「Bloomin'」のMVから読み取れるメッセージとは
今回は植田真梨恵さんの「Bloomin’」のMVをご紹介します。
春は卒業と別れ、新たな旅立ちと出会いの季節です。
数多くのヒット曲が誕生するのも春。自らの青春時代を当時のヒット曲と重ね合わせる方も多いことでしょう。
この曲もまた、そうした楽曲の仲間入りを果たしそうな、春の香りがする作品です。
MVの中の気になる場面をピックアップしながら、埋め込まれたメッセージを解説します。
オープニングは冬空のように

やや低音の前奏とシックな背景で動画が始まり、シルエットになった彼女が現れます。
ベールをまとっているように見える彼女はターンテーブルの上。
そして小さなトイピアノを前に、胡坐をかいて座っているのです。
ややネガティブな印象さえ受ける背景は、あたかも雪雲に覆われた冬空のように見えます。
それなのに曲調は重くなく、むしろ軽やか。
映し出されるメトロノームはどんな意味があるのでしょうか。
もう少し見てみましょう。
止まったメトロノーム
巡る季節の中 タイムカプセルの中
膨らんだ頬に頬寄せて涙飲み込んだ
出典: Bloomin’/作詞:植田真梨恵 作曲:植田真梨恵
サビに入る直前の歌詞です。
この辺りに差し掛かると、彼女を覆っていた暗雲やベールはどこかへ弾け飛びます。
メトロノームも驚いたように一瞬ストップ。
その後、背景が明るく変わることから、このあたりに何か意味があるのだと推測できます。
暗い背景が冬を表すのであれば、桃色の背景は春でしょう。
普通は冬と春の明確な境目はなく、シームレスに季節が変わっていきます。
つまりメトロノームは動き続け、気付けば春になっているはずなのです。
メトロノームが止まったということは、何らかの大きな変化が一気に訪れた証拠ではないでしょうか。
歌詞から読み取れるのは我慢や決意です。
別れに際して往生際が悪い自分は涙とともに飲み下し、春という出発の季節を受け入れました。
永遠に明けないのではないかと思ってしまうほど長い冬。
きっと主人公がその流れを止めていたのです。なぜならそこから離れたくないからでしょう。
しかし乗り越えなければ、という気持ちももちろんあるのです。
乗り越えた瞬間、カレンダーをめくるかのように一気に季節が変わりました。
花は何を表すのか
その花は 散ることを
知りながら でも咲き誇る
なぜか君のことを思い出す
出典: Bloomin’/作詞:植田真梨恵 作曲:植田真梨恵
やがて桜の開花を連想させるように、背景も彼女の表情も明るく和やかになりました。
尚も楽しそうにリズムをとりながら、小さなトイピアノを弾きつづける彼女。
それは我慢を決意した主人公や別れを受け入れた相手の心の変化を表すのでしょう。
別れという悲しい現実をいつまでも引きずっていては、相手にもそれを強いることになります。
お互いにそう理解したのではないでしょうか。
だから「君」は別れを受け入れ、きっと笑ったのです。
それが映像の背景色の変化であり、この歌詞では「花」に例えられています。
トイピアノは本物のようで本物ではない
無邪気に音を叩いていたあの頃
植田真梨恵さんが弾いているトイピアノは、おもちゃでありながらかなりの完成度です。
いわゆるおもちゃのピアノとは異なり、音を聴いて分かる通りフルサイズのピアノに近い音が出ます。
とはいえ、胡座をかいてまでトイピアノを弾く大人ミュージシャンは少ないでしょう。
間奏で楽しそうにトイピアノを弾いている彼女の姿。
それは夢を追いかけ始めた幼い頃の彼女自身を投影しているのではないでしょうか。
トイピアノから目指すは一流のミュージシャン
歌詞の中では、勢いよく咲く花を見て昔を思い返す光景が描かれていました。
植田真梨恵さんはトイピアノを見て、あるいは弾いて昔を思い出すのだと推測できます。
彼女にとってトイピアノは、音楽の道という「夢」の始まりを表現しているのです。
中学生になってから福岡のタレント事務所に声をかけられ、そこに所属することになる。しかしタレントになりたいわけではなかったので、音楽をやりたいとずっと言い続けていた。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/植田真梨恵