佐藤玲・モトーラ世理奈・小川紗良が4姉妹に扮した画期的なアートワーク。
そして各方面から大絶賛を受けた『残ってる』『女優』を収録しています。
今回スポットを当てるのは『女優姉妹』のフィナーレを飾る『最終回』です。
『最終回』のMVをチェック!
久しぶりの本人出演の豪華MV
吉澤嘉代子さんは映画の脚本や小説を描くように楽曲制作を行います。
つまるところ楽曲で描かれているのはフィクションの世界なのです。
1人の女性の繊細な心の動きを綴った『女優』から冥界への使者を描いた『地獄タクシー』など。
その多岐に渡る作風から妄想系シンガーソングライターと呼ばれているのです。
コンセプトアルバムである『女優姉妹』収録作品ではMVに出演することがなかった吉澤嘉代子さん。
自身の実体験であるという思い込みを排除するためあえてフィクションである作風を押し出していました。
しかし2019年2月6日に突如発表された『最終回』のMVでは久しぶりに本人が出演。
1人2役を演じていることも話題になりました。
席を立つ恋人、残された私は...
落ち着いたトーンの照明の下、ジャズの生演奏を楽しみつつ食事を楽しむ大人の社交場。
吉澤嘉代子さんは黒を基調とした落ち着いたファッションで席についています。
向かいに座る男性は恋人なのでしょう。
しかし彼はグラスを空け、静かに席を立って出てゆきます。
2人は別れ話をするためにこのお店を選んだのです。
吉澤さんは席を立ちバーカウンターに移動、マティーニを注文します。
周囲を見渡せば笑顔で杯を酌み交わす男女ばかり。
そんな光景は見たくないわ、とばかりにマティーニを一息で飲み干します。
2人の吉澤嘉代子、希望を感じさせるエンディング
店内を彩るビッグバンドスタイルのジャズ楽団。
そのボーカリストを務めるのは吉澤嘉代子さんです。
彼女はまさしく主演女優のようなたたずまいで観客を沸かせます。
その姿に何かを気付かされたのでしょう。
立ち見客の中にはもう1人の吉澤さんの姿が。
その表情には恋人との別離の悲しみは宿っていません。
何かを吹っ切るように卓上の蝋燭を吹き消します。
失恋という試練を乗り越えた後の希望を感じさせる素敵なエンディングを迎える『最終回』のMV。
ここからは歌詞の内容に迫ってゆきましょう。
恋愛をドラマに見立てた歌詞
最終回を迎えた私の恋
私の恋は今日で最終回
続編の話なんてもちろん無い
出典: 最終回/作詞:吉澤嘉代子 作曲:吉澤嘉代子
『最終回』とは誰にでも起こりうる出来事の比喩表現です。
それはドラマチックな恋の終わりを示しています。
恋愛ドラマが終わるとき、それはいつでもハッピーエンドとは限りません。
この世界では毎日無数の『最終回』が繰り返されているのでしょう。
かけがえのない人との別れの瞬間、次の恋に気持ちを切り替えられるほど人は強くありません。
かつて『もう恋なんてしない』という名曲がありました。
そこで主人公は精一杯の強がりを見せるため次の恋に想いを馳せたものです。
そのことは次の恋など想像できない精神状態を表しています。
この恋の物語には次回作の予定などスケジュールに入れる余地はないのです。