夜中に起き上がる

MV内で銀髪のアヴちゃんは夜中に起き上がります。

起き上がって徘徊しているから、「あれ?生き返ったの?」と最初は思いました。

でも、後半ではあの貞子が画面内に登場していますね。

通常貞子は恐怖の対象として知られる存在ですが、アヴちゃんに対しては友好的な印象を受けます。

まるで仲間だと思っているかのような…。

つまり、アヴちゃんはやはり死んでいて、貞子のような霊的な存在になったのではないでしょうか?

外に出ようとするアヴちゃんの手を掴む

霊になったアヴちゃんは、自分が生きているものとして動いていたのでしょう。

周囲の状況を確認したのち、教会の外へ出ようとします。

そこで、貞子が腕を掴みアヴちゃんの歩みを止めました。

「あなたはもう死んだのよ。外の世界の人は霊を怖がるからここにいるべきだわ。」

そんな言葉を投げかけたのではないかな、と筆者は思います。

最後には、アヴちゃんの抱えるショックや悲しみを膝枕をしながら癒しているようです。

そう考えると、貞子って母性本能のある優しい人柄なのかもしれないですね。

ここが女王蜂らしさ

女王蜂【聖戦(Holy War)】MVを徹底解説!生きてるの?死んでるの?貞子が登場する理由に迫る!の画像

女王蜂楽曲は、固定概念に切り込んでいくものが多く見られます。

売春の当事者の心情を歌ったり、複数の国籍を持つミックスの胸の内を歌ったり…。

そして今回は、世に恐れられている貞子という霊的な存在の人柄を演出しています。

貞子に対して「怖い・敵・襲ってくる・化け物」などのイメージを抱く人は少なくないのではないでしょうか?

でも、貞子は根っから人を襲うことを目的としている訳ではないのかもしれません。

生前に積もり積もった怨念があるからこそ、この世に留まり、彷徨っている…。

実際は優しく穏やかな側面もあるのではないでしょうか?

そう考えさせてくれるようなMVです。

楽曲の世界感も覗こう

希望を失いかけている

「もう誰のことも信じられない」
ありふれた言葉にそっと身をまかせて
やさしさではたどり着けない
安らぎを求めて きっと帰れない

泣き方を忘れた正しさなんて
いやだ

出典: 聖戦(Holy War)/作詞:薔薇園アヴ 作曲:薔薇園アヴ

MVではアヴちゃん自身が死ぬ演出でした。

でも歌詞はというと、心が瀕死状態に陥っている気がします。

深い人間不信に陥っており、どんな言葉も「また裏切られる」と思って受け入れられない状況…。

タイトルが「聖戦」であることから、主人公は戦いの最中で希望を失いかけているのかもしれません。

今は苦しくてもいつか…

いつか笑える日が来るさ
いつか笑える日が来るさ
いつか笑える日が来るから
そのときにすこし思い出して

出典: 聖戦(Holy War)/作詞:薔薇園アヴ 作曲:薔薇園アヴ

MVでは高らかに笑顔でサビを歌うアヴちゃんが印象的でした。

どんなに絶望に堕ちてもいつか笑える…だから希望だけは見失わないように生きよう。

そう歌っているような気がします。

最後に思い出すように促しているのは「世界に対する信頼感」なのかもしれません。

今は過酷な状況下で信じられなくても、いつか状況が変わった時に温かい感情を思い出してほしい

そんなメッセージだと考えられます。

わずかな希望

「もう誰のことも信じられない」
心は動かない
そっと閉じてゆく

助けたって救えないな
それでも どうか いつか

出典: 聖戦(Holy War)/作詞:薔薇園アヴ 作曲:薔薇園アヴ

息絶えて目が閉じるように、瀕死状態の心も閉じていきます。

もう救いようがないほど堕ちてしまったことを自分で認識しているのでしょう。

それでもわずかな希望を抱いています。

今は辛くてもいつかきっと、この聖戦は終わるはず…。

だからせめてその日までは生き延びよう

そんな思いが読み取れます。