忠犬ハチの物語
この楽曲のモデルとなった「忠犬ハチ」とはどんなお話なのでしょうか?
まずは、「忠犬ハチ」の物語について見ていきます。
ハチは飼い主が亡くなった後も、駅で飼い主を待ち続けました。その期間は約10年にも及びます。
しかし飼い主と共に過ごした時間は僅か1年程です。
たった1年でも、ハチにとっては大切な時間だったのでしょう。
飼い主である上野育三郎氏がとてもハチを可愛がっていたことが分かります。
ハチはそんな飼い主のことが大好きだったのでしょう。だから、10年も待ち続けたのです。
ハチはどんな想いで、その10年を過ごしたのでしょうか?
「忠犬ハチ」の歌詞と共に、ハチの想いを読み解いていきます。
貴方に会いたい
毎日、飼い主を出迎えるために駅へ足を運んでいたハチ。しかし突然、別れが訪れました。
いつも同じ時間帯の汽車で、飼い主は帰って来ていました。
それなのにある日、いくら待っても飼い主の姿が見えません。
ハチはどんな想いで、帰り路を行く人々を眺めていたのでしょうか。
どうして帰って来ないの?
もうどれくらい時が経ったかな
雨の日も風の日も僕は
貴方の帰りを待ち続けてる
出典: 忠犬ハチ/作詞:ぷす 作曲:ぷす
歌詞の1行目の「どれくらい」というワードからハチは長い間、飼い主を待っていたことが分かります。
どうして今日は帰ってこないの?明日、帰って来るのかな。
ハチはそんな想いでひたすら、待ち続けたのでしょう。
この歌詞からは、飼い主が帰って来ないことに疑問を感じているハチの姿が思い浮かんできます。
今日こそ帰って来るはず。ハチは毎日、そう思っていたはずです。
そして気付いたら、長い年月が経っていたのでしょう。
早く帰って来て
知らない他人の怒声や怪我もしたけど
へっちゃらだよ
それで貴方に会えるのなら
怖くないから
いつまでも貴方を待ってる
出典: 忠犬ハチ/作詞:ぷす 作曲:ぷす
飼い主がいなくなり、お手入れをしてくれる人がいなくなったハチ。体はどんどん汚れていきます。
ハチのことを知らない人は、薄汚れた野良犬がウロウロしているとしか思いません。
駅前を野良犬にうろつかれても邪魔なだけです。
だから怒鳴り声をあげたり、手をあげる人がいたのでしょう。
いたずらを仕掛けてくる子供や、縄張り争いで喧嘩を仕掛けてくる他の犬もいたと思います。
知らない人の怒鳴り声はとても怖く、怪我だって痛かったはずです。
でもハチは平気なふりをします。
自分が嫌なことを我慢すれば飼い主が帰って来るかもしれない。
いい子でいれば飼い主が帰って来ると、ハチは信じているのでしょう。
「今日もいい子でお留守番しているんだよ」
きっと、飼い主からそう言われていたのかもしれません。
今日も帰って来なかった
今日こそ、帰って来るんじゃないか。そう信じてハチはずっと待っています。
でもやっぱり、飼い主は帰ってきません。ハチはどんな想いで一日を終えたのでしょうか?
ハチの気持ちを考えると、胸がとても痛くなってきます。
もう夕方だよ
今日の日も夕暮れに染まったけど
貴方の姿は無くて
列車の音 また期待して 僕は
出典: 忠犬ハチ/作詞:ぷす 作曲:ぷす
ハチは犬なので、時計を読むことはできません。
空がオレンジ色になり、列車の音がしたら帰って来ると感覚で覚えています。
毎日、空がオレンジ色になると飼い主の姿を探すハチ。
列車の音がするたび、ハチは飼い主が帰って来たのではと期待します。
駅からはたくさんの人が出てきますが、飼い主の姿はありません。
どうして帰って来ないの?もう夕方だよ。
そんなハチの切ない声が聞こえてくるようです。