『サーカス』について
ミニアルバム『hanamuke』に収録
「Hump Back」は、ギターボーカルの林萌々子を中心とする3ピースカールズバンドです。
林萌々子の一度聴くと忘れられない孤高の歌声と、感情をわしづかみにするようなエモーショナルなバンドサウンドが魅力となっています。
そんなHump Backのタイトルが印象的な『サーカス』は、2017年11月に発売されたミニアルバム『hanamuke』に収録されている楽曲です。
全国流通盤の2作目となったこの作品は、彼女たちのメロディーの良さやフレッシュなセンスを感じさせる歌詞などのさまざまな魅力が詰まっています。
幅広いテイストの楽曲が収められていますが、それを狙ったわけではなく作りたいものを追求した結果なのだそうです。
このアルバムのナチュラルな質感は、このような背景から生まれています。とてもアーティスティックな印象を受けますよね。
その中で、今回紹介する『サーカス』と『うたいたいこと』の2曲は昔からライブで演奏している曲です。
今後も彼女たちにとって長く付き合っていく曲だと感じているため、アルバムに入れることにしたと語っています。
このことから、Hump Backにとって思い入れのある曲であることが感じられますよね。
MVもチェック
夜の街で、ただ1人歌っている林萌々子が格好良いMVです。エモーショナルなサウンドとは対照的に、映像からは静けさすら感じます。
また、真っ暗な夜の闇と、街灯や自動販売機などの光のコントラストがとてもきれいです。
まだ、Hump Backの『サーカス』を聴いたことがない方はもちろん、彼女たちのMVが観たことがない方もぜひチェックしてみてください。
MVを観るともっと彼女たちが好きになりますよ。
ファンからは「ガールズバンドは好きじゃないけど、Hump Backは好き」「沁みた」など絶賛されています。
歌詞の意味を解釈
次に、Hump Backの『サーカス』の歌詞に込められた意味を解説していきたい思います。
色彩豊かな歌詞
グランドに落ちていたパズルと
今にも消えそうな太陽と
ラクガキ帳いっぱいの青色
帰り道の公園サビたブランコ
出典: サーカス/作詞:林萌々子 作曲:林萌々子
伸びる影追いかけてどこまで?
追い付きやしないよと笑って
抜け出した白い手をさらって
灰色のマフラー切り取った
出典: サーカス/作詞:林萌々子 作曲:林萌々子
『サーカス』の歌詞には、さまざまな色彩をあらわす言葉が出てきます。「青色」とサビたブランコは「茶色」ですよね。
また、影は「黒」で「白い」「灰色」とモノトーンのグラデーションが描かれています。
このように、色を感じさせる歌詞が出てくるのはサーカスのカラフルさを表現するためではないでしょうか。
恋人たちの風景
もうすぐ着くから
ああ このままいっそ
連れ去ってくれないか
出典: サーカス/作詞:林萌々子 作曲:林萌々子
国道24号線 歩道橋100円コーヒーと
朝焼け待つ君の横顔と
言葉を待つ僕を照らす月
出典: サーカス/作詞:林萌々子 作曲:林萌々子
色彩豊かな街の様子と、その中で時間を過ごす恋人たちの風景も印象的です。
冬の寒い夜に手をつないで歩いているのでしょう。「もうすぐ着く」というのは、目的地についてしまうことをあらわしています。
いつかは手を離さなければいけないことはわかっていますが、もっと恋人と一緒にいたいと感じたことは誰にでもありますよね。
そのため、一緒にどこかに「連れ去ってくれないか」と考えています。
寒かったのであたたかい缶コーヒーを買って、歩道橋の上から街をながめているのでしょう。
もしかすると、できるだけ時間をかけて帰り道を歩いているのかもしれませんね。
「朝焼けを待つ」という歌詞から、もうすぐ夜が明ける時間であることがわかります。
今はまだ、恋人からの言葉を待っている「僕」を月を照らしています。