ガムが表現するのは?
素晴らしい日々よ
噛み続けてたガムを
夜になって吐き捨てた
出典: 忘れられないの/作詞:Ichiro Yamaguchi 作曲:Ichiro Yamaguchi
ガムは過去を表現しています。
新生活を迎えたのに「淋しさ」に浸ってしまう…。
過去の幸せを味わい続ける自分は、いつまでも同じガムを噛み続けるようだと歌っています。
もうわずかしか味を感じない。
そう分かっていても噛むことで安心したい。
そんな、過去にいつまでも縋ってしまう自分の弱さに目を向けているのだと思います。
しかしこの歌詞パートの3行目で、彼はそのガムを吐いて捨てています。
これは過去の幸せに浸る自分との決別を意味しているのではないでしょうか。
上京して、自立への道を進む主人公。
それでもまだ弱いままの自分を変えたいと思っているのでしょう。
彼が大人への1歩を踏み出そうとしているということが伝わる歌詞です。
主人公が過去よりも未来へ目を向けようとしていることが端的に表されているパートといえるでしょう。
新生活で沈む気分
つまらない日々も
長い夜も
いつかは
思い出になるはずさ
出典: 忘れられないの/作詞:Ichiro Yamaguchi 作曲:Ichiro Yamaguchi
「君」がいない新生活なんて面白くない。
「楽しい」とか「幸せ」と思える要素が見つけ出せないのだと思います。
長い夜というのは、なかなか寝付けないという意味かもしれません。
また、何度寝ても気分が晴れない、という意味も考えられます。
楽しい時間はあっという間。
ですが、憂鬱な気持ちは果てしなく長く感じるものです。
いつか「あんな過去もあったね」と笑い飛ばせるようになるといいですね。
ここでは主人公が以前までの自分から、新しい自分へと変化しようとしていることも分かります。
今の辛さもいつかは良い思い出になると、今を前向きに捉えようとしているのでしょう。
しかし長い年月を過ごした慣れ親しんだ場所での思い出はそう簡単に手放せるものではありません。
自分にとっての新しい居場所をまだ見つけられずにいるのでしょう。
1人で上京して孤独感を感じているということがよく分かる歌詞パートです。
過去と未来の狭間を彷徨う
ここからは主人公の内面にさらに深く入り込みます。
そもそも、どうして過去を思い返してここまで落ち込んでしまうのでしょうか?
「答え」って何?
ずっと
ずっと
隠してたけど
ずっと昔の
僕の答えをまた用意して
出典: 忘れられないの/作詞:Ichiro Yamaguchi 作曲:Ichiro Yamaguchi
「ずっと」は地元にいる時からという意味でしょう。
長い間胸の内に隠していた「答え」。
どんな内容なのか気になりますね。
それをどうして隠してしまったのでしょうか?
まずは歌詞を読み進めて、その真相を考えていきましょう。
この「答え」という言葉は、楽曲の根幹に関わるもの。
丁寧に紐解いていきます。
主人公の心を覗こう
夢みたいなこの日を
千年に一回ぐらいの日を
永遠にしたいこの日々を
そう今も想ってるよ
出典: 忘れられないの/作詞:Ichiro Yamaguchi 作曲:Ichiro Yamaguchi
サビでは「かけがえのない過去」への想いが溢れだします。
二度と同じ経験はできない。
その時感じた「幸せ」が消えることはない。
そう思えるほど素敵な時間を過ごしてきたのですね。
ここまでのフレーズでは「過去にいつまでも縋ってはいけない」と言い聞かせている印象を受けました。
また「過去より素晴らしい未来なんてない」という思考もあると思います。
これは知らず知らずのうちに、過去と未来を比較してしまっているから生じる考え方。
比較すればどちらかを選択しなければなりません。
未来を選べば過去を否定する。
過去を選べば未来を否定する。
この2つの選択肢の狭間を彷徨うから苦しいのだと思います。
でも、サビで考え方が変わりました。
素晴らしい過去はいつまで経っても素晴らしいまま。
未来と比較する必要はないと確信を持ち、視野が開けたのかもしれません。
旅立ちが与えた心の成長も表現されているのではないでしょうか。
くよくよと悩んでいた思春期の自分から、新たな場所へと移ったことによって生じた心の揺れ動き。
それを通して、主人公はまた1つ大人になろうとしているのでしょう。
自身の原動力として、過去をかけがえのないものとして自分の胸に抱えて行こうと考えているのです。
この想いは忘れたくない
ラストにかけて、主人公が「君」に向ける想いの詳細が明らかになります。
この楽曲のメインテーマともいえる重要な部分をご覧ください。