マイケル・ジャクソン【Thriller】歌詞を和訳&考察!生き延びるために…奥底に潜む恐怖心と戦おうの画像

You hear the door slam and realize there's nowhere left to run
You feel the cold hand and wonder if you'll ever see the sun

出典: Thriller/作詞:Rod Temperton 作曲:Rod Temperton

2番の歌詞になります。

いよいよ追い詰められて万事休します。

「君はドアがバタンと閉まる音を聴く 逃げる場所などどこにもないと気付く

冷たくなっている手を君は感じる この先、太陽を拝めないのではないかと案じる」

背後のドアが閉まってしまい、もう君の逃げ場はなくなりました

得体のしれないものが背後ににじり寄ってくるのです。

夢であったなら、私の悪い想像だったならばどれほど良かったでしょうか。

ホラー映画で一番ハラハラする場面です

しかし悪夢のような現実がこの先もまだまだ待っています。

スリラーとは何か

マイケル・ジャクソン【Thriller】歌詞を和訳&考察!生き延びるために…奥底に潜む恐怖心と戦おうの画像

You close your eyes and hope that this is just imagination
But all the while you hear the creature creepin' up behind
You're out of time

出典: Thriller/作詞:Rod Temperton 作曲:Rod Temperton

得体のしれないものが忍び寄ります。

「君は両目を閉じて これは単に想像したものに過ぎないのだと望む

背後に忍び寄るクリーチャーの音を君は聴く

君には時間がない」

元々、スリラーとはホラー文化からの派生で恐怖にプラスしてスリルを感じさせる要素のことです。

ホラー文化の中でスリラーを細分化してジャンル分けすることもできるでしょう。

よりハラハラと興奮するような要素が詰まっているのがスリラーの決め手です。

スリルという言葉は必ずしも恐怖を必要とするものではありません。

サスペンス映画の中で感じるスリルなどを考えてみてください。

「Thriller」の歌詞の中では君の背後のドアがバタンと閉まったと同時に悪しきものが現れる演出。

私たちはこの展開に手に汗握るようなスリルを感じるでしょう。

歌の中のストーリーですから無責任に楽しんでもいいのではないでしょうか。

しかし今、記事を読んでいるあなたの背後に静かに忍び寄ってくるものと目を合わせてはいけません。

今、振り返ったら歌の世界の恐怖と同様の世界に引き摺り込まれます。

スリラーナイトの殺人鬼

40もの眼に囲まれて

マイケル・ジャクソン【Thriller】歌詞を和訳&考察!生き延びるために…奥底に潜む恐怖心と戦おうの画像

'Cause this is thriller, thriller night
There ain't no second chance against the thing with forty eyes
You know it's thriller, thriller night
You're fighting to survive inside a killer, thriller tonight

出典: Thriller/作詞:Rod Temperton 作曲:Rod Temperton

コーラス部分です。

リフレインのようですが若干違います。

「なぜってこれこそスリラーだから

スリラーナイトさ

40もの眼を持つあいつに対抗するチャンスは2回もない

君にも分かるだろう スリラーさ スリラーの夜だ

君はスリラーナイトの中の殺人鬼から生き残るために戦っている」

40もの眼に睨まれて君の身体が動きません。

いったいどんな生き物なのかなと思うのですが、かつて類例がない存在なのでしょう。

たくさんの目を持つ邪悪なものたちが相手では君にはなす術がありません。

ゲームの中でしたら相手にも弱点があるのでしょうが、そうした描写はここでは一切ないです。

完全無敵の獣どもに見つめられて追い立てられます。

逃げる道はどこにもないのですから絶体絶命のピンチ

もう生命の保証はありません。

それでも自分の生命を賭して戦うしかないのです。

孤立無援の状況で悪しきものどもの相手に人間、ましてやひとりの少女に何ができるでしょうか。

暗闇の中には恐ろしいものが潜んでいる。

これは太古の昔から人間が根源的に抱えてきた恐怖の本能を刺激します。

1982年でさえ真夜中の街中は酷く暗かったのです。

現代の日本ではコンビニエンスストアが治安保全の役割をしています。

そのために夜が明けるまで本当に暗い場所というのは少なくなりました。

しかし1982年のアメリカ合衆国の地方都市でしたら夜が暗いのは当たり前です。

こうした闇の中に人間は何か恐ろしいものを想像してきました。

それは夜闇の中で実際に危険な目に遭うことが多かったことが裏付けになっています。

両親や大人たちは子どもが夜に出歩くことを禁じるためにわざと怖い話を聞かせました。

幼少期の刷り込みは想像力に訴えかけて、様々なクリーチャーが誕生する土壌となります。

モダン・ホラー誕生以前のホラー映画などは夜遊びをしているために子どもが危害に遭うことを描きます。

有名な「13日の金曜日」もそのパターンを踏襲しているほどです。

意図的に恐怖を植え付けることによって子どもたちが羽目を外すのを抑止する旧い因習が生きていた時代。

様々な恐怖譚には教育的な戒めがあふれていることに気付くはずです。

実際に現代でも凶悪事件は夜中に引き起こされます。

夜が明るい世の中になったとはいえ、夜遊びはくれぐれも慎重にしてください。

闇の中で40もの目を持つ邪悪なものがあなたを狙っています。

君も一巻の終わり

クリーチャーもゾンビもエイリアンも

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Night creatures call
And the dead start to walk in their masquerade
There's no escapin' the jaws of the alien this time
This is the end of your life

出典: Thriller/作詞:Rod Temperton 作曲:Rod Temperton

ついにゾンビの登場です。

「夜のクリーチャーどもが叫ぶ

仮装した屍者たちが行進を始める

このとき 地球圏外のものどもの大きく開けた口から逃れる道はない

これが君の人生の最後さ」

百鬼夜行とはこういう感じなのでしょう。

得体のしれないクリーチャーたち、生ける屍、エイリアン。

もう何でもありになってきます。

「Thriller」のMVの中で特に有名になったのはゾンビ・ダンスです。

ゾンビはジョージ・A・ロメロ監督の映画で有名になった生きる屍体たちのこと。

映画「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」と「ゾンビ」がショッキングでした。

映画を超えてあらゆる文化にも影響を与えたのですが、その一端がこの「Thriller」での描写です。

特に「Thriller」のMVでマイケル・ジャクソンとエキストラが踊るゾンビ・ダンスが一気に世界を席巻。

学校で子どもたちが真似をして遊んでいる風景が日本の学校でも見られました。

ゾンビたちが仮装行列するというのは「Thriller」での独自な表現です。

ジョージ・A・ロメロ監督の描写はゆっくりと不気味に街を出歩く屍たちという描写です。

ロメロ監督は人が良すぎたためにゾンビに関して特に権利を主張するようなことはしませんでした。

そのため「Thriller」などで2次使用することができましたし、現代でもゾンビものは大人気です。

エイリアンもリドリー・スコット監督の映画で有名でしょう。

1982年にはジョン・カーペンター監督の「遊星からの物体X」が公開されています。

この辺りで「Thriller」の歌詞に不思議な思いを抱くかもしれません。

ちょっとふざけ過ぎ・やり過ぎではないかと気になるのです。

また歌詞の中の多くのモチーフが映画に頼っています。

そろそろ種明かしの時間です。

本当の恐怖と向かい合う準備はできているでしょうか。

恐怖は君の電話番号

僕以外のやつと電話するなんて

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