「東京VICTORY」に込められた歌詞の意味を探る!

「東京VICTORY」はそのタイトルからも想像がつく通り、2020年東京オリンピックを意識して作られた曲です。リリースは2014年9月10日で、サザンオールスターズにとって55枚目のシングル

発売当初からオリコンでは連日1位を独走し、日本の王御所としての堂々たる存在感を見せつけました。リリース当初から「東京VICTORY」は数々のテーマソングとして起用されています。

三井住友銀行のCMをはじめ、2014年に開催された「2014年アジア&世界バレー」が放送されたTBS系列で試合を盛り上げるテーマソングとして記憶に新しく残っています。

歌詞に込められたサザンオールスターズが目指すVICTORYの形を紐解いてみたいと思います。

桑田佳祐が込めた「東京VICTORY」のメッセージとは

タイトル「東京」は母国と祖国

時を駆けるよ Time goes round
変わりゆく My hometown
彗星(ほし)が流れるように
夢の未来へ Space goes round
友よ Forever young
みんな頑張って
それ行け Get the chance!!

出典: 東京VICTORY/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐

桑田佳祐がこの「東京VICTORY」を製作するにあたってわざわざタイトルに東京を持ってきたのは、オリンピック開催地としてだけでなく、母国や祖国という概念を加味してタイトルにしたそうです。

曲の出だしに「Wow..」というコーラスから始まるこの部分は、曲の製作途中に沸いたアイデアでコーラスのメロディは原由子が担当しました。

「時をかけるよ Time gose round 変わりゆくMy hometown」のくだりは変わっていく時代を経ても日本は自分の故郷という比喩表現のように聞こえますね。

「友よ Forever young 」は同世代のみんなもいつまでも若々しく頑張っていこう!のエール。「それ行けGet the chance!!」チャンスをつかめ!は激励と意気込みの現れ。

3.11の被災地にもエールを送る

果てしない空と
海の青さに
胸が騒ぐ

幸せ求めて
人は出逢い
愛を交わす

こんな争い事や
不安に満ちた世の中だけど

出典: 東京VICTORY/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐

桑田佳祐がこの「東京VICTORY」を製作するにあたって、「東日本大震災」の福島を思う気持ちがあったそうです。どんなに世界や世間の情勢が変化しても果てしなくつづく青い空と海は変わらない。

どんなに争いや不安が続いていてもやっぱり人は愛する人に出会うために生きている。ここには桑田がいつもテーマとする「愛」の存在がたしかにあります。

桑田節の特徴でもある「韻」を踏む趣向はここでももちろん生きています。「胸が騒ぐ」「愛を交わす」母音のAWAがリンクしていて韻をふんでいるのがわかりますか?

「東京VICTORY」2番の歌詞は読解パズル

私を抱きしめ
守ってくれた人は
もういない

希望の灯火(ともしび)
それは金色(きん)に光る
一番星

どうせ生まれたからにゃ
生命(いのち)の限り旅を続けよう

出典: 東京VICTORY/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐

サビにクライマックスが

時を駆けるよ Time goes round
変わりゆく My hometown
川の流れのように
ビルの街にも Rising sun
勝利の Final countdown
自分を追い越して
それ行け Get the chance!!Wow…

出典: 東京VICTORY/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐

「東京VICTORY」の2番の歌詞には隠喩と思われる数々の仕掛けがパズルのようにもちられて、桑田ならではの奥の深い世界を作り出しているのがよくわかります。

「光る一番星」は金メダルの象徴。サビに出てくる川の流れのようにはもしかしたら美空ひばりの昭和の栄光を物語っているのかも?さらに「ビルの街にもRising sun」は日の出=日の丸国旗を示しています。

忘れてはいけない傷跡も

時が止まったままの
あの日の My hometown
二度と戻れぬ故郷
夢の未来へ Space goes round
友よ Forever young
みんな頑張ってTOKYO, The world is one!!

出典: 東京VICTORY/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐

この歌詞のくだりは「東日本大震災」で震災の日のままで時がとまってしまったような被災地を去った人たちは、いまでも戻れない故郷を思って恋しい思いが募るに違いない。

だけど未来の夢にむかって、頑張ってみんなで前進しよう!といってみんなで一つになって頑張っていく強い気持ちを歌詞に込めています。

他にも桑田には長年自分が使用してきたビクター(VICTORY)のスタジオが所在する千駄ヶ谷のことを思い浮かべ、2020年オリンピックの頃には環境が変わるかもしれない慣れ親しんだ土地を示唆しています。

この「東京VICTORY」には競技として日本がオリンピックで活躍してほしいという願いはもちろんのこと、日本全体が前向きに頑張っていこうよというメッセージを込めて製作された楽曲たっだのです。