振り返っていたのは「君」との思い出…。

「君」とは誰でしょうか?

小さい頃同じクラスにいた、幼馴染のような存在なのかもしれませんね。

「君」の注目を集めたかったのでしょう。

そのために頑張ってキーボードを練習していたようで、微笑ましいです。

ですが、ちょっと強がりな言葉遣いが目立ちます。

素直になれない主人公の性格を表現しているのではないでしょうか?

今は弾けなくなった理由。

それは、練習したいと思うだけのモチベーションがなくなったのでしょう。

「君」にかまってほしい一心で練習に取り組めたのです。

「君」への気持ちの強さがうかがえます。

徐々に気持ちが明らかに

ここから主人公の抱える葛藤が明らかになってきます。

なかなか素直になれない主人公。

自分の問題を直視したとき、何を思うのでしょうか?

モヤモヤの正体は?

こんなのじゃ
悲しんでるみたいじゃないか
ずっと一緒にいたのに
ずっと一緒にいたのにな

出典: 素直/作詞:上野はゆね 作曲:上野はゆね

悲しい気持ちすら素直に受け止められないのかもしれません。

「君」とは昔も今もずっと一緒に過ごしてきた。

だから、別にそこに寂しさや悲しみを感じる必要なんてないはず。

それなのにこんなに気分が落ち込むのはなんでだろう…?

このような思考が表現されていると思います。

ちょっと恋愛の匂いがしてきましたね。

ただ傍にいるだけではモヤモヤする…。

その先の展開を望むようになっている自分への気づきでしょう。

成長するうちに「友情」が「恋心」に変化したのかもしれないです。

別れを見据えている

このままがいいなら
このままじゃダメだったのに
時間は 白々しくすぎていくね

出典: 素直/作詞:上野はゆね 作曲:上野はゆね

言葉遊びにも似た表現ですね。

現状維持を望むなら、今の自分のままでいてはいけない。

という意味でしょうか?

「ダメだった」という表現は過去形。

つまり、主人公は適切な対応をできなかった自分を悔やんでいるのです。

ずっと一緒に過ごしてきた「君」。

ですが、別れの時が近づいているのかもしれません。

成長すればいずれ、別々の進路や就職先を選ぶでしょう。

こうした選択を迫られる時期まで、主人公は友達のポジションを続けたのだと思います。

その後も関わるためには、自分から行動しなければならない

恋心を抱いているとしたら、伝えないとそのまま終わってしまう。

そんな背景が想像できますね。

そしてその時が来た

楽曲の終盤になり、後悔の原因となった出来事が語られます。

勇気を出して直視したくない現実に目を向けたのです。

主人公はどんな本音を抱えていたのでしょうか?

いつもの朝だけど何か足りない

いつもの朝じゃないか
横に何も見当たらないのに
いつもの朝じゃないか
何も変わらないじゃないか

出典: 素直/作詞:上野はゆね 作曲:上野はゆね

いつも通り迎えた朝。

なのに、違和感を感じているのは何故でしょう?

横にいないのは「君」なのだと思います

いつも一緒に過ごしてきた。

いつも横にいてくれた。

そんな「君」が今は主人公のもとを去ってしまったのです。

これが主人公の抱える後悔の正体。

「君」といつまでも一緒にいられないと分かっていたのでしょう。

分かっていたのに、素直になれなくて心残りを作ってしまった

その時は強がるのに必死だった主人公。

ですが、現実に「君」を失ってからやるせない気持ちに苛まれています。

素直になれなかった後悔

バイト終わり 本当の事言えてたら どうなってた?
簡単な事程出来なくなってるね
「うん、私もそう思ってた」もう嘘しか言えなくなってた
もう、嘘しか言えなくなってた

出典: 素直/作詞:上野はゆね 作曲:上野はゆね

これは最後に「君」と話したときの記憶なのでしょう。

自分の想いを伝えるチャンスはあったのです。

でも、伝えられなかったようですね。

昔は素直に自分の感情を表現できた。

なのに、いつの間にか簡単なことなのにできなくなってしまった。

どうして自分はこうなってしまったんだろう?

そんな風に自分の未熟さを責めているのではないでしょうか。

主人公は本音を隠すように「君」に嘘をつきました。

無難に意見を合わせてしまったのが読み取れます。

でも「私も」と肯定するのではなく「私は違うの!」と遮ってでも、本心を伝えるべきだったのでしょう。

離れ離れになってから後悔が残るくらいなら、最後の最後に思いきりぶつかれば良かった。

これがこの楽曲で歌われている感情なのだと思います。