They're out to get you, there's demons closing in on every side
They will possess you unless you change the number on your dial
出典: Thriller/作詞:Rod Temperton 作曲:Rod Temperton
恐怖の夜の本当の姿が現実のもとに暴かれます。
「奴らは君を捕獲するために外に出てきた あらゆる方角から悪魔が近付く
君が電話番号を変えなければ 奴らは君に取り憑くよ」
本当の恐怖は君が僕以外の誰かと電話で話すことでした。
語り手の僕はそのことを気に病んでいたのです。
すべてスクリーンの中のことでした
Now is the time for you and I to cuddle close together
All thru the night I'll save you
from the terrors on the screen,
I'll make you see
出典: Thriller/作詞:Rod Temperton 作曲:Rod Temperton
壮大なオチに向かいます。
「今こそ君と僕が一緒に寄り添うときさ
夜を徹して 僕が君を守るよ
スクリーン上の恐怖から
見ていてごらん」
これまでの出来事はスクリーンの中のことでした。
「スリラーナイト」を恐怖の夜と直訳しなかったのは、この言葉が映画館の宣伝文句でもあったからです。
この歌詞はダブル・ミーニングを多用しています。
映画館の看板に「今夜はスリラーを」と書かれていたのでしょう。
ティーンエージャーはスリラー映画が大好きです。
ふたりで映画館にデートに行きました。
幸せな歌でもあったのです。
デートソングでもあり、広い意味ではラブソングでさえあるのがマイケル・ジャクソンの「Thriller」。
この世の中の出来事は斯様に簡単に騙されてしまうくらい怖い大人が蔓延っています。
ただし、普通に考えてヒップでファンクなベースラインで怖い話をする訳がありません。
「Thriller」はダンスナンバーなのですから。
しかしこの世の中のあらゆる恐怖のモチーフをたくさん詰め合わせている「Thriller」の魅力は凄まじいです。
誰もこの魅力に逆らうことができないのですから本当の恐怖はこんなところにもあります。
今夜、一晩中君を恐怖から守り抜くよという気持ちだけは本当です。
ただし、少女にとっては少年のこの言葉にも恐ろしさを感じるでしょう。
「Thriller」の夜は更けて
3本立てのスリラーナイト
That it's a thriller, thriller night
'Cause I can thrill you more than any ghost would dare to try
Girl, this is thriller, thriller night
So let me hold you tight and
share a killer, diller,
I'm gonna thrill ya tonight
出典: Thriller/作詞:Rod Temperton 作曲:Rod Temperton
いよいよクライマックスです。
リフレインを含みますので一部割愛しました。
「今夜は正にスリラー スリラーナイトさ
なぜって僕は君にもっとスリルを感じさせることができるよ
どんな悪魔が考えつくようなものよりもずっと怖いものを
少女よ これがスリラー スリラーナイトさ
さあ、僕に君を強く抱きしめさせておくれ
殺人鬼とスリラー映画をシャアしよう
今夜はスリル満点さ」
少年はこのデートで少女を口説こうと努めるのです。
映画の中のどんな邪悪な生き物よりも、君のことをもっと興奮させてあげるから。
この歌詞もダブル・ミーニングです。
映画館でスリラー映画に恐怖を感じて震える君を強く抱きしめる。
何なら今夜一晩中、君に映画にも負けないほどの興奮を授けるよ。
つまり少女にとって本当に邪悪なのは身近な少年の下心です。
しかしこれも夜というものがもたらすものでしょう。
「Thriller」のMVのラストでマイケル・ジャクソンの眼が邪悪に光るのはこの歌詞を表現したものです。
リンクを貼りましたのでオフィシャルMVをご覧ください。
狼男は身近にいたというオチになっています。
この少年は悪魔と張り合って君にスリルをあげるというのですから本当に邪悪かもしれません。
しかしこうしたプロセスを経ないとティーンエージャーは大人になれないでしょう。
いにしえからの恐怖と向き合う
「本当に恐ろしいのは生きた人間だった」
旧来のスリラー映画はこうした視点をあまり描きません。
こうした視点はモダン・ホラーの時代に開花する発想です。
この発想を下敷きにして描かれたスリラー映画の最初は1974年に公開されたものでしょう。
トビー・フーパー監督「悪魔のいけにえ」が生きた人間を恐怖映画に仕立て上げました。
ただし、これは極めて稀な成功例です。
徐々に時代が経てゆきスリラー映画も変化します。
それでも「Thriller」の文語調の歌詞を読むと、描きたかったのは古典的なスリラー映画だと分かります。
クラシカルな異形のものたちというのは矛盾しているようです。
しかし異形のものたちを恐怖だと考えるのは少々旧い世界観でした。
送り狼こそが怖いというオチこそが新鮮です。
またここまで恐怖のテンションを緩めることなく最後まで引っ張る歌詞は見事でしょう。
「Thriller」
オチに安心して次の曲に耳を傾けるのですが、マイケル・ジャクソンの歌唱がいつまでも記憶に残ります。
多くの人の記憶にしがみついて闇に怯える心をときどき思い出させるのです。
暗闇から爪を伸ばしてあなたの首を掴み取り、屍者が行進する国へ引き摺り込むのは何ものでしょうか。
夜の闇に私たちが見てしまうもの。
古来より人間存在とともに生きてきた恐怖の意識や本能。
こうした人間の資質は滅びることなく今夜も闇とともにあなたを訪れるでしょう。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
OTOKAKEとマイケル・ジャクソンの軌跡
死後に論議を呼んだ曲
OTOKAKEに残るマイケル・ジャクソンの関連記事をご紹介いたします。
「Billie Jean」
「Thriller」と同時期の楽曲になります。
マイケル・ジャクソンの死後に色々と議論が巻き起こった曲です。
歌詞を和訳して解説いたしました。
ぜひご覧ください。
マイケル・ジャクソン【Billie Jean】歌詞を和訳して独自解説♪男性はビリー・ジーンにご用心! - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
『Billie Jean』はマイケルがムーンウォークを初披露した曲!この曲は男性にとってはヒヤッとする歌詞なんです。知っていましたか?今回は歌詞を和訳して独自に解説してみました♪
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