スピッツの「みなと」ってどんな曲?

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スピッツの「みなと」は前のシングルの「さらさら」から約2年11ヶ月ぶりとなる2016年4月27日に発売されました。

2016年聴くべきアルバムとして話題になった「醒めない」に収録、NTT東日本の企業CMにも使われました。

「みなと」の動画サイトでの注目度は?

全編白黒で、折り鶴が飛んでいく映像が印象的な「みなと」の公式ミュージックビデオのYoutubeの再生回数は6,143,674回。(2017年7月31日現在)

スピッツの曲は、発売後も長い間愛され、カラオケで歌われることも多く、後から再生回数が伸びていくことは過去の曲を見ればはっきりしていますが、十分な注目度と言えるでしょう。

メッセージ性を感じさせる歌詞が話題に

「みなと」のようにスピッツMVは印象的なものが多く毎回注目されますが、グーグルトレンドで「スピッツ」と調べてみると、検索関連キーワード1位は「歌詞でした。(2017年7月31日現在)

スピッツの歌詞といえばどこか死の気配さえ漂う、切なく儚い歌詞が多いのですが、そこもファンを惹きつける一因となっており、歌詞の解釈は新譜が出るたびに話題になっています。

もちろん「みなと」もその例外ではなく、発売当初から東日本大震災のことを歌っているのではという意見が多く挙がりました。

確かに、作詞をしているボーカルの草野さんは、曲の解釈を聴く人に任せていることで有名なこともあり、本人の口からはあまり語られていませんが、先ほど紹介したように曲名が「みなと」ということもあり、歌詞の意味からも津波によって多くの犠牲者が出たあの震災を想起するのは自然なことであるように感じます。

そうした背景も踏まえながら、まずは筆者個人の解釈を載せていきたいと思います。

スピッツの「みなと」歌詞の意味は?

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船に乗るわけじゃなく
だけど僕は港にいる
知らない人だらけの隙間で
立ち止まる

出典: みなと/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

スピッツの曲に出てくる港といえば「君が思い出になる前に」で「明日の朝僕は船に乗り離れ離れになる」という別れが印象的に描かれた場所。

一方で今回は船に乗らない、同じ場所から見つめ続ける「僕」が一人称であることがわかります。

「知らない人だらけの隙間で立ち止まる」という歌詞から、震災から時間が経つにつれて日常を取り戻し、世代が変わった人々が行き交う中、「僕」だけが歩みを止めるところから曲は始まります。

時間の経過は後で出てくる「錆びた港」という単語からも感じ取ることができます。

「遠くに旅立った君」とは?

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遠くに旅立った君に
届けたい言葉集めて
縫い合わせてできた歌ひとつ
携えて

出典: みなと/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

船に乗らない「僕」の姿は同じ場所にとどまる視点であると先ほど書きましたが、この歌詞から、「僕」は旅出った「君」に置いていかれたということがわかります。

自分を残して旅立ってしまった相手に対して、過ぎた時間とともに積み重なっていった思いを胸に港にいるのです。

では、「君」とはどんな相手だったのでしょうか。そのことは後の歌詞から読み取ることができるので、ひとまず置いておきます。

「汚れてる野良猫」は何の象徴?

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汚れてる野良猫にも
いつしか優しくなるユニバース
黄昏にあの日二人で
眺めた謎の光思い出す
君ともう一度 会うために作った歌さ
今日も歌う 錆びた港で

出典: みなと/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

スピッツの歌詞に出てくる猫といえば不朽のヒットソングである「ロビンソン」の一節に登場する猫が思い浮かびますね。

この歌詞の内容も踏まえて推測すると、誰かに飼われている綺麗な猫と違い、「汚れてる野良猫」は、置いてけぼりの、孤独で無力な存在

世界から見捨てられて、それでも片隅で必死で生きているような存在であり、「ロビンソン」と同じようにその猫に「僕」は自分を重ねているように感じます。

そんな「僕」が、かつて大切な人と過ごした幸せな時間を思い出し、今は自分にとって辛い世界(ユニバース)でもあの頃のように幸せな時がくるかもしれないと前向きになろうとしているのです。

「いつかは」でなく、「いつしか」であることが、時間がたてば…という希望の表れと言えるでしょう。

悲しみは消えないまま、だけど、前に進むと決めたからこそ、君が旅立ってからの想いを言葉として自分の中で整理し、歌にして、港に来たのです。