児玉 裕一(こだま ゆういち、1975年8月20日 - )は、ミュージック・ビデオやCMなどの演出を手がける日本の映像ディレクター。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/児玉裕一
海岸に並ぶ風車はひとしきり感情をむき出しにした彼を落ち着かせるようにゆっくりと回っています。
やりきれない想いを吐き出したのもつかの間、後部座席の薔薇の花が再び感情に火をつけるのです。
真っ赤な色は心の叫びのようで、愛や情熱のようなポジティブな感情はそこにはありません。
寒々とした冬に咲く赤い花は彼の心を慰めることはないのでしょう。
さらに激しく車を走らせる宮本浩次はエモーショナルというよりどこか痛々しさを感じます。
車を鋭く方向転換するスピンターンや土煙を上げて回転させるアクセルターンはまるでカースタントです。
なのにアクション映画のように心が踊ることがないのはそれが辛さや哀しみを表しているからでしょう。
美しいフェアレディZのシルエットが激しく躍動することで主人公の心の動きも伝わってくるようです。
そして薔薇の花は開け放った車の窓から外へと散ってしまいます。
真紅の花はふたりの想い出の場所に捧げるつもりだったのかもしれません。
印象的な黒と白と赤
薔薇の花と最後の語りが表すものは?
胸には涙 顔には笑顔で
今日もわたしは出かける
出典: 冬の花/作詞:宮本浩次 作曲:宮本浩次
黒っぽい服装の宮本浩次と白いフェアレディZ、そして赤い薔薇の花。
鮮烈なコントラストが印象的なMVは、最後に語りで幕を閉じます。
「後妻業」の主人公は何らかの哀しみを胸に抱えながら人を騙すための笑顔を作っているのでしょうか。
MVの主人公を演じるのは宮本浩次ですが、これはドラマの主人公が彼の姿を借りているのでしょう。
薔薇の花が表すもの、そして最後の語りの意味はドラマの最終回で分かるのかもしれません。
後妻業ってどんなドラマ?
楽しみなドラマのラストシーン
「冬の花」が毎回流れるドラマ「後妻業」について少し触れておきましょう。
後妻(ごさい)とは妻を亡くした男の後添え、つまり2番めの奥さんのことですが呼び方に少々毒がありますね。
これに職業を表す”業”がくっつくと、なにやら不穏な響きが生まれます。
ドラマでは遺産目当ての結婚詐欺師・木村佳乃と資産家の娘・木村多江の対決が見ものとなっています。
宮本浩次は台本を元に木村佳乃が演じる主人公の小夜子を思い浮かべながら作詞作曲をしたそうです。
また歌謡曲というジャンルを意識したとも語っていて、確かにアレンジには歌謡曲の香りが漂っています。
主題歌のオファーがあったのは彼の実力や個性が評価されていたからこそでしょう。
ただ、MVとドラマとはすんなり結びつかないところもあるような気がします。
個性的な出演者たちと優れた楽曲はドラマのラストでどう結びつくのでしょうか。
ラストシーンを宮本浩次の歌がどう飾るのか楽しみです。
ファンに愛されるメロディーメイカー
ソロでも変わらない個性
初のソロシングル「冬の花」はファンの期待に応える名曲に仕上がっているのではないでしょうか。
優れたメロディーメイカーの作品らしく一度聴いただけで人を惹きつける力がこの曲には宿っています。
最近では珍しく往年の名車が登場するMVもインパクトがありました。
当然といえば当然ですが、唯一無二の個性を持った宮本浩次はソロで活動しても宮本浩次のままです。
若い頃のライブで彼が客席に向かって悪態をつくと観客が盛り上がるという映像を見たことがあります。
一見ぶっきらぼうでワイルドに見えても彼は昔からアーティストとしてファンに愛されていたのです。
数々の名曲を残してきたエレファントカシマシのフロントマンは、これからも良い歌を届けてくれるでしょう。
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『THE FIGHTING MAN』アルバム紹介
最後にOTOKAKEからエレファントカシマシの記事をご紹介しましょう。
まずはエレカシ結成30周年を記念してリリースされたベストアルバム『THE FIGHTING MAN』について。
2枚組のアルバムの中からおすすめの収録曲が紹介されていてエレカシ初心者の方にも楽しめる内容です。
是非読んでみてくださいね。
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