ずっしり重い曲調と歌詞の居眠り遠征隊が終わると、軽やかなピアノがはじまります。

「君」に対しての距離感を図りかねている私が描かれています。

曖昧な解決 どう足宛いても
単純問題回答ならば
表 裏 使い切って
遠ざかる練習 繰り返すの

出典: ハゼ馳せる果てるまで/作詞:ACAね 作曲:ACAね

遠ざかりたい問題が、単純な行動では解決できないことが推測できます。

曖昧な解決に甘んじている、という絶妙な心理状況が繊細に歌われるメランコリーなナンバーです。

会いたいは有限 壊さないように
確かめてしまう癖を
嫌がらないで もう助けてよ
また スパイラルに絡まる

出典: ハゼ馳せる果てるまで/作詞:ACAね 作曲:ACAね

このような感情に共感できるかどうかが、ずとまよにハマれるかどうかの大きな要因だと思います。

自分の価値を限定化している自己肯定感の低さが、このセンテンスの鍵です。

自分を自己嫌悪の渦中に虐げながらも、「助けてよ」と救いを求める一見エゴイスティックな感情。

愛をたしかめている、という様子が顕著です。

もういいよ もういいよ
君の意味になれないのなら
上昇気流 奪って 引き止めたりしないで
簡単に可能性 与えないでいてね

出典: ハゼ馳せる果てるまで/作詞:ACAね 作曲:ACAね

届かない……あるいは届かないと私が思いこんでいる君への思いと、内向的に繊細な私の姿がみうけられます。

可能性を与えないでほしいという一文はやや自罰的な面持ちです。

けだるくどろどろした感情を扱っていながらも、曲調はどこまでも軽やかです。

蹴っ飛ばした毛布

重力感のある、ダウナージャジーなナンバーです。

ずっと解決が答えじゃないことが
苦しいの わかってるけど

出典: 蹴っ飛ばした毛布/作詞:ACAね 作曲:ACAね

「解決が答えではない」という詩は、前曲の「曖昧な解決」という詩と関わりがありそうです。

この曲でも歌われるのは「答えのない苦しみ」。

どれだけ単純でも 遠回して伝えるから
君がどうなのかを 教えてほしいから

出典: 蹴っ飛ばした毛布/作詞:ACAね 作曲:ACAね

その苦しみの根本とは、「君が私とわかり合おうとしたいのか、わかりたい」という欲求なのではないでしょうか?

前曲から引き継いで、同じような関係性の2人の姿がみうけられます。

すぐ比べ合う 周りがどうとかじゃ無くて
今 隣にいたいんだ

出典: 蹴っ飛ばした毛布/作詞:ACAね 作曲:ACAね

ただ、そこに自罰的な空気は薄く、素直に外界に働きかける力を感じます。

Dear Mr 「F」

シンプルなピアノと歌声の美しさを魅せる、ある意味ソリッド楽曲です。