藤原基央の日常で起きた事

【BUMP OF CHICKEN/ベル】歌詞を解釈!あなたのたった”ひとこと”が誰かを救うこともあるの画像

ファンの間では非常に有名ですが、ベル」は実体験をもとにつくられた曲です。

その他にも、同アルバム内では「ベンチとコーヒー」や「キャッチボール」など…。

これらも同様、実際にあった日常の出来事がもとになった曲。

日々の暮らしに寄り添う内容のせいか、どれもどこか温かな印象です。

スローで優しいメロディーに、藤原基央のエモーショナルなボーカル。

思わず涙がこぼれそうになる1曲です。

それでは早速、歌詞の内容を見ていきましょう。

日々の暮らしに疲れ切っている

変化についていけない毎日

重い体を 最終列車に乗せて
揺れながらなぞる 今日の事
ホームに降りて 気付いた事は
無くした切符と 猫背の僕

出典: ベル/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

ここでは自身の疲れ切った様子が描かれています。

もしかしたら、アルバムの収録をしていたのかもしれません。

だとすれば、終電の時間までスタジオにこもっていたのでしょうか。

メジャー2曲目にして大ヒットを遂げ、バンドとしてはかなり成功を収めていたこの頃。

その裏では、インディーズ時代との大きな変化に戸惑う気持ちも、きっと大きかったはずです。

メジャーに移り、全くの「今まで通り」とは行かなくなった彼ら。

周囲からのプレッシャーの中で、どんどんストレスを溜め込んでいたのかもしれません。

自分の本音はいったいどこへ

話したい事は 山程あるけど
なかなか言葉になっちゃくれないよ
話せたとしても 伝えられるのは
いつでも 本音の少し手前

出典: ベル/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

そしてこの辺りから、実体験とリンクしてきます。

「天体観測」の大ヒットによって、世間に広くその名を知らしめた彼ら。

自分たちの扱いがどんどん変わっていくことに、なかなかついていけなかったようです。

有名になったことで、周囲の人間からの連絡も絶えなかったとか。

さほど交友関係のない知人からも電話が来ることがあったようです。

ヒットしたらとたんに、手のひらを返すような態度をされる

本人はどうやら、こんな風に邪推してしまったそう。

連絡をしてきた人たちだって、決して悪気があったわけではないのでしょう。

でも疲れや焦りの中で、本人はかなりマイナスに考えてしまったとか。

ここはおそらく、そんな「人間不信」な様子があらわれている部分。

ただそんな状況ではなくても、大人になってくると本心はなかなか出せなくなってくるものです。

だって、本当に言いたいことを言ったって、伝わるかどうか分からないから。

本心を出して、自分が損をするのが怖いから。

上手く話せたとしても、その全てをさらけ出せる相手は果たしているだろうか。

これは年を重ねるにつれて、誰にでも生まれてくる葛藤です。

ふいに電話をくれた友人

耳障りな電話のベル
「元気?」って たずねる 君の声

出典: ベル/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

さらにここも、実際にあったことだとか。

とある友人から、本当にただ「気にかけてくれている」だけの電話が来たそうです。

バンド活動については一切触れてこず、ただただ心配して連絡をくれた友人。

その時の何気ない一言に、藤原基央はとても救われたと話しています。

この部分は、まさにその様子がそのまま歌詞になっている模様。

有名人としてではなく、普通の友達として接してくれた。

その温かさに、本人も安心したのでしょう。

今まで周囲にいた人たちとは、世界が遠く離れてしまうような孤独感。

そんな自分とは裏腹に、どんどん盛り上がっていく周りの様子。

微妙な温度差を感じつつも、そんなことは見なかったことにしなければいけない。

そうしているうちに、どんどん本当の自分が失われていくのではないか。

でも、そんな不安の中にいた自分に投げかけられた、何てことはない言葉。

特別なことではなく、案外「当たり前」なことが人を救うのかもしれません。

やっと自分を取り戻せそうな

僕の事なんか ひとつも知らないくせに
僕の事なんか 明日は 忘れるくせに
そのひとことが 温かかった
僕の事なんか 知らないくせに

出典: ベル/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

先述に出てきたその友人というのも、実はそんなに深い仲ではなかったのでしょう。

日常を共にするような仲ではないことは確かです。

今日たまたま、なんとなく思いつきで電話してきただけかもしれない。

もうこの電話以降は、連絡してこないかもしれない。

それでもミュージシャンとしてではなく、1人のただの人間として扱ってくれた。

一瞬だけでも、自分のことを気にかけてくれたのです。

この”知らないくせに”という本音が出てくるまでには、自分を取り戻せたのでしょう。