伝説のヒップポップグループ『KICK THE CAN CREW』
1997年から2004年までの間に巻き起こしたムーブメント
以前から各メンバーがバラバラに活動していた彼ら。
そんな彼らが初めて共作した作品がコンピレーションアルバムでの作品『カンケリ』でした。
この曲は『THE BEST OF JAPANESE HIPHOP vol.7』に収録され、これによって意気投合します。
作品のタイトル『カンケリ』からユニット名を『KICK THE CAN CREW(缶蹴る奴ら)』として活動開始。
1997年からインディーズで精力的にリリースを重ねていきました。
そんなKICK THE CAN CREWが2001年にメジャーデビューしてからの快進撃は言わずもがな。
『クリスマス・イブRap』『マルシェ』『sayonara sayonara』などヒット曲を連発して紅白出場も果たします。
これまで敷居が高かったヒップホップシーンをメジャーに浸透させて音楽シーンを席巻しました。
『ヒップホップ=怖い人がやってる音楽』ではなく、誰にも聴きやすくノリのいい音楽に覚えやすいリリック。
これらはヒップホップへの扉を開いたといっても過言ではなく、KICK THE CAN CREWの偉業だと思います。
しかしながら、それほどまでに世間を賑わしたKICK THE CAN CREWの活動は2004年に突如休止となりました。
それぞれのが個々の活動に戻っていったのです。
言わば元の状態に戻っただけ。
とはいえ、やはりファンとしてはとてもさみしいものでした。
待望の再始動
活動休止から13年が経過した2017年。
これまでソロ活動に専念していた3人が再び集結し、突如として活動再開を宣言しました。
ソロ活動期間中、KREVAさんはソロのアーティストとして大成功を収めていました。
KICK THE CAN CREWを知らなくても『KREVA』という名前は知っている人も多いでしょう。
ソロの楽曲『音色』『イッサイガッサイ』などで大ヒットを記録。
LITTLEさんは、童子-Tさんやトータス松本さんとのコラボで話題になりました。
MCUさんは、FLYING KIDSの浜崎貴司さんやTHE BOOMの宮沢和史さんとのコラボ。
そしてBACK-TICKのトリビュートアルバムに参加するなど、いずれも精力的な活動をされていました。
それぞれのソロ活動に専念していた活動休止期間中、何度かライブでの一時的な再結成をされています。
しかしながら、この活動再開を宣言したこの時は違います。
KICK THE CAN CREWとしての本格的な活動再開のニュースは音楽シーンを駆け巡ったのです。
ファンならずとも、当時の彼らを知っている人々は歓喜しました。
そして配信限定でリリースされた新曲。
それが『千%』でした。
『千%』に込めた想い
過去のKICK THE CAN CREWの楽曲の歌詞を散りばめた『千%』のリリック。
これまでの歴史を踏襲し、新たな世界へと足を踏み出したという始まりの意思表示と強い決意を感じます。
活動休止という空白期間を全く感じさせないどころかさらにパワーアップした彼らの魂が詰まっているのです。
どういった楽曲をサンプリングしているのかは、ネットで検索してもらうとたくさん出てきますので今回は割愛。
思いが詰まったリリックの解説に焦点を当てていきます。
KICK THE CAN CREWの楽曲はそれぞれのメンバーのパートを繋ぐ形で形成されています。
今回は、それぞれのパートごとに解説していこうと思います!
MCUさんのパート
KICK THE CAN CREWの原点をなぞる
まだまだやりつくした感ゼロ 回すベロ でも毎回ヤバイ (完成度)
安定とかも関係なしに
(カンカラ) 宙に蹴飛ばす (半端なく) 最高な (アンバランス)
頑張らなきゃだせない結果を頑張って出す君の代弁者 (OK?)
けれどマイペースに注ぐダイレクトな言葉は水のよう 自然な (I rep)
出典: 千%/作詞:MCU・LITTLE・KREVA 作曲:MCU・LITTLE・KREVA・柿崎洋一郎
長い長い活動休止期間を経ての一言目。
それがMCUさんのこの言葉です。
活動を一旦止めたとはいえ、燃え尽きてはいなかったのだという思いが伝わります。
ここで注目すべきは、3行目の歌詞。
この辺りが過去の曲たちをサンプリングした片鱗になっています。
そうやって過去の上に立って、今の自分たちがいるのだという思いが現れています。
そして4行目と5行目。
人の思いを代弁するミュージシャンとはいえ気負わずにナチュラルに音楽を続けていくという宣言です。
一旦活動を止めたからこそ、いい意味で力の抜けたリリックになっています。
後輩たちには負けていないという自負
『一生懸命を恥ずかしがるな』 初心忘れずな丸刈りマスター
『ライツカメラアクションで棒立ち』 よりかまし続けしない後悔
たとえ誰に抜かれよーが
余裕に抜くアイディアが生まれそうだ
いつも ONEWAY 『YEAH』 ありのままの姿見せる為 今日も足伸ばすまた
出典: 千%/作詞:MCU・LITTLE・KREVA 作曲:MCU・LITTLE・KREVA・柿崎洋一郎
この辺りも過去の楽曲のサンプリングになっています。
ここで言わんとしているのは、とにかく立ち止まるなということです。
後発のミュージシャンたちが活躍する中、今や大先輩となったKICK THE CAN CREW。
そんな後輩たちに先を越されたとしても、自分たちは自分たちらしくいくというメッセージが詰まっています。
一方通行の人生。
後戻りはできないし、するつもりもない、ただただ進んでいくのだという決意を感じます。