「小さな生き物」の歌詞の意味を探る

「小さな生き物」はスピッツ楽曲の中ではかなりあっさりめ、サラッとした曲調が特徴です。

曲は3分半程度と比較的短くて、まるで春にだけささやかに流れていく一筋の雪解け水のよう。

そんな「小さな生き物」は私たちに何を投げかけているのでしょうか?

こちらでは歌詞をご紹介しつつ、その意味を探っていきたいと思います。

1番

負けないよ僕は生き物で
守りたい生き物を
抱きしめてぬくもりを分けた
小さな星のすみっこ

出典: https://twitter.com/Takeru9327/status/929349438581088257

「負けない」という言葉。私たちは様々な場面で使う事ができます。試合や受験などでライバルに対して自分の意志を奮い立たせるのに使いますよね。

しかし「小さな生き物」の「負けないよ」という言葉には"対ライバル"ではないニュアンスが感じられます。

「守りたい」や「抱きしめてぬくもりを分けた」という箇所からは、人と人とが寄り添い、助け合って生きていくようなイメージを受けるのです。

知らないままで過ごせるのなら その方が良かったこととか たくさんあるよ だけど今だにアホな夢見てる

出典: https://twitter.com/spitzbot/status/642125410205982724

「知らないままで過ごせるのなら その方が良かったこと」というのは、言葉に出来ないほど辛く悲しい出来事でしょうか。

もしかすると"もう乗り越えることなんてできない"と、困難から膝をついたのかもしれません。

人はその人生の中で、自分の意志に関わらずたくさんの衝撃や悲しみに対面します。

それでも毎日しょうもないことで笑い、明日への夢を抱いて生きてしまう。

この歌詞からは"それこそが人間という小さな生き物なんだ"と言っているように感じます。

臆病な背中にも 等しく雨が降る
それでも進む とにかく前へ
有っても無くても

出典: https://twitter.com/Spitz19671221/status/929294952583933952

どんな人にも等しく雨が降るように、人生の中で困難と出会わない人なんていません。

たとえ暗い未来が待っていようとも、生まれたからには前に進むのが「生き物」のすることです。

負けないよ
僕は生き物で
守りたい生き物に
出会えるって
思いもしなかった
もう一度 果てをめざす

出典: https://twitter.com/Spitz19671221/status/929294952583933952

希望が無くとも「負けないよ」という優しい声が聞こえます。

"今は守りたい人がいるから、一度屈しても再び立ち上がって歩き出すんだ"というメッセージのような歌詞です。

2番

深く掘って埋めても 無くせないはずだから 裸の言葉 隠さずさらす そこから始めよう

出典: https://twitter.com/spitzbot/status/526078762039799808

体験した辛い出来事は、葬っても存在しなかったことにはなりません。

それならば、辛かった思いを隠すことなく、お互い分かち合ってもいいのではないでしょうか?

傷ついたというお互いの気持ちをさらけ出し、分け合えば、私たちは出すことのできなかった一歩を踏み出すことができます。

負けないよ僕は生き物で
守りたい生き物を
抱きしめてぬくもりを分けた
小さな星のすみっこ

出典: https://twitter.com/Takeru9327/status/929349438581088257

「負けないよ」という言葉は、これまでの困難に向けた言葉でもあり、未来への希望を持たせてくれる言葉でもあると私は思います。

「(僕は)負けないよ(だから一緒に未来へ行こう)」

このサビは、まるで膝を抱えている人の手を優しく取って、立ち上がらせてくれるようです。