今夜も頭ギリギリ
骨まで透けて見えた
安らぎをとめて
今宵の共犯者達へ
出典: 「スピード」/作詞:桜井敦司 作曲:今井寿
ここで「共犯者」という、第三者の存在を示す言葉がでてきました。
一体誰なのでしょうか?
先ほどと同様、強い興奮状態にあることは確か。
それをともにする…。
ちょっと怪しい雰囲気がしてきましたね。
でも、これらは単なる「薬物仲間」という意味だけではないと思います。
彼らの音楽を「薬物」に例えているという考え方もできるのではないでしょうか?
とすると、「共犯者」とはリスナーのことかもしれません。
他の歌手のパロディ
女の子 男の子
一筋 傷と涙を
痺れた体 すぐに楽になるさ
蝶になれ 華になれ
何かが君を待っている
愛しいものに全て
別れを告げて
出典: 「スピード」/作詞:桜井敦司 作曲:今井寿
ここでは他の歌手の楽曲のパロディとしての要素があります。
1行目は郷ひろみの「男の子女の子」。
4行目は山本リンダの「どうにもとまらない」の歌詞の一節と酷似。
この2つが該当します。
「男の子女の子」はとても楽しげでポジティブな楽曲なのですが、この歌詞では少し違いますね。
心に傷を負い、苦しみから涙を流す男女。
彼らをBUCK-TICKの音楽で楽にしてあげる、と歌っているのではないでしょうか?
そして「どうにもとまらない」ではとめどなく溢れる恋心を歌っていますが、やはりここでもギャップが。
「愛」を手放すように促しているのです。
「愛」よりも大切なものがあると言っていますが、一体何なのでしょうか?
垣間見える「闇」
疎外感を露わに
-イカレタノハオレダケ キミハスコシマトモダ-
出典: 「スピード」/作詞:桜井敦司 作曲:今井寿
先ほどまで「イカれた様子」を印象付けるような歌詞が続きました。
そして、他の人たちにも一緒にイカれるように促しているニュアンスだったと思います。
でもここで、自分と他人に明確な境界線を引きました。
自分のみがイカれている。
「君」も同じようにイカれてみせてはいるけど、実際は至ってマトモ。
カタカナで表記されているから特にインパクトがありますね。
どんな心情で放たれた言葉なのでしょうか?
疎外感のような寂しい心の声が感じ取れます。
深く酔いしれる
スピードをあげて
摩天楼 ダイブするのさ
ボリュームをあげて
今宵の共犯者へ
出典: 「スピード」/作詞:桜井敦司 作曲:今井寿
「摩天楼」とは天に届くほど高い建物のことをいいます。
高揚した気分の象徴でしょうか?
「摩天楼」の窓から外にダイブしているとしたら、自殺行為ですね。
ライブ中に観客へダイブするという意味合いも兼ねているのかもしれません。
先ほどは安らぎを求めていたけど、ここでは違います。
より深く音楽に酔いしれたい…。
そんな思いから更に音量を上げて現実逃避しようとしています。
また、「スピード」を上げることで高みへとたどり着きたい。
そんな思いも読み取れます。
何を望んでいる?
女の子 男の子
君には自由が似合う
これが最後のチャンス
自爆しよう
蝶になれ 華になれ
素敵だ お前が宇宙
愛しいものを全て 胸に抱いて
君が宇宙
出典: 「スピード」/作詞:桜井敦司 作曲:今井寿
このフレーズにおける「君には」の「には」に注目しましょう。
限定する表現が引っかかります。
まるで「僕には自由が似合わない」と重たい固定概念を背負っているようです。
「男の子女の子」や「どうにもとまらない」で表現されているポジティブで自由なメッセージ。
これらと自分との摩擦を歌っているのかもしれません。
ちなみに「自爆しよう」のフレーズは2001年から「愛し合おう」と歌っています。
生きる世界の違う「君」と心を通わせたいのでしょうか?
「宇宙」からは「偉大」とか「神秘的」というニュアンスが読み取れます。
リアルな表現
目覚めは今日も冷たい
月夜のガラスケース
今夜も頭ギリギリ
骨まで透けて見えた
出典: 「スピード」/作詞:桜井敦司 作曲:今井寿