今自分が感じている強い痛み。
それを共感して受け止めてくれる人がいると、少しは楽になれるかもしれません。
しかし、このフレーズからはそんな存在すらいないのがうかがえますね。
何度もフラッシュバックしては痛みを思い出している自分の状態。
それは、ずっと何かが胸に刺さり続けているかのようです。
一人で頑張って耐え続けているのですね。
とても孤独な叫びに聞こえます。
深い「痛み」を表現
「痛み」を様々な要素で表現
痛み、、、 痛いよ
出典: 痛み/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央
サビへと盛り上がると思いきや、ここで見事にハズしを入れてくれました。
Bメロでグルーヴ感がゆっくりになり、サビで一気に盛り上がる…というのが一般的な展開。
しかし、この曲はちょっと個性的な展開をみせてくれるのです。
先ほどのBメロのグルーヴ感をそのままひきずり、あえてサビもベタついたサウンドを作っています。
ボーカルのメロディラインはどうでしょうか?
音程が高くなり、他のパートに比べてしっかりメリハリがあります。
でも、ファルセットという裏声に切り替えて、あえて「弱さ」をだしているのが素敵。
この程よい弱さがリアルな「痛み」を表現しているのではないでしょうか。
また、斬新な展開だからこそ耳に残ります。
「あぁ、すごく痛そうだ。」
そんな風に聴きながら感じてしまう表現力です。
そして最後の語尾が素晴らしいポイント。
「痛いよーおおおお」と切れ味の良いカッティングギターとともに、ボーカルにアクセントが入ります。
ベタついたサウンドがここで強制的に切り上げられました。
なんて素敵なメリハリ…!
素晴らしい切り替わり
Na-nananananananana…
出典: 痛み/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央
冒頭で登場したキャッチ―なフレーズが、ここで絶妙な役割を果たしています。
先ほど流れを掻き切ったのは、この凄く盛り上がるフレーズに入るための前段階だったのです。
いわばこの楽曲は「サビが2段階」になっているような状態。
人によってはBメロが長いと捉えることもあるかもしれませんね。
筆者としては、歌詞の意味とボーカルの音程が絶頂に達する部分を「サビ」として解釈してみました。
ですが、この曖昧さが「痛み」という楽曲の魅力なのです。
意表を突く予想外の展開。
「痛み」という感情を固定概念にとらわれず、素直に表現している印象を受けます。
「痛み」に堕ちてしまった
「渇き」とは?
もう突き上げない衝動 戻らぬあの頃
歩き続ける代償は渇いた心
出典: 痛み/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央
幼い時期に湧き上がるエネルギーは特別ですね。
そんな衝動が消え失せてしまったといっています。
この「渇いた」という表現。
「暑い日差しの下でずっと歩き続けているような状況」で、今の自分を比喩しているのでしょう。
純粋な自分のいた場所から長時間歩き、遠い場所へたどり着いた今。
引き返すことはもうできない。
そして、喉がカラカラに渇いてしまっています。
ここで現実であれば「水」を求めますが、「水」は何を比喩しているのでしょう。
「愛情」や「癒し」「安心感」などといった要素のことではないかと、筆者は解釈しました。
それが与えられない状態はとても苦しいですね。
この苦しみが楽曲で表現したい「痛み」に近いのでしょう。
何でこうなってしまったのか
またよみがえる残像 戻らぬあの頃
あの日の僕に劣等感だって 何だって、何なんだ?
出典: 痛み/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央
1番と似た内容の歌詞ですが、最後には自問自答のようなフレーズがくっついていますね。
これが素晴らしいリズムを刻んでいて曲の切れ味をさらに出しています。
「何でこんな状態になってしまったんだ?」
そんな自分への投げかけだと読み取れます。
本当は今のような状態を望んでなんかいないのです。
やむなく「痛み」に浸ってもがいていますが、本当は抜け出したいのです。
深い「痛み」の向かう先とは?
誰に理解るだろう この胸突き刺し続けるような
痛み、、、 痛い、、、 痛み、、、 痛いよ、、、
どこに行くんだろう? どこまで行けるんだろう?
誰に理解るだろう この胸突き刺し続けるような
痛み、、、 痛い、、、 痛み、、、 痛いよ、、、
出典: 痛み/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央