「DANDAN」とヒストリー

【DANDAN/THE YELLOW MONKEY】歌詞の意味を徹底解説!DANDANどう変わろう?の画像

2019年10月30日発表、THE YELLOW MONKEYの結成30周年記念シングルDANDAN」。

不思議なタイトルの意味は歌詞を紐解く中で分かってきます。

THE YELLOW MONKEY自身の歩みを比較的にコンパクトなロック・チューンで表現しました。

彼らの歩みはもっと深く巨大な規模のものですが、軽やかなグラム・ロックのように歌い上げます。

このさり気なさが今のTHE YELLOW MONKEY吉井和哉の美学の顕れなのでしょう。

聴いていてとにかく楽しくなる内容ですが読み込んでゆくと音楽業界の闇も見えてきます

いいことばかりじゃないけれども徐々に感触を掴んでゆき絶頂に達する姿までを描きました。

ロック・バンドのヒストリーですが私たちの人生というものにフィードバックできることが多いです。

1989年12月に今のメンバーで初めてライブをしたTHE YELLOW MONKEY。

その後は海外のミュージシャンにも一目置かれる存在になるまで成長しました。

2004年に解散したとはいえ再結成後も順調な活動を続けています。

本当は波乱万丈あったバンド人生をご機嫌なブギー・ロックで表現してくれました。

ロック・チューンではありますが非常にキャッチーなナンバーですので新規のファンも獲られるでしょう。

ますます目が離せなくなったTHE YELLOW MONKEYからの贈り物「DANDAN」

歌詞の意味を丁寧に解説してゆきます。

それでは実際の歌詞をご覧いただきましょう。

ビリーって誰だ

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ビリーは朝から並んだ お目当てのブツを狙いに
古着やフードにレコード 日曜日の蚤の市

出典: DANDAN/作詞:吉井和哉 作曲:吉井和哉

歌い出しの歌詞です。

この曲がTHE YELLOW MONKEYの30周年記念シングルと知らなければ遠い異国の話に思えるでしょう。

語りの構造は3人称で展開されます。

ビリーという架空のロック少年が登場しますが当然に吉井和哉自身の姿を投影したはずです。

それでも白人のロック少年という初期設定に関してはどこまでも忠実に描いています。

ただロック少年の行動というものは人種や国籍を超えて普遍的な様式があるのです。

日本でももちろん日曜日に広場で蚤の市が行われる風習は変わりがありません。

吉井和哉少年はこうした市場で掘り出し物の衣服やレコードを探し回ったのでしょう。

新品のレコードは少年のお財布事情では手の届かないものです。

今のようにサブスクリプションで何でも聴き放題という時代ではありません。

音楽はお金を払って所有するものでした。

それでも高度成長期に青春期を過ごした吉井和哉少年は今の若者よりも色んな音楽を吸収したはずです。

当時は若者が音楽に関して貪欲であるのは普通のことでした。

気に入ったレコードはカセットテープに録音して友人に紹介するなどして過ごしたはずです。

何においても情報は足りなかったですが、その分、熱意がありました。

毎週末の蚤の市に朝から行列をするだけの熱意が人々にあって活気があったのです。

少しずつの成長

華やかな通りと裏通り

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周年セールを伝える派手な着物のチンドン屋さん
裏道 細道 大通り 白い顔に青い空

出典: DANDAN/作詞:吉井和哉 作曲:吉井和哉

ビリーは街のあちこちに顔を出します。

少年がせわしなく街の中を歩き回る姿は青春の記憶として珍しいものではないでしょう。

誰しもがこうした道を通って大人になってゆきました。

ただ、日本では一時期チンドン屋さんが絶滅しかけます

チンドン屋さんという言葉自体が放送自粛用語とされていた時期もあったのです。

道化的な文化はいかがなものかなどという「良識」の声がチンドン屋さんを絶滅危惧種にしました。

1990年代初頭の「東京チンドン」というアルバムでチンドン屋さんの音楽が再評価されます。

ただそれ以前の1980年代などは特にチンドン屋さんの不遇時代が訪れました。

ビリーにしても吉井和哉少年にしてもこの記憶はおそらく1970年代のものでしょう。

チンドン屋さんというのは江戸時代末期から始まった日本の伝統文化です。

欧米社会でチンドン屋さんに相当するものはサンドイッチマンなどでしょう。

ビリー少年はチンドン音楽に触れる機会はなかったはずです。

それでも彼の白い顔について歌われています。

吉井和哉は不思議なさじ加減で虚構と現実の記憶を混ぜ合わせました

できあがったものは自伝的なフィクションという不思議なものです。

街のいたる所で様々なものに触れて少年は大人になってゆきます。

親に手を引かれて行く路は大通りだけだったかもしれません。

少年は自立してゆくごとに裏道や細い通り道の楽しみ方を知ってゆくのです。

メンバーは皆、東京出身だけど

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何も言わずに出てった ボロいデニムと缶コーヒー
恋人に別れを告げて

出典: DANDAN/作詞:吉井和哉 作曲:吉井和哉

まるで地方の町を後にして首都に向かったような描写になっています。

THE YELLOW MONKEYもメンバーは皆、東京都出身です

おそらくこのラインは主人公のビリーのために用意してあげたのでしょう。

地方都市でミュージシャンを続けてゆこうにも歌ったり演奏する場所がなかった時代です。

ロック先進国のアメリカ合衆国やイギリスでは地方都市から産声を上げたロック・バンドが多いでしょう。

しかし彼らも本当に成功するためにはより大きな都市へと向かわなければいけませんでした。

日本では東京か大阪がアマチュア・ミュージシャンの目指す都市になります。

地方都市からブレイクして全国区となるアーティストも結局は東京に住み着くのです。

こうした一極集中の現象はあまり好ましいものではないでしょう。

生まれた街で音楽を続けられる悦びというものもあるはずです。

しかし多くの観客やリスナーに聴いて欲しいと願うのならば必然的に大都市に向かわされるのでしょう。

兎にも角にもビリー少年は家を飛び出してしまいます。

付き合っていて女性とも別離を決めるのですからロック少年というものは救いようがない身勝手さ。

それだけ自分に自信がある証拠でもあるのでしょう。

自分は何とか独りで道を拓けるという若さゆえの思い込みと勢いこそが大事なのです。

バンドの成功

人生は少しずつ前進する

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ほらDANDAN いいねDANDAN
集まったぜ 盟友
始まったばかりで そんな気にしないでいいよ

出典: DANDAN/作詞:吉井和哉 作曲:吉井和哉