金曜のランチも終わり、いよいよ退社時間が迫っています。

ワクワクとともにスピードアップして仕事を終えて、「君」のそばに一刻も早くたどり着こうと、タクシーに飛び乗ります。

やる気まんまんな金曜の夜、週末ナイトクルーズのスタートです。

風にまたぎ月へ登り
僕の席は君の隣り
ふいに我に返りクラリ
春の夜の夢のごとし

Traveling 君を
Traveling 乗せて
アスファルトを照らすよ
Traveling どこへ
Traveling 行くの?
遠くなら何処へでも

出典: traveling/作詞:宇多田ヒカル 作曲:宇多田ヒカル

『traveling』のハミングといえば、「DaDaLu」の3音です。

この3つの音符に背中を押されるように、「風に」「またぎ」「月へ」「登り」のグルーブ感が心地よい歌詞です。

品の良い言葉選びは、「春の夜の夢のごとし」の一節で有名な古典『平家物語』の世界に繋がりやすくするため。

煌びやかな貴族の若者が牛車に揺られ、今宵の恋の相手を求めてそぞろ行く雅やかな世界が、現代の夜の街に広がります。

Traveling もっと
Traveling 揺らせ
壊したくなる衝動
Traveling もっと
Traveling 飛ばせ
急ぐことはないけど

出典: traveling/作詞:宇多田ヒカル 作曲:宇多田ヒカル

先ほどまで余裕ありげだったのに、恋の炎が火力を増したのか、「もっと揺らせ!飛ばせ!」とタクシーの運転手に命令したくなる衝動が沸きます。

大人の理性と動物的情感がぶつかり合う歌詞です。

2番の歌詞の解釈

宇多田ヒカル「traveling」の歌詞の意味を読み解く♪の画像

仕事モードから恋愛モードにシフトさせる歌詞

聞かせたい歌がある
エンドレスリピート
気持ちに拍車かかる
狙い通り

波とはしゃぎ 雲を誘い
ついに僕は君に出会い
若さ故にすぐにチラリ
風の前の塵に同じ

出典: traveling/作詞:宇多田ヒカル 作曲:宇多田ヒカル

現代の牛車のようなタクシーに揺られ、君に聞かせたい歌を何度も脳内リピートしています。

まるで今宵の恋人に渡す恋歌を練る平安貴族のように、下心たっぷりにメロディーをなぞり、気持ちを恋にシフトさせるのです。

「若さ故にすぐにチラリ」させる手筈は整っているのだからと、戦う前に勝負で勝っている自分の優位性を確認します。

「風の前の塵に同じ」の前に隠されているワードは、「たけき者もついには滅びぬ」。

「君を落としてみせる」という宣戦布告です。

Traveling 胸を
Traveling 寄せて
いつもより目立っちゃおう
Traveling ここは
Traveling いやよ
目的地はまだだよ

出典: traveling/作詞:宇多田ヒカル 作曲:宇多田ヒカル

相手をどう落とそうか、持てるもの全て使う覚悟はできています。

Traveling 窓を
Traveling 下げて
何も恐くないモード
Traveling ここで
Traveling いいよ
全ては気分次第

出典: traveling/作詞:宇多田ヒカル 作曲:宇多田ヒカル

恋する最強モードに変身し、目的地へ到着、タクシーを降ります。

宇多田ヒカル「traveling」の歌詞の意味を読み解く♪の画像

みんな 躍り出す時間だ
待ちきれず 今夜
隠れてた願いが うずきます
みんな 盛り上がる時間だ
どうしてだろうか
少しだけ不安が 残ります

出典: traveling/作詞:宇多田ヒカル 作曲:宇多田ヒカル

街は恋の色に染め上げられ、それぞれの願いが渦巻いています。

少しだけ不安が残っているのが不思議なくらい、盛り上がる夜がやってきます。

Traveling 君を
Traveling 乗せて
アスファルトを照らすよ
Traveling どこに
Traveling いるの?
これからが いいところ

出典: traveling/作詞:宇多田ヒカル 作曲:宇多田ヒカル

恋する人を乗せたタクシーはまだ到着しないのか、お目当ての姿を探す様子がキュートな一節です。

Traveling もっと
Traveling 揺らせ
壊したくなる衝動
Traveling もっと
Traveling 飛ばせ
止まるのが怖い ちょっと

出典: traveling/作詞:宇多田ヒカル 作曲:宇多田ヒカル