二人のヴォーカリストで聴く「ただ…逢いたくて」
19枚目のシングル
第1章から第4章というテーマを掲げ、グループ編成を変えながら成長を続けてきたEXILE。
彼らの19枚目のシングルとなり、オリコンチャート1位を獲得したのが、「ただ…逢いたくて」です。EXILEを代表する渾身のバラードといっても過言ではないでしょう。
この曲は、シングルでは初代のヴォーカリストで現在ソロ活動をしているSHUNこと清木場俊介が歌っています。
ライブなどでは現在のヴォーカリストのTAKAHIROも歌っているので、歌い方の違いから個性を感じられる曲としても聞けますね。
リーダーのHIROも公言している通りEXILEはダンスナンバーがメインでしたが、この曲は純粋に歌唱力だけで勝負したかったという新たな試みが表れた曲です。
SHUNの力強い歌声、TAKAHIROの優しい歌声、それぞれと混ざりハーモニーを生むATSUSHIの美しい歌声が見事です。
どちらのバージョンで聞いても素晴らしい曲になっています。
今では幻のSHUN&ATSUSHI
HIROが一目惚れしたといわれている初代ボーカルSHUNの歌声は、今なおファンの心に焼き付いています。
シークレットゲストとして参加。「EXILE SHUN」として10年ぶり、一夜限りの復活を果たす。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/青木場俊介
EXILEの15周年記念ツアーでは、幻ともいわれるSHUN&ATSUSHIの『ただ…逢いたくて』を披露していました。
TAKAHIROとは異なる強い大人ボイスはファンを涙で包んでいます。
失った恋人を想う気持ちは、時を経てもなお消えない…。
そんな印象を強くしたシーンでした。
MVから見る「ただ…逢いたくて」のストーリー
感動のストーリーに注目

フルバージョンでは9分にもなる長編のMVも印象的なこの「ただ…逢いたくて」。しっかりとしたストーリーが作り込まれている作品です。
主人公はたくさんの恋人達が待ち合わせる公園で昔を回想します。
それは、過去に主人公がこの公園で恋人と待ち合わせた際に、目の前で恋人が交通事故にあったという悲しい記憶です。
プレゼントを持って道路の向こうから恋人に声を掛ける主人公。それに気づき主人公へと走っていく恋人が道路を横切ろうとしたとき車が…
いつまでも目覚めない彼女は、今も病院で眠り続けています。
思い出されるのは楽しかった日々、恋人の笑い顔。蘇る美しくも切ない記憶。
そんな主人公を現実に引き戻すようになりひびく一本の電話。恋人がずっと眠っている病院に走ると…
この曲の世界観に相応しいショートドラマに仕上がっています。涙なしには見られません。
MVの結末が話題になった
この曲のMVでは彼女が目覚め幸せになるシーンが描かれています。
実はSHUNの描いた世界と異なるのではないか、との意見が多く寄せられたのです。
彼女が眠っている間のことを歌った歌なのではないか、という考察も飛び交いました。
しかし、よく観ると彼女がガードレールを超えて行く足が1回目と2回目では逆になっているのです。
彼女は既に死んでいて、生きている彼女の姿は彼が描く願望の世界だったのではないでしょうか。
最初に左足からガードレールを超えたのが現実、その後右足からガードレールを超えたのが虚無の世界です。
どうしてこうなってしまったのだろう、あの時違った行動をしていたら…。
そんな思いを表現しているのかもしれません。
様々な考察を巡らせて観るのもMVの楽しみ方の一つといえるでしょう。
「キミ」との日々に残る後悔
あの頃で止まった時間
悲しい過去も 若過ぎた日々の過ちさえ
キミに出会えて 深い海に沈められたのに
あの頃の僕と言えば 愛し方さえも知らず…ただ…
不器用にキミを傷つけて 優しさ忘れていた。
出典: ただ…逢いたくて/作詞:SHUN 作曲:HITOSHI HARUKAWA
「ただ…逢いたくて」の歌詞では、今はもう側にいない「キミ」のことを想う主人公の気持ちが切なく描かれます。
過去の悲しい思い出や過ちを、主人公は「キミ」との出会いにより忘れることができます。
それでも振り返った時、不器用だった主人公は「キミ」を思いやることが十分に出来ずに傷つけたことを悔やんでいます。そこには、深い深い後悔が伺えますね。
主人公の時間は「あの頃」で止まってしまっていることがわかります。