実は「人生いろいろ」は島倉千代子の人生そのもの
島倉千代子は、昭和の女性演歌歌手として知らない人がいないくらいに有名です。
しかし、プライベートでは不遇なことがいろいろと続いたといわれています。
結婚生活は離婚という形で終止符を打ちました。
一時は、16億ともいわれる借金を背負っていたのです。
その後にも、乳がんを宣告され、闘病生活もしていました。
この「人生いろいろ」の歌詞は、そんな島倉千代子の人生を元に書かれています。
島倉千代子は人生を歌に込めて、「どんな時も希望を忘れないで」とメッセージを伝えていたと思うのです。
人生には時に死にたいと思ってしまうほど悩むことがある
生きているといろんなことがあります。
毎日楽しく、笑って過ごせたらどんなにいいかと思うけれど、なかなかそうはいきません。
「人生いろいろ」は、曲名だけでも多くの人の共感を得ているのではないでしょうか?
人生では泣いたり笑ったり、日替わりメニューのように喜怒哀楽が繰り広げられます。
昨日も、今日も、明日も、何も起こらずに何も変わらないというのはあり得ないでしょう。
そうした喜怒哀楽に満ちた日々の中でも、どん底に落ち込む時というのはとてもしんどいです。
もう死んでしまいたいとさえ思うこともあります。
実は今まさに、人生のどん底だという人もいるかもしれません。
この「人生いろいろ」の歌詞は、そんな人生のどん底にいる人に向けてエールを送っているのです。
「しんどいことってあるよね。わたしもあったよ」と、先輩が後輩を優しく受け止めるような雰囲気があります。
『こうしたらいいよ』とかいうアプローチではなくて、「自分もそんな時があったよ」と共感してくれるのです。
何もかもが「もうダメ!」って思ってしまう時ってどんな状況?
「もうダメ」と人生のすべてを諦めてしまう時ってどんな状況の時でしょうか?
将棋で言うなら「手詰まり」で、打つ手がないと思ってしまう時ではないでしょうか。
夢も希望も湧かない時には、どうにもならない孤独感でいっぱいになるかもしれません。
笑顔になれない理由は?
人生には辛いこと、苦しいこと、腹立たしいことがあります。
それでも、「もうダメだ。おしまいだ」と思い詰めるのは、余程な事態になっているのです。
周りの誰にも理解してもらえない状況や、取り返しがつかない事態が起こっているかもしれません。
そんな時は、一ミリも自信が持てなくなります。
すべてを失ってしまうのではないかという恐怖が、押し寄せてくるでしょう。
自分の可能性が信じられない辛さを受け止めてくれる歌詞
バラもコスモスたちも
枯れておしまいと
出典: 人生いろいろ/作詞:中山大三郎 作曲:浜口庫之助
本当に辛い時には、慰めやアドバイスをもらっても、みじめな気持ちになってしまいます。
人が自分よりも優位に立っているように思えて仕方がありません。
そんな時には、ただ気持ちを受け止めて欲しいものです。
他人が羨ましくて、妬ましい。
そんな風にしか思えない自分が、嫌で嫌でさらに落ち込んでいきます。
歌詞では、『自分もドロドロな気持ちだったことがあるよ』と同じ目線でいてくれるのです。
慰めでも説教でもなく「そんな時がある」と寄り添ってくれる
自分ばかりをせめて
泣いてすごしたわ
出典: 人生いろいろ/作詞:中山大三郎 作曲:浜口庫之助
上手くいかない時には、自己嫌悪に陥って自分の殻に閉じこもってしまいます。
誰かに助けて欲しくても、自分に価値が見出せない時は「助けて」という勇気さえ出なくなってしまうでしょう。
苦しくて、辛くて、孤独で、悲しい。
出口が見えないトンネルに入り込んだような気分です。
そんな時に、「わたしも自己嫌悪になっていたよ。泣いてばかりいたよ」と言ってもらえたらホッとします。
ドツボにはまっている時に、「え?わたしだけじゃないの?」と思えることってとっても大事です。
死にたくなるような辛さの根っこにあるのは、孤独感なのですから。
誰にもわかってはもらえないという、孤独や淋しさが、人を追い込んでしまうのです。