待望のファーストアルバム
ずっと真夜中でいいのに。(以下:ずとまよ)がリリースした待望のファーストアルバム【潜潜話】。
ひそひそばなしと読むセンスがずとまよらしくてキュートですね。
親しい友人に内緒話をされるような親密感があります。
存在感のあるパッケージ
初回限定盤は、魔導書みたいな重厚なパッケージ。
13曲という圧巻のボリュームで、そのうちの7曲は新曲でした。
魔導書が囁く物語
フロントマンのACAねが作り上げた、感受性豊かな世界観を囁く魔導書。
それぞれの物語ごとに語られるストーリーは違いますが、アルバム全体を通して共通するモチーフがあります。
それは、絶妙に届かない距離の誰かの存在。
そして、詩的にこじらせたメランコリックです。
今回は、この「届かない君」と「物憂げな私」という2つの観点を軸に、魔導書アルバム【潜潜話】を全曲解説していこうと思います。
ぜひ最後までお付き合いください!
脳裏上のクラッカー
楽曲性
届かない君
包帯みたいにぐるぐる巻かれて
脊髄反射で君に触れたって
もう終わりが見えてしまうから
出典: 脳裏上のクラッカー/作詞:ACAね 作曲:ACAね
理性的なばっかりに踏み込めない自分と、触れても終わってしまう君という図式。
ここでいわれる理性的とは、内向的で臆病な印象をもつ一種の賢さです。
誰かに踏み込みたいけど勇気が出ないから、終わりが見えてしまったという事実を信じ込む知性。
そういうアンニュイな歌い出しから、楽曲は進んでいきます。
なんで?隣にいなくてもいいよ いいの いいよ
って台詞を交わしたって
意味ないこともわかってる わかってる
わかってるから 繋ぎ止めてよ
出典: 脳裏上のクラッカー/作詞:ACAね 作曲:ACAね
明らかに隣にいてほしいと思っている。
しかし、そんな駆け引きに意味はないほど君の心は離れているように感じています。
わかってるから繋ぎ止めてくれたという証拠が欲しい。
もし私がこの曲の主人公だったら、やりきれない思いでいっぱいです。