実験的楽曲

そして、カップリングであるからこその自由さをまとめて味わえるというのも今作の良い点ではないでしょうか。

表題曲というのは、やっぱり耳につくキャッチーさが求められます。

特にサカナクション人気バンドですから、タイアップがつき、クライアントからのオーダーによって曲が左右されることもあるでしょう。

対してカップリングはそんな“大人の事情”にあまり左右されず製作することができます。

ですから、その時にサカナクションが何に興味を持って、どんな音を目指していたのか、より明確に感じることができるんです。

ちょっと小難しく言いすぎました、つまりは、サカナクションめっちゃ好きなひとにおすすめってこと。

歌詞

ホーリーダンスとは?

外の音が鳴り止む時間 
闇に着飾られた水面
子を追いかけて飛ぶコウモリを
見上げて深く息した

出典: ホーリーダンス/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎

ではまずはタイトルから。

「ホーリーダンス」ですから、“聖なるダンスですね。

タイトル通り、ダンスチューンのような軽快なメロディが特徴の今作。

では聖なるダンスとは何でしょう?

ダンスはもともと、宗教的儀式の一環だったことは広く知られています。

無心で音楽に合わせ体を動かしていると、一種トランス状態のようになりますよね?

頭が、熱が出た時のようにぼーっとしてくるアレです。

あの感覚に、神様と近づく感覚を見出し、文字通り“聖なる”儀式として行っていたんだそうです。

そんな意味であると仮定して、歌詞を見ていきましょう。

痛みに鈍くなりだす年齢 
ひそひそ笑うように踊るルアー
藻がこびりつく世界に
飲み込まれて行けないな 
行けないな

出典: ホーリーダンス/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎

そしてもうひとつ、楽曲を製作した山口さん自身が作り上げたMVも大きな意味を持ってくるでしょう。

それが、釣りと楽曲発表の緊張感。

“藻がこびりつく世界”とは、そんな緊張感に負け、ファンに媚びたような製作、ととることができそうです。

タイトルが神様との対話であるダンスであるなら、彼にとっての音楽とは、彼の中の神様だけを信じて行うものであるはずですから。

だから今を 置いて 上へ 飛びたいな

出典: ホーリーダンス/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎

考えてみれば、魚を釣り上げるフィッシングと、リスナーに響く楽曲を作り続けることは似ているかもしれません。

素敵な音をちらつかせ、音楽を購入させることは、まるでルアーを華麗に操り釣りあげる行為のようです。

泡になって消えていく石鹸 
頭の多くを占めてる不安を
こねくり回して川に放り投げて
捨てたいな 捨てたいな

出典: ホーリーダンス/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎

しかし、では何の苦労もなく素敵な音を次々生み出せるかといえばそんなことはもちろんありません。

悩み、苦しみ、やっとの思いで生み出したそれも、いざ発表する段になれば、もちろん緊張もするでしょう。

失望させたらどうしよう。

サカナクションはもう終わりだなんて、思われてしまったらどうしよう。

絶対の自信のあるクリエイターなんて、この世にはきっと存在しません。

ホーリーダンス 
ホーリーダンス 
ホーリーダンス 
放り出して逃げ込んだ
ホーリーダンス 
ホーリーダンス 
放り出して逃げ込んだ

出典: ホーリーダンス/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎

だからこそ、「ホーリーダンス」のフレーズは“放り出す”に聞こえます。

神様を信じて、音楽を信じて、創作に向き合うことは苦しく、毎日放り出したくなる瞬間ばかりでしょう。

ポップに言ってるけど、生みの苦しみって、しんどいものでしょう。

今を置き去りにして、どこかに飛んでしまいたい。

そんな、弱音にも思える歌詞で作り上げたのは、ポップなダンスチューンです。

ミュージシャンって、そういう種類の魔法が使えるんですよね。

終わりに

いかがでしたか?

カップリング曲ですから表題曲に比べると若干難解な曲が集まっていますが、

だからこそ二度三度と聴き直すうちにどんどん魅力が増してくるというもの。

ぜひ、今回紹介したアルバムもチェックしてみてくださいね。

「ホーリーダンス/サカナクション」のMV動画が意味深?収録アルバム&歌詞の意味もじっくり解説♪の画像