夢の世界は「ストーン・コールド・クレイジー」
1974年のクイーンはハード・ロック・バンド
1974年11月発表、クイーンの3作目のアルバム「シアー・ハート・アタック」。
ハード・ロック・バンドとしてのクイーンの真骨頂のようなアルバムです。
中でもメンバー全員の作詞作曲による「ストーン・コールド・クレイジー」に注目しました。
後の1991年にメタリカがカバーしたことでも有名なこの曲ですが、とにかくテンポが速い楽曲です。
フレディ・マーキュリーがブリティッシュ・イングリッシュを早口でまくしたてる歌詞。
歌詞カードとにらめっこしてもリスニングが追いつかない厄介な曲です。
こんなときにはダイレクトに歌詞を楽しめるネイティブの方が羨ましくなります。
今回は歌詞カードをきちんと読み込み独自に和訳して歌詞の世界をご紹介。
1974年のハード・ロックとしては非常にモダンな印象があるこの曲。
主人公が見た夢のお話が歌詞の基軸。
自分が見たばかりの夢を興奮しながらとうとうと語り尽くすニュアンスを感じていただけたら幸いです。
それでは実際の歌詞を見ていきましょう。
ある朝見た夢の中で
原曲はフレディによる
Sleeping very soundly
On a Saturday morning
I was dreaming I was Al Capone
There's a rumour going round
Gotta clear outta town
I'm smelling like a dry-fish bone
出典: Stone Cold Crazy/作詞: Brian May Freddie Mercury John Deacon Roger Taylor 作曲:Brian May Freddie Mercury John Deacon Roger Taylor
イントロのブライアン・メイのリフがかっこいいです。
歌い出しからフレディ・マーキュリーの早口が炸裂します。
メンバー全員の名前がクレジットされていますが、元々はフレディが温めていた曲です。
フレディの原曲を全員で直しながら仕上げました。
とにかく短い速い曲です。
しかしそのわずかな時間にたくさんの言葉をつぎ込みます。
後のスレッシュ・メタルの萌芽をうかがわせるような作風です。
メタリカがカバーしたのも頷けます。
ちなみにメタリカのバージョンが聴きたい方は彼らのアルバム「Garage Inc.」がお薦めです。
歌詞の和訳を見ていきましょう。
シカゴ・ギャングになる夢
「ぐっすり眠り込んでいた土曜の朝
僕はアル・カポネになる夢を見ていた
噂が駆け巡り
街を一掃したよ
僕は干し魚の骨のような匂いがしていた」
主人公は少年でしょうか。
学校が休みなのでしこたま眠り続けます。
夢の中で彼はギャング・スターになっているのです。
アル・カポネが干し魚の骨のような匂いかどうかが不明なのですが夢の中のお話。
夢の創造力は羽を広げてこの先も豊かなドラマを魅させてくれます。
歌詞の続きは夢の続きです。
見ていきましょう。
夢の中でも法が支配
無法者の思考が前面に出る
Here come the Law,
Gonna break down the door
Gonna carry me away once more
Never, I never,
I never want it any more
Gotta get away from this stone-cold floor
出典: Stone Cold Crazy/作詞: Brian May Freddie Mercury John Deacon Roger Taylor 作曲:Brian May Freddie Mercury John Deacon Roger Taylor
歌詞を和訳しながら解説します。
「法が支配する社会さ
法は扉を叩き壊して
もう一度、僕を連行するんだ
ありえない、そんなのあってはならない、これ以上そうはさせないさ
この冷たい石床の部屋から抜け出さないといけない」
直訳ですと分かりにくいので意訳を多めにしてみました。
実際にアル・カポネが失脚したのは税務官たちの執拗な攻撃によります。
夢の中で彼はアル・カポネになりきっているので無法者の思考が前面に出るのです。
シカゴの暗黒街のボスになりきっています。
脱獄を企てるようなラインが登場します。
アル・カポネはアルカトラズ刑務所に移送の際に脱獄を警戒されて船で直接運ばれました。
実際のアル・カポネは梅毒に罹っていたこともあり脱獄など不可能でしたが。