【blues】とは?

さて、3ピースバンドとして人気を集めるback number

早速3rdアルバム【blues】の曲紹介に移りたいところですが、まずはアルバム名の意味について触れていきます。

「blues」の英訳は大きく分けて二つ。

音楽の区分としてある哀調の歌曲、そして憂うつという意味です。

そしてこのアルバムでの「blues」の意味は後者と考えます。

さまざまな曲のタイトルなどに見られるこの「blues」という言葉、前者の意味で使われることが少ないのです。

音楽の区分として細かく分けて考える「blues」にはリズムや音階などにルールがあります。

よくよく聴くとその決まりに当てはまっていない曲が多いんですね。

実際にこのアルバムを音楽機器に取り込み表示された音楽区分も「ロック」となっていました。

では、なぜback numberはこのタイトルをつけたのか。

以下では曲内に潜む憂うつにも触れつつ収録曲順に魅力をご紹介していこうと思います。

1.青い春

一曲目は、フジテレビ系土曜ドラマ「高校入試」の主題歌としても採用された「青い春/back number」。

最初は掴みが肝心といいますが、アルバムの一曲目に相応しい胸に勢いよく迫るチューンです。

元々は2012年にシングルとしてリリースされていました。

テーマはタイトルに!

踊りながら
羽ばたく為のステージで這いつくばっていても
踊らされてるのも随分前から分かっていて
それでも それでも

出典: 青い春/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏

決して速いテンポという訳ではないのですが、イントロから心地よく突き進むようなメロディーが印象的。

そしてこの思い切って飛び込むようなサビへの入り方が絶妙ですよね。

描かれているテーマはタイトルの通り「青春」でしょうか。

青春というと中学や高校時代の淡い記憶が蘇りますが、ここでは葛藤を表現しているように思います。

学校では勉強、部活、外ではアルバイト。

自分の用意された舞台で役割をこなすも、どこかでやらされている自分が見える時ってありますよね。

本当にやりたいことはこんなんじゃない。

多感な時期に味わったもどかしい思いをキャッチーな旋律にのせて表現しています。

ドラマとの関連性も?

ドラマ主題歌で歌われる曲の多くは制作側からアーティストに依頼があり作られています。

そして、こちらもオファーがあっての曲作りだったようです。

ドラマ「高校入試」では高校という舞台設定があるので「青春」のストーリーを歌詞に込めたのは納得できます。

しかしその中でもなぜ葛藤をテーマにしたのか。

back numberといえば一般的に恋愛ソングのイメージが強いですよね。

察するに、テーマを恋愛にしなかったのは、ドラマのストーリーの影響だと考えます。

このドラマの脚本を手がけたのは作家の湊かなえさん。

「告白」などの人気ミステリー小説作家としてお馴染みです。

湊さんの作品は社会風刺をしているものも多く、「高校入試」もそんなミステリードラマでした。

作品の世界観を壊さずに、それでいてback numberらしい哀愁をしっかり残しているんですね。

ヒットしたのも頷ける名曲です。

2.手の鳴る方へ

二曲目は裏打ちするドラムのリズムが楽しくて、つい体が揺れ出しそうな「手の鳴る方へ/back number」です。

明るい曲調とは裏腹に、冒頭の歌詞を見るとこの曲にもちょっとした憂うつな気持ちが隠れています。

君の横にずっと
いたいんだけどなぁ
君はあいつを忘れていない
前はそれでよかったのに

出典: 手の鳴る方へ/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏

切ない歌詞からのスタート。

back numberらしい良い女々しさが感じられますよね。

しかしここからポジティブにいこうというような内容に推移していきます。

これから君と笑ったり泣いたりしていけるなら
それでいいやと思えたのさ
それがいいやと思えたのさ

出典: 手の鳴る方へ/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏

付き合いたてのカップルなのでしょうか。

楽しい思い出や好きという気持ちはこれから築いていけば良いんだ!という前向きな気持ちが表現されています。

サビでの「手の鳴る方へ」という一節も、二人の幸せな姿を想像すると顔がほころんでしまいそうですよね。

3.わたがし