「LOVE ~Destiny~」と大事な愛
1999年4月14日発表、浜崎あゆみの通算7作目のシングル「LOVE ~Destiny~」。
浜崎あゆみにとっては嬉しいことにオリコン・シングル・チャート初登場1位を獲得しました。
ピアノの音色が美しいラブバラードの名曲で後に平井堅もカバーしています。
男女が別れる際に過去の愛は嘘じゃなかったと確認する歌詞に泣かされるでしょう。
かけがえのない愛もいつかは潰える日が来るかもしれません。
しかし真剣な愛だったのならば、恋が終わっても過去の日々を否定する必要はないでしょう。
「LOVE ~Destiny~」はそうした忘れられない愛の日々を回想する歌詞になっています。
大事な人とお別れをしたすべての人の心を鷲掴みにする楽曲です。
過去を大切にしながら前を向いてゆく女性の姿が凛々しいでしょう。
この曲の歌詞を紐解いて真実の愛とその追憶について考えてみます。
それでは実際の歌詞をご覧ください。
愛の永続性とは
偽りのない愛を思い返す
ねえ ほんとは永遠なんてないこと
私はいつから気付いていたんだろう
ねえ それでもふたりで過ごした日々は
ウソじゃなかったこと誰より誇れる
出典: LOVE ~Destiny~/作詞:ayumi hamasaki 作曲:TSUNKU
歌い出しの歌詞になります。
登場人物は語り手の私とかつて恋愛関係にあったあなたです。
私はかつての愛を振り返りながら回想しています。
今、現在の私はおそらく寂しさを噛み締めているようです。
それでも回想の中の私とあなたは幸せだったことを確認するのです。
ふたりの恋愛がどのようなものなのかを評価し直します。
今、結局は破局してしまった恋愛なのですが、それでも当時の愛に偽りはなかったと思って安心するのです。
永遠の愛が潰えるとき
私たちは過去の恋愛をどのように考えているでしょうか。
実態としてそのときの愛に背信行為などがなければ概ね懐かしく思い返すでしょう。
あのときの自分たちはこの愛がずっと続くものだと思い込んでいたはずです。
しかしそうした若い希望は敢無く潰え去ります。
「LOVE ~Destiny~」の中のふたりも同じ思いを抱えていました。
彼らふたりが破局に至った理由は明示されません。
それでもお互いに愛に背いたことなどはなかったことは分かります。
それならば別れる理由がないのではと考えそうです。
しかし男女の心の機微は非常に複雑なものがあります。
永遠だと思っていたものがちょっとしたボタンの掛け違いであっさり消え去るのです。
どちらに非があるかなどの犯人探しはできません。
こうした理由のはっきりしないお別れもどこかで待っているときがあるのです。
これから先はお互いがそれぞれの道を歩んでゆくしかないでしょう。
浮気などの事情がない限りは決して相手を恨んだりしないでください。
恋は終わってしまっても過去をすべて全否定する必要はないのです。
年齢のギャップを超えて
年上彼氏・年下彼女
生きてきた時間の長さは 少しだけ違うけれども
ただ出会えたことに ただ愛したことに
想い合えなくても La La La La…忘れない
出典: LOVE ~Destiny~/作詞:ayumi hamasaki 作曲:TSUNKU
私とあなたのふたりには歳の差が横たわっていたようです。
お別れに至った理由はこうしたギャップを埋めることができなかったからかもしれません。
成人同士の恋愛には基本的に年齢制限などありません。
それでも実際に付き合ってみると生きていた時代の違いに驚くことがしばしばあります。
そうしたギャップを埋めるだけの愛情があればこの障害は乗り切れるでしょう。
しかし違和感を覚えだすときりがないものです。
やがてこうしたギャップが価値観の違いを意識させます。
価値観が違うのはあたり前のことであるのですが、超えがたいくらいの障壁に感じることもあるでしょう。
別れの理由をちょっとだけ晒してみたラインかもしれません。
「LOVE ~Destiny~」の歌詞の情報量は必ずしも多くないのです。
浜崎あゆみはゆったりとしたテンポで朗々と歌い上げます。
そもそも歌詞のために残されたスペースが僅かになってしまうのです。
別れた理由は限られたラインの中から探してゆくしかないでしょう。
ふたりの生きてきた時間の相違に言及しているのですからこの辺りに理由を見つけるしかないです。
私は大人の愛を知った
歳の差がありながらふたりが出会えたことは奇跡かもしれません。
同年代の人との出会いは割と容易いものです。
しかし年齢が離れていると接する機会自体が少なくなります。
そんななかで愛を育みながら温めあった過去があったのです。
こうした記憶は別れてしまっても美しい思い出として残り続けるでしょう。
浜崎あゆみは当然に女性の心を歌い上げます。
この曲の当時のイメージからすると浜崎あゆみの方が若い立場だったのでしょう。
そうすると当然に相手の男性が歳上になります。
女性よりも少し子どもっぽいところを残しているのが成人男性です。
歳上の男性の方が私にとってはちょうどよかったのかもしれません。
少し背伸びをした大人の愛だったのでしょうか。
忘れ得ない愛の悦びを振り返る私の姿。
少ない情報量の中から深く読み込んでゆくのは至難ですが想像力の翼を羽ばたかせましょう。