忘れたことは大事なこと
あぁいつのまに 涙さえ忘れて
あぁ泣きながら 生まれたのに
出典: いつのまに/作詞:吉田美和 作曲:中村正人
今までは周りを気にせずに思いっきり泣いて、精神的に成長していくことができました。
でも大人になってからは泣くことすらできなくなっているのです。
涙を流すことがまるで悪いことのように思えてしまいます。
言葉も知らない赤ちゃんの頃は、泣くことによって周りに感情を伝えてきました。
成長していくにつれ、言葉によって感情を隠すことを覚えます。
そうやってどんどん自分の気持ちに嘘をついてしまったから、いつ涙を流せばいいのかが分からないのです。
素直な気持ちだったあの頃を懐かしむ様子と今の自分の不甲斐なさを感じるフレーズになっています。
明日に少しだけ期待
思いためこんでは捨て 夢は覚め
落ちる先は かなり深め
火曜の雨 明日のため 止め
出典: いつのまに/作詞:吉田美和 作曲:中村正人
「いつのまに」に登場する言葉はとても少ないです。
その数少ない言葉の一つ一つに重みがあり、つい自分の昔を思い出しながら聴いてしまいました。
この部分の歌詞もネガティブな気持ちが伝わってきますが、最初と比較すると少し前向きな様子が分かります。
雨が止むように願っているのは、明日こそは素敵な日であってほしいという願いなのではないでしょうか。
ただ泣いてばかりいる日々から一歩進み出したいと考えています。
決して人生を諦めているわけではなく、素直になれないから遠回りをしてしまうだけなのです。
一度ドン底に落ちたのならばあとは這い上がるしかありません。
この楽曲には"初心忘れるべからず"という大きなテーマが含まれているように思えました。
ラストのサビに込められた想い
忘れてしまったのは涙だけ?
あぁいつのまに 涙さえ忘れて
あぁ泣きながら 生まれてきたはずなのに
あぁいつのまに 泣くことを忘れて
あぁいつのまに 叫ぶ声も失って
あぁいつのまに 涙さえ忘れて
あぁ人はみな 泣きながら生まれるのに
出典: いつのまに/作詞:吉田美和 作曲:中村正人
このサビから「いつのまに」だけをタイトルとして切り取ったのは、その先に続く言葉が人それぞれだからです。
自分の感情を忘れただけではなく、言葉すらも人に伝えられなくなってきています。
"空気を読む"といえば聞こえがいいかもしれませんが、結局は逃げているだけなのです。
泣いたらわがままだと思われてしまう…声をあげたら面倒くさい奴だと思われてしまう…。
そうやって周りの目を気にしすぎた結果、感情を隠すことが上手になっていきます。
素直な自分に戻りたくても戻れないことが自分自身でも分かっています。
だからこそ昔を思い出して切ない気持ちになってしまうのでしょう。
人知れずひっそりと泣く大人は決して弱い人間なんかじゃありません。
枯れるまで泣いた後は青空のようにすっきりと晴れた心になれます。
「いつのまに」の歌詞の少ないフレーズから浮かんでくる情景が非常にエモーショナルです。
端的な表現ですが、自分の過去の記憶と重なってつい感情移入してしまいます。
ドリカムの楽曲に共感できるのは、日常のありふれた感情を私たちに思い出させてくれるからかもしれません。
まさに吉田美和マジックにかかったような歌詞でした。
最後に
今回はドリカムの楽曲「いつのまに」について紹介してきました。
昔のように純粋な気持ちになれなかったとしても、その頃の想いを忘れなければいいのです。
過去には戻れないけれど、それなら新しい時代を一生懸命生きていけばいい…。
切ないように感じるけれど、実は前向きなニュアンスも込められている歌詞に胸を打たれました。
人生で立ち止まりたくなったときには是非この楽曲を聴いてみてください。
おすすめ楽曲を紹介
DREAMS COME TRUE「何度でも」の歌詞を紐解く - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
DREAMS COME TRUEは吉田美和と中村正人からなるユニットです。「何度でも」はDREAMS COME TRUEの35作目のシングルで2005年2月16日発売されました。ヴォーカルとベースの2人編成から織り成される楽曲は長い間、愛され続けています。今回はそんな2人の「何度でも」の歌詞に迫ります。
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