Oh, where are you now? Have you gone away?
Here now, is it just a lookalike?

出典: shadowgraph/作詞:MYTH&ROID 作曲:MYTH&ROID

和訳

ああ、君は今どこにいる?立ち去ってしまったのかい?

今ここにいるのは「他人の空似」ということかい?

 

この曲の語り手の眼前には君とよく似た人がいますが、「君ではない」と判断したようです。

立ち去った、と感じるほどですから気配すら感じられないのでしょう。

この曲は「見えるもの・見えないもの」をひとつのテーマとしていると考察できます。

目の前に見えるのは間違いなく君であっても、それを鵜呑みにしてはいけない。

目に見えるものこそが真実だと判断することの危うさを歌っているように感じます。

All of the world is slowly changing
In a way I cannot see from here

出典: shadowgraph/作詞:MYTH&ROID 作曲:MYTH&ROID

和訳

世界の全てがゆっくりと変化しつつある。

その一方で、ここからはそれが見えないんだ。

 

例えば1000人の集団の中から1人抜けたら、気づくでしょうか。もう1人抜けたらどうでしょうか。

500人が抜ければすぐに気づきますが、1人ずつ減っていってもすぐには気づかないはずです。

「世界」という壮大なスケールの中に身を置いているなら、ゆっくりとした変化には気づきません。

目視で「1000人いる」と思っていても999人に減っているかもしれない。

見えるものが必ずしも正しいとは限らないということですね。

夢と現実の境目が見えない

昨日見た夢では 誰かに呼ばれていた
振り向けばそこには 消えもせず居座った幻

出典: shadowgraph/作詞:MYTH&ROID 作曲:MYTH&ROID

ごく稀に「正夢」を見る方がいるかもしれません。

しかし眠りながら見る夢の多くは脳が作り出した虚像に過ぎません。

目が覚めたとき、夢の中で自分を呼んでいた声の主は一体誰だったのだろうかと、必死で思い出そうとします。

もう今は覚醒しているはずなのに、なぜか背後から投げられる声。

それは夢で聞いた声と一致したのでしょう。

声の主は夢の中から現実世界に這い出てきたのか、はたまた最初からそこにいたのか。

今まで見ようとしなかっただけで、実はずっと前から存在していたのかもしれません。

視覚は「誰もいない」と判断していたはずなのに。

ここでまた「見えるもの・見えないもの」の境界が曖昧になるのです。

「見えない=無い」ではない

Can you see the meaning inside yourself?
不意に嗤い消えた声
なぜに出会い なぜ別れ その意味も知らず

出典: shadowgraph/作詞:MYTH&ROID 作曲:MYTH&ROID

曲の冒頭で出てきた英詞が繰り返されます。

「君自身の内面に意味が見いだせるかい?」

これは夢の中で名を呼んだ人物のセリフなのでしょう。

「嗤い」は愉快な感情から出るものではなく、嘲笑や蔑みから生まれるものです。

つまり英詞のセリフは「どうせ目に見えるものしか信じないのだろう?」と訳せるのではないでしょうか。

消えたその人が自分の前に現れた理由に心当たりがありません。

確かに目に見えたのに、何をしに来たのか分からない。確かに目に見えたのに、消えてしまった。

「目に見えるもの=この世に確実に存在しているもの」とは限らないということですね。

So, can you see the meaning in your darkness?
繰り返し映る影
何もないその中を 何かを探し歩き続ける

出典: shadowgraph/作詞:MYTH&ROID 作曲:MYTH&ROID

ここでも冒頭の英詞が用いられています。

「君の闇に意味が見いだせるかい?」

夢と現実の境目が乱れ、目に見える存在が信じられなくなり、誰かの問いかけに耳を傾けたのでしょう。

自分の中にある闇に目を向けます。

もしも心の中が常に暗い影に覆われていたら、影の存在に気づかないかもしれません。

世界の変化に気づかないのによく似ています。

しかし心の影はその存在を誇示するかのようにちらついているようです。

「意味を見いだせるか」との問いかけに今すぐ答えることはできませんし、すぐに意味が見つかるわけでもありません。

それを理解した上で、答えが知りたいと思ったのでしょう。

今はただの暗闇でしかないその場所で、意味を求めてさまよいます。

暗闇ですから何も見えません。しかし「見えない=無い」とは限らないということですね。

「真実」の定義は分からない

情報が氾濫する世の中で、真実と虚偽の判断を迫られる場面は多いでしょう。

私たちは何を根拠に「真実」だと判断しているのでしょうか。

真実が生まれる一瞬

So, have you thought what truth means in this world?
Is the “truth” enough for you to believe?

出典: shadowgraph/作詞:MYTH&ROID 作曲:MYTH&ROID