「長い年月に 触れたような気がする」がとても美しいですね。
「窓辺にたたずんでる 君を見てると」とありますので、もう長いこと一緒にいるねと感じるということでしょう。
乱暴にいうと、君も僕も歳をとったねというところでしょうか。
忘れた愛が忍び込んだ時、流れるのは涙ではなく汗でした。
感動は無く何か嫌なものが入り込んできた感覚、冷や汗かもしれません。
君によせる愛は ジェラシー
春風吹き 秋風吹き さみしいと言いながら
君によせる愛は ジェラシー ジェラシー
出典: ジェラシー/作詞:井上陽水 作曲:井上陽水
複雑です、ジェラシーはときに憎しみであるにも関わらず、よせる愛としているところが絶妙です。
そして、妬かれる側としては、ジェラシーを感じてくれるからこそ愛されていると感じるのかもしれませんね。
そのような奥さんの気持ちを先読みしてのジェラシーかもしれません。
さみしいと言ったのは、陽水自身でしょうか、それとも奥さんでしょうか?
さみしいといっておきながら他の人へと向かう奥さんに、ジェラシーを感じていると見ることもできます。
さみしいといって、他の人へ向かう奥さんを糾弾している状況も想像できます。
何となくですが、両方を含んでいそうです。
はまゆりが咲いている ところをみると
どうやら僕等は 海に来ているらしい
出典: ジェラシー/作詞:井上陽水 作曲:井上陽水
このフレーズが素晴らしい、海辺には、はまゆりが咲いています。
だからここは海なのだと気が付いたという描写です。
「海に来ているらしい」が何とも無責任というか、他人事のようで、上の空感満載。
海というと人目につかない、密会にはうってつけの場所です。
でも奥さんと一緒に来るのだから、本来は堂々としていればいいはずですよね。
つまり、今はどちらが本命でどちらが浮気なのかあべこべになっていると感じる二人なのだと想像します。
余談になりますが、はまゆりの花言葉は、注目を浴びる、飾らぬ美です。
ハンドバックの とめがねが
はずれて化粧が散らばる
波がそれを 海の底へ引き込む
出典: ジェラシー/作詞:井上陽水 作曲:井上陽水
ハンドバックの留め金ってそんなに簡単に、勝手に外れるものでしょうか?
相手を掴もうとした時にバックに触れてしまい、外れたものと考えられます。
海へ来て、何故掴もうとしたのか?
拡大解釈ですが、海に入ろうとする奥さんを止めようとしたとは考えられないでしょうか。
つまり奥さんも相当に悩んでいるのですね。
化粧が散らばり、波がそれを海へと引き込もうとしているところからも、少なくとも浅瀬に二人がいることは確かです。
海の底へ引き込むというフレーズが、二人の未来を暗示させているのかもしれません。
その一方で、化粧が女心の象徴として、出かけた本音を飲み込んでしまい、黙ってしまったとも取れます。
ワンピースを重ね着する 君の心は
不思議な世界を さまよい歩いていたんだ
誰にも云えないことがある
泣く泣く 僕も空を見る
むなさわぎで 夏が来るのが怖い
出典: ジェラシー/作詞:井上陽水 作曲:井上陽水
ワンピースは、一つであるから美しいものですがそれを重ね着するとは…。
本来一つで十分なものを二つもつということは、やはり他の人へ向けられた愛と陽水との結婚生活を重ね着しているということでしょう。
その心は、不思議な、つまり陽水にとって理解できない世界を歩いていたことになります。
「誰にも云えないことがある」と、ここで奥さんは口を開きます。
僕が空を見るのは、聞く体勢ができたということでしょう。それも仕方なく。
夏が来るのが怖くなるほど、思い詰めてしまった。それほど衝撃的な出来事だったのでしょう。
歌詞の意味まとめ
このように見ていきますと、この歌詞の意味するところはやはり奥さんが他の人へ向かうことへのジェラシーということになりそうです。
君によせる愛は ジェラシー
春風吹き 秋風吹き 悲しみに暮れながら
君によせる愛は ジェラシー
君によせる愛は ジェラシー
出典: ジェラシー/作詞:井上陽水 作曲:井上陽水
その一方で、悲しみにくれながらも、奥さんへ愛をよせているという一途な陽水の姿も浮かび上がります。
ジェラシーという一種憎しみにも似た感情はあるもののやはり深く愛していると感じているのでしょう。
羨ましいような可哀想なような、不思議な感情を持たざるを得ません。
終わりに
「奥さんへの嫉妬心を歌った」とする陽水のコメントから歌詞を解釈してきましたが、ヒントは得られたでしょうか?
長いこと夫婦をしていると実にいろんなことが起こります。どのような形であれそこに現れる愛情というものは、その人たちの間でしかわからないものなのかもしれません。
文脈からは読み取ることはできませんが、奥さんが浮気・不倫をしていたとして、それさえももしかしたら陽水への愛情表現かもしれませんよね。
社会的には許されないことかもしれませんが、それさえも許してしまうところが本当の愛なのかもしれないとも思います。
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