タイトルが「Another one bites the dust」で何故邦題が「地獄へ道づれ」なのか当初は分かりませんでした。

「Bite the dust」はスラングで「倒れて死ぬ」というような意味だと知ったのはもう少し後のこと

「地面の土を噛むように倒れて死に絶える姿」

これが語源のようです。

日本ではこの曲を通して有名になったイディオム。

「地獄へ道づれ」という邦題はさらに歌詞の不穏な内容を膨らませて考えたのでしょう。

こうした邦題の付け方は1980年代まで盛況だったはずです。

しかし1990年代以降は英語をカタカナに変換するだけの邦題が増えます

クイーンでいえば「ショウ・マスト・ゴー・オン」などが代表例です。

HIVウィルスの流行を予言?

歌詞和訳しました。

「またひとり死んじまう

またひとり死んじまう

またひとり、またひとり、そしてさらにまたひとり

またひとり死んじまう

おい、オレがお前までもやっつけてやるよ

またひとり死んじまう」

オレがお前に悪意を剥き出しにします。

その理由はもう少し先に書かれていますが、ふたりには遺恨がありました。

映画評論家の町山智浩はこのラインを後のエイズ患者たちにとって予言的だと解釈します

エイズの最初の発症は1983年ですので時系列的に無理があるのですが。

それでもフレディ・マーキュリーの死の衝撃に際して思い出すフレーズでもあります。

男の過去が明らかに

全財産を奪われた

クイーン【地獄へ道づれ】歌詞の意味を和訳&解説!孤独に戦う男の過去とは?緊迫感のある世界観を楽しもうの画像

How do you think I'm going to get along
Without you when you're gone?
You took me for everything that I had
And kicked me out on my own

出典: 地獄へ道づれ/作詞:John Richard Deacon 作曲:John Richard Deacon

男の過去が明らかになるラインです。

歌詞和訳しました。

「オレがうまくやれていると思うかい

お前がいってしまって君なしでもさ

お前はオレの持っているもの全てを奪って

ついにオレを追い出した」

オレはお前によって全財産を奪われた過去があったようです

だからといってすぐに殺すというのも怖ろしい話であります。

お金の恨みは怖ろしいのですが法廷闘争ぐらいで収めてはいただけないでしょうか。

それではファンク・ミュージックの歌詞にはなりえませんが。

ジョン・ディーコンがお金の問題で苦労したという話はありません。

むしろこの曲のメガ・ヒットなどで印税収入はすごいものでしょう。

安定した収入とはいえない印税収入ですが静かに暮らすには充分なお金。

経済的な問題がないからこそ潔く表舞台から消えて隠遁生活できるのでしょう。

とはいえファンとしてはあの人懐こい笑顔をまた魅せて欲しいと願うばかりです

復讐のビートを聴け

お前は仕事の相棒?

クイーン【地獄へ道づれ】歌詞の意味を和訳&解説!孤独に戦う男の過去とは?緊迫感のある世界観を楽しもうの画像

Are you happy, are you satisfied?
How long can you stand the heat?
Out of the doorway the bullets rip
To the sound of the beat

出典: 地獄へ道づれ/作詞:John Richard Deacon 作曲:John Richard Deacon

歌詞を和訳しました。

「お前は幸せかい? 満足しているのか?

お前はいつまで熱さに耐えられるかい?

ドアを出れば 弾丸たちが切り裂くような

強烈なビートの音が響くぜ」

復讐の想いが強く滲むラインです。

オレが持つお前への憎しみを強く意識させます。

自分の全財産を奪っていった男が幸せだったら嫌でしょう

知らない土地で詐欺師に騙されて財産を失くすとか、そうしたダメな話を聞きたいものです。

この男の正体は何だろうとも思います。

かつて一緒に仕事をしていた相棒でしょうか

女性であるというイメージは沸かないので、きっと仕事関連で一緒だった同僚のような存在の男でしょう。

MVで視る「地獄へ道づれ」

フレディの牛の角

Hey
Oh take it
Bite the dust
Bite the dust
Hey
Another one bites the dust
Another one bites the dust oww
Another one bites the dust hey hey
Another one bites the dust eh eh

出典: 地獄へ道づれ/作詞:John Richard Deacon 作曲:John Richard Deacon

紙幅の関係でリフレインの歌詞は省略いたしました。

歌詞を和訳します。

「よう

おお、行くぞ

死んじまえよ

死んじまえよ

よう

またひとり死んじまう

またひとり死んじまうのさ、おお

またひとり死んじまうぜ、ヘイヘイ

またひとり死んじまう、ハハ」

主人公のオレが気も狂わんばかりに咆哮します。

YouTubeのクイーン公式チャンネルで当時のMVを視ることができます

暗いステージでメンバーが演奏するだけのシンプルなMVです。

それでも演奏しているクイーンは立ち姿だけでもカッコイイもの。

特にこの曲を作ったジョン・ディーコンのポーカー・フェイスでの演奏は貴重です

歌詞のこの箇所で演奏はブレイク・タイムになるのですが、フレディが牛の角を模した帽子を被ります。

冒頭のスティーブが帽子のつばを下げて目深に被るというラインを表現したのでしょうか。

しかし牛の角は何故という疑問が残ります。

考えても仕方のないことでしょうが。

このページからMVへのリンクを貼りましたのでぜひご覧ください。

ブライアン・メイの小気味よいカッティングのシーンなどは他の曲では視られないものです

野蛮な生命のやり取り

復讐の念が滲む