結局は後悔することばかり
現実からなんとなく逃れたい
疲れた心を 毛布で隠して
ため息でなぞる 今日の事
くしゃみをして 気付いた事は
マンガを買った事と 読まない僕
話したい事は 山程あるけど
なかなか言葉になっちゃくれないよ
もう寝てしまおう 夢でも見よう
底抜けに明るいヤツがいい
出典: ベル/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
この部分でも、なんだか随分グッタリしています。
読みたくて買ったはずのマンガにさえ、手をつけられないほど。
今日もまた、いつの間にか終わってしまった。
本当は疲れ切っているのに、この事実も見ないようにしています。
また明日も続いていくことにうんざり、といったところでしょうか。
そして心身共に癒しを求めるように、眠りにつく様子。
せめて夢の中だけでも、世界が明るいといい。
もはや、現実逃避のような領域まで来てしまっています。
そんな時にもまた聞こえてくる
目を閉じると思い出す
「元気?」って たずねる 君の声
僕の事なんか ひとつも知らないくせに
僕の事なんか 明日は 忘れるくせに
そのひとことが 優し過ぎた
優し過ぎて 言葉もでなくて
出典: ベル/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
「もう寝よう」としたところで、また思い出すあの電話。
もしかしたら、またあんな風に連絡をくれることを待っているのではないでしょうか。
あの優しい言葉の前でなら、自分の本心が言えたような気がする。
でもあの時、やっぱり本当に思っていることは言えなかったのです。
「自分が嬉しいと思った分、こちらも何か返さなければいけない」
実はこんな風に、返答を考え込んでしまったのかもしれません。
こっちだって、深く考えずに何か言葉をかければよかった。
けれどもどうやらその場では、当たり障りのないようなことを言ってしまったのでしょう。
本当はもっと伝えたいことがある
ねぇ
僕の事なんか ひとつも知らないくせに
僕の事なんか 明日は 忘れるくせに
君の声が 温かかった
僕の事なんか…
君の事なんかー…
出典: ベル/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
この部分では、電話をもらった時に上手く言葉を返せなかったことに後悔しています。
おそらくは、さほど深い交友関係はなかったであろう2人。
「僕は、君のことを全然気にかけてあげられなかった」
そんな風に、自分を責めているような様子も見られます。
”君の事なんか”の後に続く言葉は、いったい何なのでしょうか。
最後に隠した本音
君に言えなかったこと
話したい事は 山程あるけど
話さないと決めた事もある
電話の後で 僕が泣いた事を
いつまでも君は知らずにいる
出典: ベル/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
「温かい言葉に救われた」という気持ちと「やっぱり本心は言えなかった」という後悔。
本当ならば電話口でも泣きたかったほど、きっと嬉しかったはずです。
でも泣いてしまえば、”君”はもっと心配してしまうかもしれない。
”僕”にとっての”君”への優しさは、ここにあるのでしょう。
自分の事なんて、もう気にかけてもらわなくてもいいように。
最初のたったひとことで、自分は立ち直ることができたのだから。
逆に感謝しすぎても、相手の重荷になるかもしれない。
例えば、あの電話で本当の自分をさらけ出したとします。
そうすれば、相手は「なんとかしてあげよう」と働きかけてくれるでしょう。
けれども、そうはならないように。
たまに思い出してもらえるだけの、負担にならない友人でいるために。
「救われた」という事実を、結局隠してしまうのです。