【和訳】
さて、君は世界に存在する真実の意味について考えたことはあるかい?
その「真実」は信頼できるものなのかい?
インターネットやSNSの情報がフェイクニュースだった!最近はこんなことがよく起こります。
「動画が撮影されているのだから真実だ」と確信しても、実はCG映像かもしれません。
信頼できる人が拡散した情報が、実は誤報だということもあるでしょう。
これらを加味すると、このセクションの英詞は心に突き刺さりますね。
私たちは何を根拠に「真実」「虚偽」を振り分けているのでしょうか。
All of the world is slowly changing
In a way I can not catch up with
出典: shadowgraph/作詞:MYTH&ROID 作曲:MYTH&ROID
【和訳】
世界の全てがゆっくりと変化しつつある。
一方で、それに追いつけないんだ。
情報は常に更新されていますので、新しいものが正確な情報だと認識します。
しかし、今この瞬間「最新」になった情報も、一瞬が過ぎ去れば徐々に古い情報になっていくのです。
ですから「最新」に変化した瞬間をとらえるのは非常に難しいでしょう。
「最新=真実」と考えるのであれば、私たちは真実を見ないままかもしれません。
私の存在を証明して!
Day by day, we’re losing our own shadows
手に入れたものでさえ
手の中で変わるのだと 気づいてしまった
出典: shadowgraph/作詞:MYTH&ROID 作曲:MYTH&ROID
英詞部分は「日々私たちは自分の影を見失う」という意味です。
「shadow(s)」は冒頭の歌詞にあった「darkness」とは異なる、物理的な影を意味するのでしょう。
影は誰かと共有するものではなく、自分ひとりの所有物。陽が当たればひとりにひとつの影が与えられます。
しかし夜が訪れれば影は闇に塗りつぶされて消えるのです。
「真実だ」と信じて疑わなかったことも、気づけば真実というラベルが剥がされているかもしれません。
So, day by day, we’re losing proof we are here
色づいたこの霧は
世界と名乗ってまだ 視界のすべてを覆っている
出典: shadowgraph/作詞:MYTH&ROID 作曲:MYTH&ROID
「日々私たちは自分の存在証明を見失う」と訳せます。
自分自身で「私はここにいる」と叫んだところで、何の証明にもなりません。第三者が必要です。
それが陽ざしであり、陽ざしによって作られた影を見ることで自分の存在に確信が持てるのではないでしょうか。
しかしそうした存在証明も、日々見失うのです。
更に、霧が目の前を曇らせます。
霧は通常白く見えますが、白を「色」としてカウントしないのであれば、色がついた霧はこの世に存在しません。
つまり、何者かが人為的に着色した偽物なのではないでしょうか。
世界の動きが真実を生み出す、と解釈しましたが、霧はこともあろうに「世界」を自称しています。
目に見える範囲全てに霧がかかってしまうと、霧が晴れようと動いているのか停滞しているのか、変化が見えにくくなります。
真実がどこにあるのか、何が真実なのかを更に分かりにくくしているのです。
手がかりは霧の向こう
なにもなにも 見えない底に
いつもいつも あるはずのもの
光と影 夢と現の狭間で踊る
私はどこにいる? さあ
出典: shadowgraph/作詞:MYTH&ROID 作曲:MYTH&ROID
霧に阻まれ、足元さえ見えません。ということは、影も見えないのです。
自分が本当に存在しているのか確信が持てません。
自分が今まで真実だと信じて生きてきた物事の真偽も分からなくなります。
何も見えない、見えるものはたったひとつ「霧」。
現状を把握できず、戸惑います。
真実を探す旅に誘う『shadowgraph』
「じゃあどうすればいいの!真実ってなんなの!」
多くの方が共通して抱く疑問かもしれません。
では、もしこの曲で「真実っていうのはね」とMYTH&ROIDが答えを歌ってくれたとしましょう。
耳で聴いた歌、目で見た歌詞、五感が拾うそれらを信じるのが私たち人間です。
しかし、私たちの耳は、目は、どこまで確かなのでしょうか。
真実を見分ける能力はありますか?
つまり「真実は定義づけできるものではない」ということではないでしょうか。
霧の中を模索しながら、暗い道を歩きながら、自分が信じるべきものを探しながら、私たちは生きていくのです。
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