米津玄師「メトロノーム」とは?

「メトロノーム」は米津玄師の3枚目のオリジナルアルバムである、「Bremen」に収録されている楽曲です。

アルバムには、シングル曲である「Flowerwall」や「アンビリーバーズ」などの楽曲も収録されています。

そんな中「メトロノーム」は、シングルカットされていない曲ながら、別れてもずっと想っているという切ない失恋ソングで、人気楽曲となっています。

歌詞解説の前に…どうして失恋とメトロノームなの?

メトロノームといえば、楽器の練習などをする時にテンポを合わせるために使う道具ですよね。

歌詞について見方が変わると思うので、まずは、なぜ、米津玄師失恋ソングをメトロノームに例えて表現しようと考えたのかについて解説していきます。

同じテンポに合わせたのにずれていくメトロノーム

なぜ、二人がすれ違っていく様をメトロノームに重ねようと思ったのか、wikipediaにこんな記載がありました。

本人は「どんなに歩調があう人とも、必ずどこかでズレる。そんな様子をメトロノームと重ねた。」と語っている。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/Bremen_(米津玄師のアルバム)

曲中の「ふたつ並んだメトロノームみたいに」という歌詞のようにメトロノームを二つ並べると、同じテンポに設定したはずなのに、少しずつずれていくことがあります。

このように、同じテンポなのにずれていくメトロノームの様子と、どんなに歩調が合う人でも、どこかでずれてしまうことはあり、少しのずれだったものが、その差がどんどん広がっていってしまうこともあるということを重ね合わせているのです。

そして、メトロノームについては、もう一つ、17世紀から知られている面白い現象があります。

それは、ずれていたメトロノームがお互いに干渉しあって、重なり合い、また同じリズムを刻み始めることです。

このことから、「同じテンポで生き続けたら地球の裏側でいつかまた出会えるかな」という希望が伺える歌詞も生まれたのではないでしょうか。

米津玄師「メトロノーム」の歌詞解説

米津玄師 MV「メトロノーム」歌詞解説の画像

ここからは米津玄師の「メトロノーム」の歌詞について、最初から最後まで解説します。

この曲の解釈に関してはMVのイラストが女子高生風の外見の女の子なので、女の子を主人公として解釈することもできると思います。

しかし、今回は一人称が「僕」であるとこから、性別問わず共感できる歌詞ですが、男性目線の歌詞として解釈していきます。

この出会いが運命なら、この別れも運命?

初めから僕ら出会うと決まってたならば
どうだろうな
そしたらこんな日がくることも 
同じように決まっていたのかな

ずっと叶わない思いばかりを募らせていては
互いに傷つけ合って 責め立て合った
ただ想ってただなんて 言い訳もできずに
去り行く裾さえ掴めないでいた

弱かった僕だ

出典: メトロノーム/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師

「あなた」とずっと一緒にいられると思っていたのに、気づかないうちにすれ違ってしまい別れることになった「僕」は、もしこの出会いが運命的に「決まってた」なら、この別れも「決まっていた」のかと考えます。

「ずっと叶わない思いばかりを募らせていては」という歌詞から、「僕」と「あなた」はそれぞれに叶わない夢を抱えていて、きっと、どうしてこうしないのか、もっとこうしたほうがいいなどと、日々お互いに「責め立て合った」のでしょう。

それはお互いを「ただ想ってた」からこそだったのですが、「僕」はその気持ちを伝えることはできず、ついに「あなた」はそんな日々に耐えられなくなり、去っていったのです。

「僕」が「あなた」を責めて傷つけたように、「あなた」からも同じように責められ傷つけられた「僕」には去っていく「あなた」を引き止めることもできませんでした。

「弱かった僕だ」という歌詞にはその時のことを後悔している様子が見られます。

米津玄師 MV「メトロノーム」歌詞解説の画像

別れてもあなたを探してしまう

今日がどんな日でも
何をしていようとも
僕はあなたを探してしまうだろう
伝えたい思いが募っていくまま
一つも減らない僕を
笑い飛ばしてほしいんだ

出典: メトロノーム/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師

別れてからというもの、いつでもどこでも「あなたを探してしまう」、「僕」が描かれています。

一緒にいられない時間が増えれば増えるだけ、「伝えたい思い」が募っていく。

多くの人は、別れたばかりの時は辛くて仕方なくても、時間が経てば、少しずつ相手を想う気持ちは減っていくものでしょう。

しかし、「一つも減らない僕」という歌詞から全く「あなた」への気持ちが変わらないままの「僕」の姿が見られます。

「僕」は別れてもなお、笑い飛ばされてもいいから、そんな想いを「あなた」に伝えたいと思っているのです。

僕らは「ふたつ並んだメトロノーム」