リズミカルなバラード
2019年1月30日にリリースしたアルバム「Hilcrhyme」に収録されている「Lost love song【Ⅱ】」。
バラードというと静かで、ゆったりとした曲調のイメージが多いと思います。
しかし、Hilcrhymeの特徴的なリズム感、曲の進行。
リズミカルでありながら、切ない女性の姿が浮かんでくるバラード。
Hilcrhymeならではの世界観溢れる1曲です。
切なさを引き立てるピアノ
その切なさをさらに引き立てているのがバックで奏でられているピアノの音色です。
ピアノは華やかな曲調にも、切ないバラードにも適応できる万能な楽器です。
よく聴くとテーマとなる同じメロディをコードを変えながらアレンジしています。
また同じ音を連続で弾く連打が使われています。
そして高い音から低い音への下降は、切ない曲で多く使われます。
この曲でも使われていて、切なさをより一層引き立てています。
何も見えない
理屈じゃない
行かないで ねぇ一人は嫌だよ
遊びで構わないの
なぜこんなにもひどいあなたを
好きでたまらないの
出典: Lost love song【Ⅱ】/作詞:TOK 作曲:TOK
一言で言うと理屈じゃないんです。
周りが見えないほど、自分が見えなくなるぐらい好きなのです。
それは言葉で説明できるようなものではありません。
どこが好きなのか、何がいいのか、そんなことは本人もわかっていないのでしょう。
周りから見れば「早く別れた方がいい」と言われるでしょう。
もしかすると自分も他の人がこんな状態だったら客観的に見て「やめたほうがいい」と言うかもしれません。
でも理屈じゃないんです。
だからこそ悩み、苦しんでいます。
安らぎではない
わからないの 自分がどうしても
貴方なしじゃ保てない
お願い 私の居場所を残してよ
どこで泣けばいいの
出典: Lost love song【Ⅱ】/作詞:TOK 作曲:TOK
彼女はいつまでも同じところで立ち止まっています。
彼の傍でしか生きられない、彼にしか本当の自分を見せられない…そう思っているのでしょう。
新たな世界へ足を踏み出すことは、誰もが怖いものです。
彼の存在を感じられる今の居場所は辛いけど、安心できる場所。
しかしそれで安心を得ていても、安らいでいるわけではないのです。
その安心さえも彼女が思い込もうとしているようにも思えます。
突き放せない
顔も性格も理想的
でも治せないあなたの奇行癖
何故私がいるのに他の子を
必死になって 話逸らそうと
出典: Lost love song【Ⅱ】/作詞:TOK 作曲:TOK
彼は優しい人なのでしょうか。
ワイルドな人なのでしょうか。
彼女の目や心にはとても素敵な人に映っていたのでしょう。
男性だけでなく女性でも他の異性に目がいくのは自然なことです。
それ自体は悪いことではありません。
むしろ誰にでも起こり得ることです。
見ているだけなら問題はないし、人も傷つけることはないけど、行動に起こしてしまうことは人を傷つけます。
実際に彼女は傷つき、悲しい思いをしています。
どんなに素敵に映っていても、人を傷つけるような人は素敵な人とは言えないのではないでしょうか。
少なくとも、ずるい人であることは間違いありません。
それでも彼女は彼を思い続けるのです。