神の手の中にあるのなら〜感じさせるもの
神の手の中にあるのなら
その時々にできることは
宇宙の中で良いことを決意するくらい
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雨上がり 高速を降りる
港区の日曜の夜は静か
君の部屋の下通る
映画的 詩的に 感情が振り子を振る
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「神の手の中」や「宇宙の中」など神秘的な言葉が登場します。
自分の意思では変えられない「運命」みたいなものが「神の手」だとしてら、
せめて今生きている世界が「宇宙の中」だと例え、「神の手の中」にいたとしても、この世界でいいことを決意するぐらいのことはしようと、叱咤しているようですね。
次に、「雨上がりの高速」からしっとりとした物思いにふける感じがします。
「君の部屋」は昔付き合っていた恋人でしょうか。
下を通って、感情が振り子みたいに揺さぶれらる感じには、まさに「あー」とこっちまで胸の奥が締め付けられるような気がします。
もしも 間違いに気がつくことがなかったのなら?〜思うところ
もしも 間違いに気がつくことがなかったのなら?
並行する世界の毎日
子供たちも違う子たちか
ほの甘いカルピスの味が不思議を問いかける
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だけど意思は言葉を変え
言葉は都市を変えてゆく
躍動する流動体 数学的 美的に炸裂する蜃気楼
彗星のように昇り 起きている君の部屋までも届く
出典:
「もし」の世界に浸っている雰囲気が感じられます。
「間違いに気づかず」もし「君」と一緒になっていたらと、小沢健二が振り返っている光景が思い浮かびますね。
ただ、ここでいう「間違い」とは悪い方に考える「間違い」ではないということです。あくまで、もう1つあった選択肢のことを指しているのだと思います。
例えばあの時、夢を追いかけずに付き合っていた恋人と一緒になっていたらと、想像できる人もいるかと思います。
切なくもありますが、どちらの道を選ぼうとそれは「間違い」ではないけれど、そちらを選んでいたら今はありません。
今とは違う子供達もいて、カルピスを飲んだかもしれないイメージが、妙にリアルさを感じさせます。
だけど意思は言葉を変え
言葉は都市を変えてゆく
躍動する流動体 数学的 美的に炸裂する蜃気楼
彗星のように昇り 起きている君の部屋までも届く
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それが夜の芝生の上に舞い降りる時に
誓いは消えかけてはないか?
深い愛を抱けているか?
ほの甘いカルピスの味が 現状を問いかける
出典:
とても幻想的な言葉が続き、小説のようにまたは映画を観ているような感覚です。
漠然としすぎてよく分からないといった意見もあるかもしれませんが、この神秘さが、根強いファンを生んでいるんだと思います。
「意思は言葉を変え」や「躍動する流動体」は小沢健二本人の意思だけでなく、人の中にある感情などを指しているのかもしれません。
人が持つ揺れ動く感情は美しくもあり、蜃気楼のように儚いのか、あるいは「もし」の世界に対して蜃気楼と例えているのか、聞き手に任せるような感じも伺えます。
その後の歌詞は、現状のあり方を自問自答しているようにも捉えられます。
「誓いは消えていないか?」「深い愛を抱けているか?」など、今の家族に対する自分の気持ちを唄っているのか、客観的になっている節があります。
ここでまた「カルピス」が出てきて、聞いている側にもほのかにリアルさを感じさせます。
「流動体について」は結局のところ何を言いたいのか?
実は「流動体について」がリリースされる前に、97年に「ある光」という曲がリリースされています。
「流動体について」は「ある光」の先を歌っているのはないかとも言われているんです。
つまり、ストーリーの時系列は「ある光」→「流動体について」と物語があるのではないでしょうか。
○○の先を歌った曲だった!?
「流動体について」では羽田沖にあるのは空港。
そして「ある光」の歌詞にはJFK国際空港が出てきます。
つまり、「ある光」ではJFK国際空港にいた僕は、「流動体について」では羽田空港に戻ってきていることになりますね。
「東京に着くことが告げられる」という歌詞も、それまで海外にいた「僕」が久しぶりに日本に帰ってきたというニュアンスに捉えることがでます。
アメリカにいた小沢健二が、新曲を日本でリリースして、日本に帰ってきた心情にも似ています。
また、「ある光」では「僕」という一人称しか登場しませんでしたが、この歌では「僕たち」という二人称になって日本に帰ってきています。
このことから、海外で出会った誰かと一緒に日本に帰ってきて、家族を持っているとも捉えることができますね。
つまり、「あの光」から先のストリーを歌っているのが「流動体について」ということになるのではないでしょうか。
まとめ
小沢健二さん19年ぶりの新曲「流動体について」の歌詞を詳しく紐解いてみましたが、どうでしたでしょうか?
魅力的な言葉を使い、丁寧に歌詞が作られいることがよく分かります。
歌詞の1つ1つにしっかりとした感情も込められています。
神秘的な言葉だけではなく、「地下鉄の地図」や「カルピス」といった馴染みのあるリアス感のある言葉を選んでいるところも、さすがですね。
皆さんもぜひ、歌詞の意味をもう一度ゆっくり味わいながら、聴いてみるのもどうでしょうか?
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