TWICE『FANCY』の意味に迫る!
「ファンシー」という言葉が必要になる場面はそう多くありません。
だからこそじっくりと考えたことがない「ファンシー」の意味。
今回ご紹介する曲はTWICEの『FANCY』です。
彼女たちはこの曲でどんな「fancy」を歌っているのでしょうか。
恋に恋する時代
fancyって何?
지금 하늘 구름 색은 tropical, yeah
저 태양 빨간빛 네 두 볼 같아
Oh tell me I’m the only one, babe
I fancy you, I fancy you, fancy you
(TWICE!)
出典: FANCY/作詞:블랙아이드필승, 전군 作曲:블랙아이드필승, 전군
【和訳】
今、空と雲の色は南国
あの太陽の赤い光はまるであなたの両頬みたい
ねえ、私だけだって言って
あなたが好き、あなたが好き、あなたが好き
【解説】
南国の色とは一体どんな色なのでしょうか。
寒々しい日本海側の灰色がかった空とは違い、真っ青な空が想像できます。
雲は空と混ざり合うことがないくらいに強い白なのでしょう。
南国の空を見て気持ちが沈む人はいません。いつ見ても心が踊るような光景です。
そこに浮かぶ太陽を「あなた」に例えています。
つまり、彼は彼女の心をいつだってワクワクさせる存在、というわけです。
ただし空はどこにでもあって、太陽は誰にでも平等に降り注ぎます。
自分だけに向いて欲しいという思いがあり、空だから仕方ないという諦めもあるのでしょう。
だから彼に「言葉」を求めているのです。君だけだよ、のひと言があれば自信が持てます。
この曲では「fancy=好き」。なぜ「I love you」ではないのでしょうか。
このフレーズはイギリス圏で使われるもので、思春期頃の若者が「好き」の代用にします。
大人同士の恋愛には届かない「自分たちなりの愛」を表現する言葉が「fancy」なのです。
彼は唯一の大きな存在
It’s dangerous 따끔해 넌 장미 같아
괜찮아 조금도 난 겁나지 않아
더 세게 꼭 잡아 take my hand
좀 위험할거야 더 위험할거야 baby
出典: FANCY/作詞:블랙아이드필승, 전군 作曲:블랙아이드필승, 전군
【和訳】
危険ね、あなたはチクチクとした薔薇みたい
大丈夫、ちっとも怖くないから
もっと強く手を握って
ちょっと危険かも、もっと危険かも
【解説】
好きだと歌っておきながら「危険」というのは何だか矛盾しています。
トゲを持つ彼に手を握られたら、彼女の手にはトゲが食い込んでしまうでしょう。
しかも、更に強く握るように要求します。
先程は彼を空に例えましたが、ここでは薔薇のトゲ。尖っているから危険、ということではありません。
彼女の手のひらに食い込んで深さを増し、抜けなくなるのが怖いのです。
彼女の中で彼の存在が徐々に大きくなっていくのが読み取れます。
달콤한 초콜릿 아이스크림처럼
녹아버리는 지금 내 기분 so lovely
깜깜한 우주 속 가장 반짝이는
저 별 저 별 그 옆에 큰 네 별
出典: FANCY/作詞:블랙아이드필승, 전군 作曲:블랙아이드필승, 전군
【和訳】
甘いチョコレートアイスみたいに溶けちゃう
今の私の気持ちが愛おしい
漆黒の宇宙でひときわ輝くあの星
私の星の隣、あなたの星
【解説】
常夏の太陽のような彼の存在は、彼女の心を熱くさせるようですね。
まさに「恋に恋をしている」様子が読み取れます。
彼のことが好きで、彼が好きだという気持ちも大切で、とにかく「彼」に関するものは何もかも大切なのです。
太陽の次は「星」が出てきました。
太陽はたったひとつしかありませんが、星は無数に存在します。
それでも決して見失うことがないほどに強い光を放っているのでしょう。
地球上にいる男性をかき集めてその中に彼を放り投げても、きっと彼女は一瞬で見つけ出します。
数多の星の中のたったひとつの星という表現から、こうした意味が読み取れます。
love vs fancy
草食に見えて肉食?
거기 너 I fancy you
아무나 원하지 않아
Hey, I love you (love ya!)
그래 너 I fancy you
꿈처럼 행복해도 돼
'Cause I need you (what?)
出典: FANCY/作詞:블랙아이드필승, 전군 作曲:블랙아이드필승, 전군
【和訳】
そこの君、あなたが好き
他には何もいらない
ねえ、愛しているの
そう君、あなたが好き
夢みたいに幸せ、っていうのもいい
あなたが欲しいの(何?)
【解説】
自分をとろけさせる熱と突き刺さる魅力、そして導いてくれる光。
恋人としては文句なしの条件を備えた彼ですから、多くは望まないのでしょう。
大人になると無視できない「経済力・生活力」などとは無縁の時代なのです。
ちょっと背伸びをして「love」と歌ってみたものの、あっという間に「fancy」に逆戻り。
「fancy」は本来、空想や想像といった意味を持っています。
彼女は頭の中で彼との甘い時間を想像しているのでしょう。
あえてloveを使わずにfancyを使うと、思い描いた2人の時間が手に入るのではないか。
そんな可愛らしくも貪欲な彼女の思いが見て取れます。