いつもの中庭 少し遠い旧校舎
そこが私たちの特等席
男子は禁制 ここは秘密の花園
ただの 溜まり場なんだけどね

出典: 中庭の少女たち/作詞:宮崎朝子 作曲:宮崎朝子

女性の多くは話をすることが好きですが、それってただ“話をすることが好き”というよりは、誰かと気持ちや時間を共有することが好きなんですよね。

もちろん恋人といる時間も楽しいのですが、少女にとって大切なのは、恋人との時間より女の子同士の他愛ない時間である場合もあります。

そして、少女たちが集まればただの溜まり場だって、秘密の花園になるのです。

これから これから
今から 行くから
いつもの中庭 みんなで待っててよ
いつまでも一緒は 絶対ないよね
わかってる
わかってる
わかってる

出典: 中庭の少女たち/作詞:宮崎朝子 作曲:宮崎朝子

少女が少年と異なる部分って、自分が少女でいられるタイムリミットを知っているところではないかと思います。

心身共に、女の子は大人への一歩を自分の意志とは関係なく訪れることが多いですからね。

知らず知らず“この時間が永遠ではない”と悟っている気がします。

大人になって 酸いも甘いも知った時
今日のお昼と同じように笑いあえるかな
大人になって 大事なものが見えた時
またこの中庭に集まって笑いあえるかな
なんて、私だけなのかなあ。

出典: 中庭の少女たち/作詞:宮崎朝子 作曲:宮崎朝子

少女は自分が少女でいられる期間が永遠ではないことを知っている、と先ほど述べましたが、それにプラスして少女が知っていること。

それは“自分たちの気持ちも、物の見方も価値観も変わっていってしまう”ということである気がします。

少女の心には現実が棲んでいる

いつもの中庭 少し遠い旧校舎
そこが私たちの特等席
喧嘩をするのも 泣いて抱きしめあうのも
全部この場所で起きたこと

出典: 中庭の少女たち/作詞:宮崎朝子 作曲:宮崎朝子

自分の“少女としてのリミット”を知っている女の子たちは、リアルタイムの中にも“想い出”を刻む作業を忘れません。

例えば日常の些細な場面を、記憶の中に写真みたくインプットすること。

少女の頭の中には、まるでアルバムのように日常の一瞬一瞬が撮り収められているのです。

MVでカメラが登場しているのは、そうした少女の特性を大変上手に表している気がします。

これから これから
今から 行くから
いつもの中庭 みんなで待っててよ
笑い合っていてもね 私は不安で
バカだね
バカだよ
バカみたい

出典: 中庭の少女たち/作詞:宮崎朝子 作曲:宮崎朝子

この現実はいつまでも続かなくて、いつかは現実という道の上を歩いていかなければいけないことを知っている少女たち。

彼女たちは、周りの男子たちからすれば、キャーキャーうるさく思えるかもしれませんね。

でも、彼女たちは100%楽しんでいるようで、この瞬間は今しかない!と噛みしめながら時を刻んでいるのです。

少女の心にはどこかしら不安が潜んでいるものです。

大人になって 酸いも甘いも知った時
自分の気持ち今日みたいに伝えられるのかな
大人になって 汚いものを知った時
君の涙自分のものだと思い合えるかな
なんて、私だけなのかなあ。

出典: 中庭の少女たち/作詞:宮崎朝子 作曲:宮崎朝子

いつまでも純粋ではいられないことを、あらかじめ知っていることってある意味残酷です。

自分の心だっていつの日か純粋さを失うってわかっているのですもの。

でも今、不安を抱える少女時代の渦中にある女の子たちがいたら、“清濁併せ呑む人は本当に豊かな心だ”と伝えたいですね。

純粋であることがだけが、美しいとは限りませんから。

あの子はOL
あの子はお嫁さん
あの子はお母さん
みんなきっとバラバラの夢を持ってる
変わらぬ笑顔とお弁当を持ち寄って
またここに集まるの
それが今の 私の夢

出典: 中庭の少女たち/作詞:宮崎朝子 作曲:宮崎朝子

男性同士もそうかもしれませんが、女性は社会に出てからの立場などで、幼少期や学生からの友人関係が微妙に変わってくることが多い気がします。

だからこそ、1番楽しかった時期にできた友人が、その当時の付き合い方のままで大人になれたら、それは本当に素敵ですよね。

ただ、それが難しいとわかっているからこそ、楽曲の主人公は大人になっても変わらず集まれることを“夢”と言っているのかもしれませんね。

大人になって 酸いも甘いも知った時
今日のお昼と同じように笑いあえるかな
大人になって 大事なものが見えた時
またこの中庭に集まって笑いあえるかな
なんて、私だけなのかな?
なんて、私だけなのかなあ…

出典: 中庭の少女たち/作詞:宮崎朝子 作曲:宮崎朝子

少女は純粋であるべき、というような社会的なイメージを知っているからか、この楽曲の主人公は“(こんなことを思うのは)私だけなのかな”と考えます。

しかし実際には、きっと大多数の少女が不安を抱えながら一瞬を楽しもうとキラめいているのではないでしょうか。

ずっと昔に少女である時間が過ぎていった筆者とすれば、揺れながらもその瞬間を精一杯楽しんでいるあなたたちは誰よりも美しいよ、と見守りたくなりますね。

「中庭の少女たち」を弾き語りたい!