ここから2番の歌詞に入っていきます。
ここでは彼と会わない間に変化している自分の内面について言及しているようです。
恋人にその内面を知ってほしいという気持ちが表されています。
1番では彼のことを毎日考えていた主人公ですが、ここでは逆に恋人が自分のことを考えていてほしいと思っているのでしょう。
自分だけが一方通行に恋人のことを考えているのではなく、相手も同じであってほしい。
彼にとって、自分も特別な存在でありたいという彼女の気持ちが表れています。
4、5行目では彼への想いが薄らいでいく主人公の様子が描かれているようです。
しかしそれも恋人のことを強く思っているが故なのでしょう。
彼の自分への想いがどれほどのものなのか分からず、そのことに対してもやもやとした感情を抱えているのです。
恋人のために
想いの真意
座るのをこばんだイス
ひねくれないでおいててよ
金太郎あめみたいな心
まっすぐこたえてあげたい
出典: うれしいこと。/作詞:一青窈 作曲:武部聡志
1行目の「イス」は何を意味しているのでしょうか。
拒むという動詞が使われていることから、何かそこに気に食わないものがあったと考えるのが妥当です。
これは主人公の嫉妬心を表していると考えられるのではないでしょうか。
恋人が以前付き合っていた女性が座っていたかもしれない「イス」。
それに嫉妬して彼女は拒んだのではないでしょうか。
このパートは明確な意味の取りづらい、抽象的な意味を含んだ歌詞表現となっています。
続く3、4行目で表されているのは、それのどこを切っても同じようなものであるということ。
ここでは「心」という言葉が使われています。
このことから、「心」の中のどこを取っても同じ想いで満たされていることを表していると考えるのが妥当です。
これは恐らく恋人から主人公への想いを表しているのでしょう。
前述の歌詞パートでは彼への不安を口にしていた主人公。
しかしながら、彼の心の中にはしっかりと自分への想いが詰まっていることを知っているのでしょう。
可愛くなりたい理由
あのね、きいて
あたしね うんと可愛くなりたいのよ
爪も切って桜貝だし
きちんとほめてくれた
出典: うれしいこと。/作詞:一青窈 作曲:武部聡志
ここでは主人公が恋人に更に好きになってもらえるように、自分を磨いていこうと考えている様子が窺えます。
その努力の裏には彼からの自分への好意が冷めてしまわないようにという気持ちもあるのではないでしょうか。
彼女にとって、自分を変えたいと思うほどに恋人が大きな存在であるということが分かる表現です。
3、4行目ではそんな彼女の変化を敏感に察知する彼の姿が描かれています。
恋人もちゃんと主人公のことを蔑ろにしていないということが伝わる表現です。
主人公は不安を感じながらも、相思相愛であることを実感しているのでしょう。
恋人からの愛情
愛情の実感
たくさん愛されてるとね
何もかもが当たり前
ありゃあたしも気づいてみたら
すごく愛されてたよ
出典: うれしいこと。/作詞:一青窈 作曲:武部聡志
今までは恋人からの愛情をそこまで実感できずにいた主人公。
それ故に不安になる気持ちもあったのでしょう。
しかしながら心のどこかで、その愛されている状況が当たり前になることを恐れていた彼女。
当たり前になるということは、その有り難みが薄れていくことでもあるといえるのではないでしょうか。
だからこそ現状の満たされなさに、安心も同時に抱えていたのでしょう。
そしてそんな中ではっきりと分からない彼からの愛情を求め、自分を磨く努力をしていた主人公。
そして、前述のパートでそんな変化にも彼は敏感に気づいてみせました。
そのことに対して、主人公はやっと自分が彼からちゃんと愛されているのだという実感を得たのでしょう。
そしてその実感によって、今までの不安が払拭されたのだと考えられます。
愛情は返ってくる
その安心感によって、愛され過ぎると全てが当たり前になってしまうのではないかという不安さえも払拭された。
今までは彼が幸せであることに自分の幸せを見出そうとしていた主人公。
しかし今彼からの愛情を実感できたことで、主人公は愛されることの幸せも感じたのだと考えられます。
「うれしいこと。」では主人公の恋人への一途な気持ちと、その気持ちが報われるまでが表現されていました。
一青窈は愛情というのはきちんと相手に伝わり、自分に返ってくるものだと考えているのでしょう。