ここでは“アマテラス”というワードが飛び込んできます。
アマテラスとは、日本神話の主神として登場する神さま。
皇室の祖神とされており、全国の神社で祀られている神々の言わば「ボス」です。
やや挑発的な本曲とは言え、謙虚な彼らがよもや自分たちを神格化しているとは考えにくい。
だとすれば、どんな含みがあるのか?
単に“遥か昔から”という時称を表しているだけかもしれませんが、個人的には“言霊”につなげているのではないかと考えます。
古くから日本には、言霊信仰というものがあります。
言語そのものには霊力が宿っており、言葉にはそれを実現する力があるという考えです。
“良い言葉が良い行いとなり、良い未来(幸福)を引き寄せる”と信じられています。
余談ですが、“アマテラスオオミカミ(天照大神)”という10文字(10音)そのものにも力があると言われています。
苦難に見舞われた時、この言葉(お名前)を繰り返し口にするだけでも不思議な力が授かれるとか。信じるか信じないかは貴方次第ですがね。
翔くんが紡いだリリックは、まさに“嵐の言霊”なのではないでしょうか?
その力を信じ、本曲のリリックに託しているだと思います。
言葉にするというのは、とても勇気が必要であり、また責任も課せられます。
それを分かった上で言葉にしていると思うと、嵐の決意、その気迫たるや相当なものであることが窺えます。
アイドル・ラップのパイオニア
近年洋楽などでは、多くのポップ・アーティストたちがラッパーとコラボした楽曲を数多く発表しています。
K-POPのアイドルたちの楽曲では、当然のように自らがラップを入れています。
ラップという歌唱表現が、すでにHIP HOPというジャンルに留まっていないことは周知のことです。
ラップ=ラッパーという認識も薄れてきました。
日本でも、1980年代からブレイクダンスの流行に伴い、ヒップホップやラップを耳にする機会が増えました。
異色の演歌ラップ「俺ら東京さ行ぐだ(吉 幾三)」がヒットしたのもこの頃です。
1990年以降、スチャダラパーなどのヒップホップ・グループが登場。
ラップ・ミュージックが次々とリリースされ、ダンサーやDJ、ラッパーたちが活躍するようになります。
2000年を過ぎる辺りには、RIP SLYMEやケツメイシなどがメジャーデビューを果たし、その活躍により日本語ラップも市民権を得ました。
嵐が「A・RA・SHI」でCDデビューしたのは1999年。
日本のラップ・ミュージックが花開きだしたとはいえ、ジャニーズがデビュー曲からラップを取り入れたことには少々驚かされました。
おそらく“アイドルのくせにラップなんて”
…そんなHIP HOPファンからのやっかみなど、否定的な声も彼らの耳に届いていたことでしょう。
それでも彼らは貫きます。嵐は、“嵐の言霊”を伝え続けます。
「COOL&SOUL」が発表された2006年当時。
彼らのフラストレーションは頂点に達していたのではないかと推察します。
そこで、五人揃っての嵐、その決意の表れとして、本曲で高らかに第二幕の幕開けを告げる。
それと共にラップいう手法を用いて、アイドルが自らの言葉をファンに届けるというスタイル。
これにより“俺たちが先駆者(パイオニア)だ!”と宣言したのではないかと思うのです。
決意の表れ
そう 俺らがあくまで タイトなパイオニア
ya so cute 二番煎じ
出典: COOL&SOUL/作詞:SPIN 作曲:吉岡たく
“二番煎じ”は、最初の方にあった“似せてみようなら それは第二号”と同義かと思います。
他者を退け、自分たちの揺るぎない立場を誇示するものではなく、“俺たちはそれだけの覚悟で、これまでも、そしてこれかも貫いていく!”
という、こちらも決意表明のような意味合いなのではないかと考えます。
“ここ”ではない遥か向こうへ
この曲には一部台詞が含まれます。
のちのコンサートでは別のバージョンもあるようですが、次の台詞がオリジナルとされています。
話は4つ前のアルバムに遡ります。
“4つ前のアルバム”とは、2ndアルバム「HERE WE GO」のこと。
このアルバムに収録されている「Theme of ARASHI」の中に次のような歌詞があります。
比較分析
太陽光に被る雲
毎十秒近づくスロー
世紀ミレニアム 股にかけ
長い夜明けて 朝になれ
出典: Theme of ARASHI/作詞:Masayuki Iwata 作曲:Masayuki Iwata・Larry Hochman
「COOL&SOUL」では、この歌詞を引用し、以下のように歌われています。
太陽光に被る雲 “ここ”とかでなく“遥か向こう”
毎十秒近づくスロー 見上げる形 常に頭上
世紀ミレニアム 股にかけ 乗り越えるには高い壁
長い夜明けて 朝になれ 早い風受け喉渇いたぜ
出典: COOL&SOUL/作詞:SPIN 作曲:吉岡たく
過去の作品の一部を引用することの意味とは?
筆者が思うに、過去と現在のクロスオーバー。
これまでの自分の考え、してきたことを否定せずに、あるがままの自分を抱きとめる様なのではないかと思います。
過去と現在を切り離すことなく、ともにあってこそ未来へと繋がる。
あの頃のお前は、今もちゃんとここにいる。
だからともに行こう!“ここ”ではない”遥か向こう”へ…という感じではないでしょうか。
予言は的中⁈
HIPなPOPスター
眠る体も動き出す すぐに俺たちのことを欲しがる
アイドル タイトル 奪い取る
快速“マイク持つアイドル大国”奪い取る
出典: COOL&SOUL/作詞:SPIN 作曲:吉岡たく