「メトロ」の楽曲そのものは5分あまりですが、MVはショートバージョンなので1分半ほど。
この短いなかにもドラマチックなストーリーがギュッと凝縮されているところがおもしろいです。
どこか懐かしい感じがするレトロな作風で、ちょっぴり不思議な映像に仕上がっています。
登場するのは女優の小松菜奈さん。
マーティン・スコセッシ監督の映画「沈黙-サイレンス-」にも出演した若手演技派ですね。
独特の雰囲気があって美しい……と見とれてしまいます。
関和亮監督
地下鉄の駅というと、通勤や通学で利用する人にとっては日常的で何気ない場所のはず。
ところが「メトロ」のMVはファンタジックというか、少しだけ非日常的な雰囲気になっています。
このちょっと変わったMVのディレクションをしたのは、関和亮監督。
絶妙に風変わりな代表作といえばサカナクションの「アルクアラウンド」ではないでしょうか。
この「アルクアラウンド」のMVが撮影されたのは幕張メッセです。
ライブ会場として親しまれている場所に置かれたのは、タイポグラフィーのオブジェ。
山口一郎さんが歩き回ると歌詞が浮かび上がるという不思議な仕上がりになっています。
何気ない日常にひそむ少し奇妙な映像が得意な監督なんですね。
こうした点も踏まえて、JUJU「メトロ」のMVを解説していきます。
MV解説!地下鉄の駅で妄想してみた
地下鉄のホーム。
小松菜奈さん演じる女性はイヤホンで音楽を聴きながら、JUJUの「メトロ」を口ずさんでいます。
ジャケットにロングスカート、シンプルなバッグという姿からすると会社帰りのOLでしょうか。
ちょっぴり浮かない表情にも見えます。何か上手くいかないことでもあったのかもしれません。
JUJUの歌を聴いて妄想?
ホームの反対側からのアングルに切り替わると、ちょっぴり不思議な映像が展開されます。
電車を待っている小松菜奈さんはそのままの立ち姿ですが、まわりの人たちが変。
最初は早回しみたいにクルクルと動きますが、一瞬スローモーションになるのです。
しかも満面の笑みを浮かべ、諸手を挙げて踊っています。このときだけは小松菜奈さんも笑顔。
その夢のような瞬間はどうやら小松菜奈さん演じる女性の妄想だったみたいです。
すぐに普通の状態に戻ります。JUJUの「メトロ」を聴いて妄想したのかもしれません。
小松菜奈が男性を蹴り上げる?
地下鉄のホームで場所を移動し、乗車位置に並ぼうとする小松菜奈さん演じる女性。
そこへ男性2人が割り込んできます。しかもサングラスをかけた男性はにらみを利かせるのです。
イヤ~な感じですが、小松菜奈さんはそっと目をそらします。
パンチ&キックは妄想
一瞬の光とともに、ファイティングポーズをとる小松菜奈さん演じる女性。
そして強烈な右ストレートのパンチで、サングラスの男性をノックアウトさせます。
さらにもうひとりの男性もハイヒールで蹴り上げるのです。
そのままくるりと回転する小松菜奈さんに重なる光。どうやらこれも妄想だったのでしょう。
何事もなかったかのように男性2人は小松菜奈さんの前に立っていて、電車に乗り込みます。
女性の強さと繊細さが絶妙に表現されている
いざというときは強い面を持ち合わせている女性でも、理性で抑えることはできるもの。
怒りを感じても、スカッとする妄想に浸るだけでやり過ごす女性の繊細さが表現されています。
パンチ&キックの破壊力とその後ナイーブにうつむいたときのギャップが絶妙ですね。