二人の間に亀裂が生まれた経緯が明らかになります。

原因は自分にあると、主人公は考えているようです。

君は主人公のプライドを守るために、いつも気を遣ってくれていたのではないでしょうか。

そのことに主人公は気づくことができませんでした。

あくまでもたとえばですが、主人公からのプレゼントを「これが欲しかったの!」と言ってみたり。

嫌いな食べ物を「おいしい!」と言ってみたり。

そんな二人の些細なすれ違いが積み重なって、やがて二人の関係に亀裂が生まれてしまったのでしょう。

離れてから気づいた君の優しい嘘に、主人公は後悔と不甲斐なさを感じているようです。

結局、その亀裂は埋まることはなく、時計の長針と短針のように離れていく一方でした。

全部捨て去りたいけど

君のカケラ詰めたゴミ箱
抱え動けない

出典: 秒針 Re:time/作詞:末吉秀太・HIROTOMO 作曲:HIROTOMO・中山英二

別れた後、一度は君との思い出を全て捨て去ろうとします。

君からもらったプレゼントやお揃いで買った服といった物理的なもの

君がくれた楽しい思い出や愛といった精神的なもの

どちらも捨てて、新しい生活をスタートさせたかったのでしょう。

しかし捨てる準備まではできたものの、実行することはできませんでした。

主人公の中にまだ彼女への未練が残っているということでしょう。

あの時に戻れたら…

サヨナラ まだ最後にくれた
涙と笑顔がまぶた焦がしてる
せめて秒針Re:time
君があふれた部屋に鍵をかけて

出典: 秒針 Re:time/作詞:末吉秀太・HIROTOMO 作曲:HIROTOMO・中山英二

一番のサビに入ります。

君との別れのシーンを思い出す主人公。

きっと別れる最後の瞬間まで、君は優しい態度でいてくれたのではないでしょうか。

だからこそまだ未練が残っているのです。

君が颯爽と出て行ってくれたなら、ここまで思うこともなかったのかもしれません。

一秒だけでいいからあのときに戻って君に会いたいと考えているようです。

思い出を忘れてしまわないように

そして最後の一行。

これは君との思い出を閉じ込めておきたいということでしょう。

同棲をしていたのか、よく遊びに来ていたのか、部屋の中には君との思い出がたくさんあるようです。

しかし君はもうここにはいません。

まだ未練が残っている主人公は、思い出を忘れなくていいように閉じ込めようとしているのです。

いつも言えなかった思い

笑いあって描いた落書きに飲み込んだコトバ
空き缶に詰め込んだ僕の溜め息
キラいキラい嫌いだ こんな自分が
キラキラ笑顔は魔法のように

出典: 秒針 Re:time/作詞:末吉秀太・HIROTOMO 作曲:HIROTOMO・中山英二

君に伝えなければならないことを、いつも伝えられなかった

そんな思いを表現しているのではないでしょうか。

きっとそれは「好き」だという気持ちなのでしょう。

日常のふとした瞬間に感じる幸せ。

溢れてくる君への思いを照れ臭くて言えなかったのだと思います。

もしかしたら君は主人公のそんな葛藤を見通していて、優しい笑みを浮かべていたのかもしれません。

このままではいられない

君を載せた日々はポケットに
刻は動きだす

出典: 秒針 Re:time/作詞:末吉秀太・HIROTOMO 作曲:HIROTOMO・中山英二

後悔に暮れる主人公。

時間だけが過ぎていきます。

しかし心の中は、別れたあの日で止まったまま

そんな状況を打破しようと、ついに主人公は前へと進み始めます。

決して君との思い出を捨てるということではないのでしょう。

主人公にとっては消すことのできない時間であり、人生の一部だということに変わりはないからです。

君との思い出を励みに、心のドアを開けて踏み出します。

先の見えない生活

このまま ただ心を紡いで

選んだ未来はまだ霞むようで

溶けて滲んでいく

空に隠れた星に願いをかけて

出典: 秒針 Re:time/作詞:末吉秀太・HIROTOMO 作曲:HIROTOMO・中山英二

君といつまでも一緒にいること、それが主人公が望んでいた未来でした。

描いていた理想とは違う場所に一人でいる今、まだ先の見えない生活が続いているようです。