邪悪な瞳に魅入られて

SOUL'd OUT【VOODOO KINGDOM】歌詞を和訳して意味を解釈!邪悪な瞳に映るものとはの画像

「VOODOO KINGDOM」は、「GROWN KIDS」との両A面シングルとして発表されました。

劇場版アニメ「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」の主題歌として制作された1曲です。

タイアップ作品である「ジョジョの奇妙な冒険」への作品愛に満ちた1曲となっています。

特に、この曲は作中の敵役である「ディオ・ブランドー」の視点から描かれたもの。

作中では悪のカリスマとして圧倒的な存在感を誇るディオ。

その邪悪な瞳に魅入られるような、ダークな魅力溢れる1曲となっています。

SOUL'd OUTと「ジョジョの奇妙な冒険」

第1部の映画化とのタイアップ

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「VOODOO KINGDOM」が主題歌となっている「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」。

これは原作のコミックで「第1部」にあたる物語映画化した作品となっています。

19世紀のロンドンを舞台に、主人公ジョナサン・ジョースターと、その家に引き取られた少年ディオ。

邪悪な野心家であるディオの企みを止めるため、ジョナサン(通称ジョジョ)は戦いに身を投じていきます。

第1部ではそうしたジョナサンと、吸血鬼となったディオの決着までが描かれるのですが…。

2人の因縁は世代を超えて続き、第2部を経て第3部では再びジョナサンの子孫、承太郎とDIOの戦いが描かれます。

そして、DIOとジョースター家の因縁は、その後も長く続いていくこととなるのです。

「VOODOO KINGDOM」は第1部の映画主題歌ですが、歌詞にはその後の因縁を示唆するフレーズも。

いうなれば、第3部のDIOが第1部の戦いを回想して語るかのような1曲なのです。

SOUL'd OUTと「ジョジョ」の奇妙な関係

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SOUL'd OUTは「ジョジョの奇妙な冒険」のファンとしても知られています。

特にShinnnosukeは熱いファンで、原作者の荒木飛呂彦とも親交が深いことで有名です。

作品面でも両者の交流は深いものとなっています。

2006年に発表されたSOUL'd OUTのシングル「Cat walk」では、ジャケットイラストを荒木飛呂彦が作成

「ジョジョの奇妙な冒険第7部 スティール・ボール・ラン」も必見です。

SOUL'd OUTのシングル曲から「ウェカピポ」「マジェント・マジェント」という人物が登場しています。

「ジョジョ」では登場人物名や、彼らの使う能力「スタンド」名は洋楽から名前を取っているのは有名です。

そんな中、初めて邦楽アーティストとして採用されたのがSOUL'd OUTの楽曲

このことからも、両者の交流がいかに深く、リスペクトに満ちたものであるかが伝わってきます。

そんなSOUL'd OUTがジョジョの世界を題材に描いた「VOODOO KINGDOM」。

期待に違わずジョジョの世界観をこれでもかと盛り込んだ1曲です。

そんな歌詞の世界を、和訳を交えつつ深く解釈していきましょう。

なお本稿では原作に準拠して第1部のディオをカタカナ、第3部のDIOをローマ字で表記しています。

「世界」と「血統」を廻る物語の始まり

「VOODOO」の意味するものとは?

Yo, I'm feelin' tha VOODOO in my brain
I ain't my usual self tonight
Walk in tha beautiful rain
Tha world rotates around me
Here's a little story must be told
血統の妙
血統の業

出典: VOODOO KINGDOM/作詞:Diggy-MO',Bro.Hi 作曲:Diggy-MO',Shinnosuke

和訳は以下の通りです。

ああ、ブードゥーをこの脳の中に感じる
今夜はいつもの俺ではない
美しい雨の中を歩く
「世界」、そして時は動き出す
ここに少しだけ語らなくてはならない物語がある

出典: VOODOO KINGDOM/作詞:Diggy-MO',Bro.Hi 作曲:Diggy-MO',Shinnosuke

歌い出しはピアノを伴った静かなサウンドです。

まさしく帝王の一人語りという雰囲気でしょうか。

「VOODOO」はブードゥー教のことを指す単語ですが、転じて呪術的などの意味も持ちます。

また、ブードゥー教といえば、「ゾンビ」の元となったことも有名。

呪術的な仮面により吸血鬼となり、屍生人を操るDIOを思い起こさせます。

物語の始まりを思わせる夜。

「The World」は直訳する通り「世界」ですが、第3部でDIOが操るスタンド能力の名もかかっています。

ここから想像できるのは、この時点のDIOは既に「世界」のスタンド能力を手にしているのではないか。

第3部でのDIOが、第1部のディオの物語を回想し語る…。

そうした時間軸にあるのではないかと考えられます。

そして、そこで語らなくてはならない物語こそが第1部。

主題歌として映画で描かれた「ファントムブラッド」の物語です。

DIOと、ジョースター家の血統との因縁の物語…。

その物語の始まりが、ここでは描かれています。

語るべき物語とは

「世界」を手にしたDIOが、過去の話を語る…。

配下になったものへ気まぐれに昔語りをするような風景を思い起こさせます。

DIOがここで話す物語こそ、第1部「ファントムブラッド」の物語です。

「ジョジョの奇妙な冒険」では、第1部でジョナサンとディオは船の上で決着を迎えています。

そこで死んだかと思われたディオですが、ジョナサンの肉体を乗っ取ることで生き残っていました。

そして棺桶の中で眠り続け、第3部でスタンド能力「世界」を得て復活したのです。

ディオにとって、宿敵ジョナサン・ジョースターとの因縁は小さなもの。

しかし忘れることができない戦いでもありました。

帝王にとっては些細な物語、だが語らなくてはならない欠かせない物語

それこそが、「小さくとも語らなくてはならない物語」なのでしょう。