1行目の折り鶴は、千羽鶴を意味していると思われます。

病状やけがの回復を願うものですが、願われる側である筈の主人公が自ら折っていました。

ですがどんなに折っても折っても、心にぽっかりと開いた穴が癒えることはありません

それほどまでに主人公の抱える悲しみが深いのです。

自分の傷を癒そうと頑張っていますが、あまりに頑張りすぎると煮詰まってしまいます。

ですから3行目で「窓を開けよう」と勧めたのでしょう。

外も主人公の悲しみを代弁するかのように雨が降っているようです。

その雨の中、何かが描かれていました。

歌詞では雨の中をシュノーケリングする人々が描いた「地上絵」としていますが、どういうことなのでしょうか。

詳しいことは分かりませんが、それは悲しみに暮れる主人公へのメッセージなのかもしれません。

実際は傘をさして歩く人の足跡や、タイヤの跡がメッセージに見えているという可能性もあります。

凍った心を溶かす季節

CRAZY FOR YOUの季節が ざわめく潮騒の様で
氷漬けの気持ちを溶かすから 海みたいに街中、光って

出典: CRAZY FOR YOUの季節/作詞:小出祐介 作曲:小出祐介

タイトル「CRAZY FOR YOUの季節」が登場します。

この季節が、傷つき凍ってしまった主人公の心を癒してくれるようです。

「潮騒」という比喩表現が、「海みたい」な想い人を連想させます。

恋の成就は難しそうなのに、それでも「君にくびったけな季節」が自分を癒すとは少し不思議ですね。

もしかして、その「君」というのは最初に出てきた「彼女」ではないのでしょうか。

新たな恋の到来が、失恋苦い記憶を癒してくれる可能性は十分にあります。

氷が解けた後の主人公の目には、すっぱい思いをした「街」が輝いて見えていました。

太陽に照らされてきらめく海のように。

ここまで来れば主人公は立ち直ることができたといえるのでしょう。

複雑な思い

恋愛は様々な方向で人の気持ちを複雑にしていきます

幸せな時もあれば悲しい時もあり、そのふり幅は大きいのです。

「CRAZY FOR YOUの季節」はその心情を鮮やかに描いています。

水色の世界

南風があなたに灯った 突き放したい位、幸せな影
動かなくなった観覧車 見上げてるだけで 水色になって

出典: CRAZY FOR YOUの季節/作詞:小出祐介 作曲:小出祐介

「あなた」も主人公の好きな人と同一人物でしょうか。

彼女は風のようにどこかへ行ってしまいます。

その姿は、主人公が苦しくなる程に幸せそうでした。

2人で乗りたいと思っていた「観覧車」も、乗る時は永遠に来ません。

彼らを乗せる機会を失ったそれは、その動きを止めてしまいます。

本当に止まったわけではなく、主人公の目には止まったように見えているのかもしれませんが…。

ショックのせいなのか、彼の見ている世界はどんどん「水色」に染まっていきます

この色は何を表しているのでしょうか。

人は景色を見渡した時、遠くにあるものはどこか水色に染まって見えます。

つまり、目に映るものすべてが遠くなっていくような感覚なのではないでしょうか。

そんなことは普段なかなか起こりませんが、これもまた主人公の悲しみが深いことを表しているのです。

湿った記憶

星座紡いで待ったって 花火、打ち上がらず
湿気った秘密だけを抱えた記憶

出典: CRAZY FOR YOUの季節/作詞:小出祐介 作曲:小出祐介

悲しい心が明るくなる瞬間を、夜空の星を繋ぎながらひたすら待っています。

その「明るくなる瞬間」「花火」なのですね。

しかしながら、いくら待ってもその時は訪れません。

今日花火大会があるわけではないから…ということではなさそうです。

これは「時間が解決してくれない」ことを表していると考えられます。

ひたすら夜空で星座を作りながら、心の傷が癒えるのを待っていたのではないでしょうか。

癒えて、やっと心が明るくなった時が花火の打ち上がる瞬間です。

「乗り越えたね、おめでとう」という祝福の意味もあるでしょう。

ところが、その時はどれだけ待っても訪れませんでした。

主人公が辛い記憶を忘れられず、心が湿っているのです。

湿った場所では花火は打ち上げられません。

心が映し出す季節とは

主人公の切ない気持ちはなかなか収まってくれないようです。

好きな人にまつわることなら、そう簡単には解決できないでしょう。

果たして、凍ってしまった主人公の気持ちが溶ける時は来るのでしょうか。

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