しくじりバンドから高校生への熱いメッセージ。
結成10年という長い年月を経て勝ち取ったメジャーデビューから2年。今度は全国の高校生にエールを送ります。熊本発の4ピースバンド、BLUE ENCOUT。
彼らの肩書きを決めさせてもらうとしたら、泣き虫熱血バンドと付けたい。
そう言ってしまう程、ライブ会場では、ボーカルギターである田邊駿一の、泣きながら放つ熱い言葉と、その言葉に感動して涙を流すお客さんの姿が見られます。
まっすぐな言葉は、歌詞にも現れています。
『はじまり』は、高校サッカーのイメージソングとして書き下ろされ、多くの選手たちや、高校生達を支えていました。
恐らくこの曲で、彼らの事を知った人も少なくはないでしょう。
バンドが経験してきた事、感じてきた事が歌詞に描かれていて、それらが、不思議と部活に専念してきた高校生達とリンクします。
辛く険しい道のりを、身をもって体感してきた人だからこそ、部員達に気持ちを寄せる事が出来るのだと思いました。
一度聞いたら、過去の自分の事を思い出して、胸が熱くなるはず!敢えて、後ろ向きな言葉で寄り添う歌詞を紐解いていきましょう!
高校生だった自分。立ちはだかる試練の連続。
確かに僕たちはあの場所にいた
笑い合えた夏も愚痴をこぼした冬も
急ぐ季節の真ん中で一緒に走り続けた
夜に吸い込まれた夕日に気づかないで
同じ未来を見つめてたどんな壁に出会おうとも
出典: はじまり/作詞:田邊駿一 作曲:田邊駿一
曲の導入部分はしっとりと始まります。
まるで、小説のプロローグのような。苦くて甘酸っぱい青春時代。
あっという間に変わっていく季節に、置いてかれないように、どんなに苦しくても走り続けるしかない。
夜に向かっていくことも忘れるくらい何かに夢中になってた。これは、部活や勉強、趣味なんでも当てはまる事ですよね。
大人になると、終わりを想定してしまって、自らブレーキをかける事が出来てしまうけれど、十代の頃は、がむしゃらになって、アクセル全開で進むしかなかった。
当時高校生だった自分を思い出して、現在の高校生に、’’俺だってこんなときがあったんだよ。大丈夫だよ。’’と、肩に手をかけているように感じます。
ガンバレの言葉が辛い時もあった
大切な人の工一ルに応えられるか不安で
出典: はじまり/作詞:田邊駿一 作曲:田邊駿一
Bメロの部分はこのように続きます。
見せかけの自信とプライドはあっても、心の奥では不安だし、こんな自分たちの事を応援してくれているのは嬉しいけど、ちゃんと応えることが出来るのだろうか…。
ここの2行のフレーズが、必死の思いでボールを追っかけ、走り続ける選手達と最もリンクしているところだと思います。
ずっとずっとそうずっと僕たちが見たこの夢は
きっときっとそう何度でも明日を強く繁いでくよ
見えないこの先に涙こぼれた
出典: はじまり/作詞:田邊駿一 作曲:田邊駿一
1番のサビ部分です。
勝利、優勝、全国制覇、連覇。
スポーツの’’夢’’とは、強く願うことで、明日、明後日…。その先へと繋がる。
それは決して簡単な事ではないことはわかってる。苦しくてキツくて、逃げ出したくなるけど目の前のゴールに向かって突っ走っていかなければならない。
そんなことを、思えば思うほどに一粒、涙がこぼれた。青春のしょっぱい味が口いっぱいに広がっていく。
ポジティブな言葉からネガティブな言葉に変化していくところに、青さが光っているように感じ取れます。
誰からも認められず人のせいにして
みんな消えてしまえ!と逃げた時もあったけど
勝ち負けの先でやっと見つけられたよ
あなたに出会えたことが本当の誇りだと
出典: はじまり/作詞:田邊駿一 作曲:田邊駿一
ラスサビの部分になると、大切な事が観えてきます。
逃げたくなったり、誰一人信じられなくなって、先の見えない不安と戦っていたこともあった。
そんな中、試合という舞台で知った様々な想い。こうやって、ここに立てているのは、一緒に戦う仲間が居るから。
そして、応援してくれるみんなが居るから。それが1番の誇りだったって事に今、気付かされた…。
あなたが居れば、どんなに高い壁だって突破出来るかもしれない。と、再び立ち上がる姿が、目に浮かんできませんか?
手が届かなくたって、追いかけていた日々は全ての「はじまり」。
終わりじゃない 目指してた景色に届かなくたって
肩を並べ追いかけていた日々は全ての「はじまり」
ずっとずっとそうずっと僕たちが見たこの夢は
きっときっとそう何度でも明日を強く繁いでくよ
これから別々の道を行こうともまた笑顔で会えるように今は泣けばいい
出典: はじまり/作詞:田邊駿一 作曲:田邊駿一
ラスサビ部分は、まさしく感動のフィナーレ。
試合に勝つ事が出来なくたって、決してそれは終わりではない。
一緒に頑張ってきた日々が、全ての’’はじまり’’なんだ。と。
勝ったチームが居れば、負けたチームも居る。残酷な勝負の世界だけれど、どちらも清々しい。
高校という決まられた3年という短い時間の中で、時に笑ったり泣いたりしてきた部員達。
試合が終われば、引退が待っているんだから、最後くらいは、苦楽を共に味わおうよ。すべてここに置いていけばいい。
試合終了後の、ロッカールームが頭によぎってきて、思わず涙しそうになります。
この曲は、勝者の涙。敗者の涙。どちらにも当てはまっていて、「頑張れ」と「お疲れ様」という気持ちが込められている気がします。
大人が聞けば、青春時代を思い出すでしょう。
いつの間にか忘れていた、原点=はじまりを取り戻してくれる、そんなアツい一曲です!