決めつけないでほしい

How Crazy
わかったようにアタシのこと話すのはやめてよ
How Crazy
深い海に沈んでゆく船から逃げてきたの

夢にlove love love いつも
純情じゃいられない
How Crazy

出典: How crazy/作詞:YUI 作曲:YUI

サビではアドバイスをしてきた大人への反論がされています。

先ほど、「指摘」には「信頼関係」が前提となるとお話ししました。

「信頼関係」とはまず相手の事を知り、理解して受け止めるという過程が必要となってくるでしょう。

歌詞では「私の事を分かっていないのに、分かったかのように発言しないで」という意味が読み取れます。

この大人の行為はいわゆる「レッテル」や「決めつけ」として映ったはず。

心理学用語では決めつけることを「バイアス」といい、信頼関係のあるコミュニケーションを阻害します。

また、余命宣告を受けた時の自身の状況を「沈没船」として表現。

命からがら脱出した結果、自分にとって本当に大切なものを選び抜き、生きているのです。

夢を追い続けるためにはいつも穏やかな気持ちでいられない。

そう締めくくられて、再度静かなAメロへと展開していきます。

ひとり考えにふける

無邪気な笑顔で我に返る

駅前通り 地上へ続いている階段は
いつも暗くて不安だ

夕暮れのコンビニの駐車場
明日を知らない子供が
小さくアタシに手を振っている

出典: How crazy/作詞:YUI 作曲:YUI

このフレーズの前半で綴られている不安…。

なんだか共感する事柄だなと思いました。

地下から地上へと昇る通路は、閉鎖感があって何だか息が詰まりそう。

ここでは自身の敏感で神経質な側面が表現されている気がします。

また後半では、考え事をする自分と対照的に無邪気な笑顔を浮かべる子供が描写されていますね。

子供の屈強のない笑顔を見て、ふと我に返ったのではないでしょうか。

葛藤を溜め込んでしまう

知恵をつけなさい
将来負けないように
説得したいのに
うまく話せない
そんなんじゃダメ
納得もできない

Oh 神様
ちょっと不公平だって思うよ

出典: How crazy/作詞:YUI 作曲:YUI

1から2行目のフレーズは大人がYUIに対して放った言葉でしょう。

「学校へ通って勉強して、将来いい仕事につきなさい」と言われたのだと思います。

しかし、YUIは楽をしたくて学校に通っていないのではありません。

病気の末に高校を中退し、音楽で生きていくために音楽塾へと通い始めました。

自分なりの考えを伝えて反論したいのに、上手く言葉にできない…。

優しさゆえに「言い返す」という状況に慣れていないのかもしれません。

結局は自分の中に葛藤を溜め込んだままになってしまったのです。

そんなやりきれない状況に「不公平」を訴えていますね。

YUIの抱える思いとは

思いを吐き出す

YUI【How crazy】歌詞を考察!大人の言うことなんかわからない?うなずいたあなたにおすすめ!の画像

努力を続けた学生だって
結果にならなきゃ
家族はきっと 悲しむ
世渡り上手がうまくはいっても
そんなの尊敬できない人生 baby
矛盾ばっかな感情を
いったい いつまで抱えて生きてゆくのでしょう?

出典: How crazy/作詞:YUI 作曲:YUI

この言葉数が詰まった迫力のあるパートでは、大人へ伝えられなかった葛藤が吐き出されます。

もし進学したとしても、全ての人が「優秀」といわれる仕事に就ける訳ではありません。

他人からの評価だけを目的に勉強に励んだ結果、上手くいかなかったとしたら、どうでしょう?

勉強している間は「素晴らしい」と言われ続ける…。

ところが、良い結果が出なかったら「残念」だと周囲が悲しみ出す…。

何かが違う気がしませんか?

「周囲の期待に答えること」が人生の目標になってしまっているような気がします。

それって本当に幸せなのでしょうか?

また、それとは逆に「努力や信念」なしに「コミュニケーション能力」のみに頼って生きる人生もあります。

YUIにとってそれも正解とはいえないようです。

ここでの「世渡り」は「その場しのぎ」で感情のこもっていない生き方なのだと思います。

自分が好きな事をとことん貫いて生きていく「愛のある人生」を望んでいるのが読み取れますね。

原点に返る

YUI【How crazy】歌詞を考察!大人の言うことなんかわからない?うなずいたあなたにおすすめ!の画像

How Crazy
わかったようにアタシのこと話すのはやめてよ
How Crazy
深い海に沈んでゆく船から逃げてきたの

夢にlove love love いつも
純情じゃいられない How Crazy

冷たいギター もう一度そっと
抱きかかえて一人で
あの頃みたいに歌った

出典: How crazy/作詞:YUI 作曲:YUI

「進学」と「良い仕事への就職」を促した大人。

「進学」すれば未来が開けてYUIが幸せになると考えているのでしょう。

でもそもそも、YUIの幸せの定義はその大人と一致していません。

彼女にとって「お金」や「周囲の期待に応えること」は幸せに直結しないのです。

大人は自分の考え方こそが正解であると思い、「良かれ」と思ってアドバイスしてしまいました。

価値観の不一致というのは難しい問題。

「様々な生き方がある」と考えることができればいいのですが、お互いにそうとは限りません。

この楽曲を通して思いを吐き出したYUIは、再度ギターを取り出しました。

そして「音楽をやろう」と決めた原点ともいえるかつての自分を思い返しながら、ストリートライブを再開したのです。