新田家の居候生活にも慣れ、消費するだけの自堕落な生活を送るヒナ。
ひょんなことからアンズが生活に苦労していることを知った新田が、ヒナと比較します。
自分が恵まれていると気が付いたヒナは少しだけ気を遣うように。
「いってらっしゃい」も言わなかったヒナが、朝の見送りまでしてくれたとあって新田も内心で喜びました。
ヒナは日頃の感謝を示そうと新田の外出中に家の掃除を試みます。
しかし、彼女の生活能力は皆無。案の定、室内はメチャクチャに。大切な壺も割ってしまいました。
成長をほめてやろうと上機嫌で帰宅した新田は、惨状を目の当たりにして大激怒。ヒナを勘当します。
アンズに匿ってもらうもワガママ過ぎるため3日で追い出され路頭に迷うヒナ。
超能力を使って路上パフォーマンスをして糊口をしのいでるとバンドマンと意気投合。一緒に組むことに。
演奏×手品(念動力)コラボの路上ライブは大成功しますが、ヒナは浮かない顔。帰りたい場所があるからです。
一方、最初はせいせいしていた新田も、なかなか戻って来ないヒナが心配で仕方ありません。
「素直にごめんなさいって言えってんだ」。自分が出ていけと言った手前素直にもなれません。
一緒に過ごした日々の大切さに、それぞれ離れたところで気がついた新田とヒナでした。
かくして、ヒナは新田の家に帰ることを決意。
ドアの前で待っていると、外から帰ってきた新田と再会、仲直りをするのでした。
ヒナと仲よくなるロックバンドのボーカルが「ディースタンス!!」と歌っているのがヒントです。
『Distance』では勘当後の新田とヒナ、両者の気持ちを歌っているのでしょう。
アニメの世界と重なる『Distance』の歌詞
勘当や路上生活といった直接的な単語は出てきませんが、ふたりの気持ちは歌詞から十分に伝わってきます。
キミと笑って過ごした日
キミと言い合って泣いた日
キミと過ごした日々 愛しい日々
大切だよ
出典: Distance / 作詞:宮崎京一 作曲:宮崎京一
繰り返されていた日常が、お互いにとっての安らぎになっていたことに改めて気がついた瞬間です。
何気ない会話や言葉、ちっぽけなものほど妙に思い起こされたりしますよね。
テレビを消し忘れるとか脱いだものをたたまないとか、そんな短所が逆に恋しくなります。
共同生活の長所短所を考えるとキリがありませんが、おそらく同じことの積み重ねに価値があるのだと思います。
「大切だよ」と、シンプルな言葉でまとめられているからこそ、深く考えてしまうフレーズです。
失くして気がつく=失くさないと気づかない
ねぇ どれだけ離れているのかな?
キミの温もり 思い出しているよ
遠くに見えるあの街の灯
キミは笑えてるかな…
出典: Distance / 作詞:宮崎京一 作曲:宮崎京一
人は既にあるものに疎く、失くさないと良さに気づきません。再び手に入れようとする勇気も当然得られません。
曲名の『Distance』は物理的な距離以外に、冷却期間のことも意味しているように感じます。
分かりあうための大切なステップであり、決してネガティブな距離ではないのでしょう。
アンズの気持ちにも重なる
村川梨衣が歌っている点から、彼女が声を担当しているアンズのエピソードにも当てはまるように聴こえます。
具体的には6話「新田さんの父親はダンディ」のBパート、アンズ回です。
機材トラブル(洗濯での水没)によって元いた世界に帰れなくなったことが判明。
路頭に迷ったアンズは、ホームレスのやっさんに助けられて路上生活を送っていました。
ある日、住んでいた公園を強制退去されることになり、ホームレスたちは解散。
若いアンズだけがラーメン屋のご夫婦に引き取られます。それはやっさんのはからいによるものでした。
ラーメン屋に来た初日、短いながらもおじさんたちと過ごした日々を失くしたアンズが泣き出します。
やっさんたちもまた、孫のように思っていたアンズをしのんで涙していました。
離れていてもきっと…
ねぇ どれだけ離れているのかな?
キミの面影 思い出しているよ
ねぇ キミが笑ってくれるだけで
何よりそれが幸せだったんだ
遠くに見えるあの街の灯
キミはどうしてるかな…
きっとまた会えるよね
出典: Distance / 作詞:宮崎京一 作曲:宮崎京一
ラーメン屋のご主人は泣き止まないアンズに言います。
アンズちゃんの中にやっさんの教えは息づいている。やっさんたちの中にもアンズちゃんがいる。
離れ離れになっても一緒、だと。
新田&ヒナのように、再会できる保障はどこにもありません。
新たな門出を迎えたアンズの心中を思うと、歌詞の持つ意味の切ない側面がグッと強まります。
エンディング曲『鮭とイクラと893と娘』もおすすめ
タイトルどおりのギャグソングで、新田視点でふたりの絆を歌った演歌調の曲。
歌っているのは新田本人(中島ヨシキ)です。
夜のネオン街を歩くヤクザと少女の映像をバックに流れてきて、最後の最後まで笑いを誘います。