口づけの回数が多いことからもわかるとおり、とにかく二人は片時も離れがたいほど深く愛し合っています。
ここで気になってくるのがタイトル。
つまり歌物語に登場する二人はボニーとクライドという名前です。
ボニーとクライド(Bonnie and Clyde)は、1930年代前半にアメリカ中西部で銀行強盗や殺人を繰り返した、ボニー・パーカー(Bonnie Parker、1910年10月1日 - 1934年5月23日)とクライド・バロウ(Clyde Barrow、1909年3月24日 - 1934年5月23日)からなるカップルである。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ボニーとクライド
アメリカに実在したカップルの話だとすると、重ねた悪事を許してほしいということになります。
この実話を元に制作された映画「俺たちに明日はない」はアメリカで1967年に公開されました。
ウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイが演じた、明日をも知れない逃避行。
当時の若者たちを熱狂の渦に巻き込み、アメリカン・ニューシネマの代表作の一つとして語り継がれています。
また1969年には「ウッドストック・フェスティバル」も開催されました。
共にロックの歴史を彩るカウンターカルチャー(対抗文化)の象徴です。
この点を踏まえると、イギリスのグラムロックからアメリカのラブ&ピースへと急展開することに対するお断り。
そう解釈することもできそうです。
二人はどうなるの?
全身全霊をかけるもの
今ここにある全てで俺らは
生きていくからジャマしないで
出典: ボニーとクライドは今夜も夢中/作詞:志磨遼平 作曲:志磨遼平
1960年代や1970年代はロックミュージックにとっても激動の時代だったといえるでしょう。
イギリスとアメリカが中心となって、世界中にムーブメントを巻き起こしたわけです。
1980年代生まれの志磨遼平さんは、リアルタイムでこの時代の音楽を体験したわけではありませんね。
ロックの系譜を辿るかたちで吸収したことになりますが、それでも音楽は時代を越えて生き続けます。
この歌物語の二人、和製ボニー&クライドにとっては現在、目の前にある愛しか関係ありません。
志磨遼平さんにとっては、グラムロックとラブ&ピースに全身全霊をかけるという話ではないでしょうか。
究極のロック愛、音楽愛。
そんな情熱が伝わってきます。
未来はない?
どうか神様お願いこのまま朝まで
出典: ボニーとクライドは今夜も夢中/作詞:志磨遼平 作曲:志磨遼平
実在したボニーとクライド。
映画「俺たちに明日はない」のウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイを重ねてみても、結末は悲惨です。
許されざる悪事を次々と重ねたわけですから、当然の結果かもしれません。
幸せな未来は訪れない状態です。
ロックの系譜を辿る志磨遼平さんにはラストがわかっていたはず。それでも明日がくることを願っています。
ここにも何か理由がありそうです。
まとめ
許しを求めたところで報われない。
結末がわかっていながら、なぜ悪事を重ねた二人を引き合いに出し、最後まで許しを願っていたのでしょうか。
想像力を働かせて深読みすると、思い当たるのはサディスティック・ミカ・バンド「タイムマシンにおねがい」。
1970年代に活躍した、伝説のロックバンドのヒット曲です。
志磨遼平さんにとっては、サイケデリックロックやグラムロックをいち早く取り入れた、偉大なる先駆者。
そんなリスペクトも込められているのではないでしょうか。
こうした点を踏まえると、志磨遼平さんが夢中になっているロックという音楽は脈々と受け継がれています。
ロックには明日がある。
そう解釈することもできそうです。
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ドレスコーズ/人間ビデオ
いかがでしたか?
毛皮のマリーズ「ボニーとクライドは今夜も夢中」は甘いラブソングです。
ところが志磨遼平さんの生き様に照らし合わせると、深いロック愛が見えてくるという興味深い曲でした。
若い世代の方も、ロックの歴史を追体験できたのではないでしょうか。
さて、毛皮のマリーズが好きな方はドレスコーズも気になるはず。
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