身代わり
「ほら僕の服を貸してあげる」
「これを着てすぐお逃げなさい」
「大丈夫僕らは双子だよ」
「きっとだれにもわからないさ」
出典: 悪ノ召使/作詞:mothy(悪ノP) 作曲:mothy(悪ノP)
彼女が死刑台へと向かうさなか、彼はある選択をします。
そう、彼女の身代わりとなり『死』を受け入れるという選択です。
究極の自己犠牲。
彼は自分の衣服を彼女のものと交換し、早く逃げてと彼女を逃亡させます。
彼にとって、彼女の命は自分の命よりも重いのです。
この曲で最も心が動かされるシーンです。
最期の時を迎える
可愛い姉弟
むかしむかしあるところに
悪逆非道の王国の
頂点に君臨してた
とても可愛い僕の姉弟
出典: 悪ノ召使/作詞:mothy(悪ノP) 作曲:mothy(悪ノP)
ここで、最期の時を迎える少年の回想が入ります。
悪政を強いていた国の頂点にたつ王女。
彼女は国民の全てから恨みを買い、死を望まれるような残虐な女性として歴史に名を刻みました。
しかし、彼にとってはかわいくて守らずにはいられない大切な姉なのです。
彼にとって、世間の評判なんて意味のないものだったのでしょう。
二人で歌う
たとえ世界の全てが (ついにその時はやってきて)
君の敵になろうとも (終わりを告げる鐘が鳴る)
僕が君を守るから (民衆などには目もくれず)
君はどこかで笑っていて (君は私の口癖を言う)
出典: 悪ノ召使/作詞:mothy(悪ノP) 作曲:mothy(悪ノP)
少年の声に呼応するように、王女であった姉が歌います。
身代わりとなった彼が、処刑台へと一歩ずつ歩を進めるのです。
民衆の野次や罵声が鳴り響く中、彼は毅然とした態度で最期まで王女のふりをし続けます。
それはひとえに、偽物だとばれて彼女に火の粉がかからないため。
彼は最期のその瞬間まで、姉を守り続けました。
来世
もしも生まれ変われるならば
その時はまた遊んでね
出典: 悪ノ召使/作詞:mothy(悪ノP) 作曲:mothy(悪ノP)
これが彼の最期の言葉となります。
ずっと彼が望んでいた想いが、この二行に全て込められます。
“平和だった子供の頃のように、また二人で遊びたい”
とても無邪気で純粋な願いです。
大人の都合で人生を狂わされてしまった二人。
運命の歯車はどんどんとずれていき、最後には『死』という結末を迎えました。
しかし、ごく普通に平和に暮らしていれば彼らは仲の良い姉弟として今も支えあって生きていたのでしょう。
彼女との幸せな思い出を噛みしめて、少年は旅立っていきます。
悪をいとわない理由とは
ここまで読んで頂いた方は、なぜ少年が悪をいとわなかったのかお分かりになったでしょう。
彼女への深い愛情ゆえです。
どこまでいっても彼にとっては、可愛くて愛おしい姉のままなのです。
彼だけが本当の彼女の胸の内を知っています。
世間が一方的に決めた悪なんて、彼にとってはどうでもよいこと。
そもそも正義と悪なんて、ものすごく曖昧なものです。
誰かからみた正義は他の人から悪になります。
召使いの少年にとっての正義は姉を守ることだったのでしょう。
そのためには自分の命なんて全く惜しくない。
そんな彼の究極の愛が歌われた楽曲でした。